メールは、書く側の“思い入れ”の強さに比例して長くなる傾向があります。言い訳や弁解、誤解をといたり、説得したりしようとする場合などに長くなりがちです。長すぎるメールは、相手に要点が伝わりにくく、返信に困るものです。では、だらだらしたメールにしないためには、どのようなことに気をつけたらよいでしょうか。
1)適切なメールのボリュームとは?
メールのボリュームとして適切なのは、パソコンの画面をスクロールせずに読みとれる文字量。行数にして、20~25行程度が適切です。
何度もスクロールしなければ読み切れないメールは、書く側もエネルギーを費やしますが、読む側にも負担を強いるものです。苦情や感情的なメール、急ぎのメールは、テンションの高さに任せて長文を書き連ね、その勢いのまま送信しがち。送信した側は、それで気が済むかもしれませんが、受け取った側は迷惑このうえないものです。
深夜に込み入った内容のメールを送るの避けましょう。感情過多な長文メールになりがちです。翌朝、読み返して赤面するような自己陶酔型のメール文になっていても、相手に送信された後では取り返しがつきません。
2)長文のメールである旨を先に伝える
長文のメールを送信する際にはまず、長文であると断りを入れることです。メールの件名や本文の冒頭に、長文である旨が述べてあれば、読む側は後で読んだり、読む心構えができたりします。
▼件名で断りを入れた例
ご質問についての回答(長文です)
▼メールの冒頭で断りを入れた文例
お問い合わせいただきました製品の詳細な仕様をお知らせいたします。
少々長文になりますが、ご一読のうえ、ご検討をお願いいたします。
詳細な内容や込み入った事柄を伝える場合は、WordやPDFなど、別のファイルにまとめて添付したり、メールではなく相手に直接電話したりして説明する方が確実に伝わります。
3)接続詞を使いすぎない
接続詞を多用してつなげたメールは、読みづらく要点がつかめません。新聞記事が読みやすいのは、接続詞があまり使われていないからです。ムダな接続詞の使用は避け、用件が伝わる歯切れの良い文章を目指しましょう。
▼使ってしまいがちな接続詞
「そして」「それから」「だから」「また」「および」といった接続詞は、省いても十分意味は通じます。
× 午後からA社に行きました。そして、打ち合わせをしました。
それから、新製品の件で同社の佐藤部長から、B社をご紹介いただきました。
だから、明日早速伺ってみようと思います。
また、今日、B社をご紹介いただいた佐藤部長には、改めてお礼に伺うつもりです。
○ 午後からA社で打ち合わせの後、新製品の件で同社の佐藤部長からB社をご紹介いただきました。
明日、早速伺ってみようと思います。
今日、B社をご紹介くださった佐藤部長には、改めてお礼に伺うつもりです。
メールを書き終えたら、無駄な接続詞はないか、同じ接続詞を続けて使っていないかに注意して、読み返しましょう。上記のように、省略できる接続詞があるはずです。
▼重ねて使いがちな接続助詞
「ので」「が」「ため」「して」「で」などの接続助詞も多用は禁物です。「このため、△△していましたが、□□になったので…」と接続助詞は重ねて、長々と文が続いていくのは読みづらく、疲れます。
× 納期が予定より遅れて申し訳ありませんが、
できるだけ早く、商品をお送りしたいという思いで最善を尽くしておりますので、
しばらくの間お待ちいただきますようお願い申し上げます。
○ 納期が予定より遅れ、申し訳ございません。
できるだけ早く、商品をお送りできるよう最善を尽くしております。
納品まで、今しばらくお待ちいただきますようお願い申し上げます。
特に、お詫びの言葉は「申し訳ありませんが」と接続助詞「が」で文をつなげてしまうと、軽々しい印象を与え、真意が伝わりません。一度文章を切って、お詫びの一文として完結させましょう。
4)メールを整理する
結果的にメールの本文が長くなってしまった場合は、送信する前に一度、整理・調整してみましょう。整理の仕方としては、次の3つの方法があります。
① 見出しを付ける
見出しに「●」「■」などの記号を使って目立たせると、読みやすくなります。
② 先に概要を挙げ、次に詳細を述べる
メール全文を要約し、「最も伝えたいこと」を先に述べておくと詳細が伝わりやすくなります。
③ 目次を入れる
数字で順番に箇条書きし、各項目を「目次」として先に挙げておくと、分かりやすいです。
メールを長文のまま書きっぱなしで送信せず、一度、見直し、読みやすく編集するひと手間をかけると「長文でも読みやすく、用件が伝わる」メールにできます。記号や罫線、余白の行を取り入れて、読みやすく、印象に残るレイアウトを心がけましょう。
▼箇条書きに整理した例
下記の通り、ステップアップセミナーを開催します。
セミナー後、懇親会も予定していますので、奮ってご参加ください。
<< ステップアップセミナー >>——————————————-
●日 時:4月3日(火)
18:00 受付 18:30~ 開始
●会 場:○○区民センター 会議室
(○○区△△町1-23 JR「△△」駅から徒歩5分)
●参加費:3,000円
※当日、会場にてお支払いください
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長文メールになると書くことに気をとられがちですが、そのメールを読む側の視点で、もう一度読み返し、メール文全体を整えてから送信する習慣をつけたいですね。