経理の仕事では、会計システムなどからデータを出力し、その出力したデータをエクセルで加工して、資料を作成することがよく行われます。
たとえば、
・経費データをシステムから出力して、エクセルで月別推移表を作成する。
・基幹システムから得意先別売上データを出力して、売上動向の表を作成する。
など様々な場面で、データを出力してエクセルで加工して資料が作成されます。
このような作業を行うとき、少々困ることがあります。
それは、出力したデータに問題があり、エクセルでひと手間、ふた手間かけて修正しなければならないことです。
元のシステムから出力されるデータは、そのシステムの仕様によって決められています。
そして、その仕様によって決められているデータは、こちらが望んでいるようなものではない場合も多くあります。
そのため、エクセルの関数を利用して、こちらが望むようなデータに変更する作業が多々行われているのが実情です。
そこで今回は、システムからデータを出力し、そのデータを変更する場合、よく使われるエクセル関数を5つ解説していきます。
システムから出力されたデータを変更する場合、文字列を加工することが多くありますので、特に文字列を操るエクセル関数にスポットを当ててご紹介します。
実際の事例を用いながら解説しますので、経理実務担当者はぜひチェックしてみてください。
経理で使える、エクセルの文字列を操る5つの関数
今回解説するエクセルの文字列を操るための関数は、次の5つです。
・TEXT関数
・FIND関数
・LEFT関数
・ABS関数
・TRIM関数
これらは、会計システムからデータを出力した際、エクセルで加工する時によく使われる関数です。
具体的な事例を用いながら、これらの文字列を操る関数の使い方を解説していきます。
TEXT関数の利用方法
ここでは、TEXT関数を利用して会計システムから出力されるコードの修正方法について解説します。
会計システムなどから出力されるデータでよくあるのが、
勘定科目コード+勘定科目名
です。
たとえば、
勘定科目コード:00110 勘定科目名:売掛金
といったように、勘定科目コードと勘定科目名があります。
そしてシステムからは、以下のようなCSVファイルなどが出力されます。
このCSVファイルなどが出力された際、勘定科目コードが
00100 現金
ではなく、
100 現金
で出力されることがあります。
これは、コード頭のゼロが文字列として認識されず、数値と認識されてデータ出力されるためです。
ゼロが頭に付かないと実際の勘定科目コードにならないため、別途エクセルで修正する必要があります。
その時、よく使われるエクセル関数が、「TEXT」となります。
実際に、勘定科目コードを修正するために、TEXT関数を利用してみましょう。
=TEXT(数値 , 表示形式)
たとえば、TEXT(100,”00000”)とすると、00100と表示されます。
使い方としては、たとえばセルA2に入力されている勘定科目コード100を00100へ修正する場合、以下のように修正します。
A2のセルデータ100をB2セルで00100と表示させています。
このように、修正するセルを新たに作成して、文字列データを修正していきます。
システムから出力される数値データには、頭のゼロが表示されずに出力される場合があります。このときTEXT関数を活用すれば、数値データの頭にゼロを付与して表示することが可能となります。
FIND関数とLEFT関数の利用方法
ここでは、FIND関数とLEFT関数を組み合わせて、必要な文字列だけを取り出す方法を解説します。
よくある事例で、会計システムから、部門ごとの経費データなどを出力する場合があります。
出力したデータですが、負担部門が部門のみならず、その下の課までのデータが出力されることがあります。
たとえば、部門だけで経費の集計をしたい場合、課の名称が不要であるため、取り除く必要があるのですが、このときFIND関数とLEFT関数を利用すればそれが可能となります。
まずは、FIND関数とLEFT関数の利用方法を確認していきます。
FIND関数とは
FIND関数とは、探したい文字が何文字目にあるかを検索する関数です。
=FIND(検索したい文字 , 検索対象)
たとえば経理部を検索対象とし、検索したい文字を部とする場合、FIND(”部” , ”経理部”)とします。
⇒結果「3」と表示されます。
このようにFIND関数は、文字列の中にある検索したい文字が、左から何文字目にあるかを探してくれます。
LEFT関数とは
LEFT関数とは、文字列の左から文字を抜き出す関数です。
=LEFT(抜き出す対象文字 , 抜き出す文字数)
たとえば経理部主計課を検索対象とし、左から3文字を抜き出したい場合、LEFT(”経理部主計課” , 3)とします。
⇒結果、「経理部」と表示されます。
LEFT関数は、左から文字を抜き出すということで、非常に分かりやすく、利用することも多い関数です。
FIND関数とLEFT関数の組み合わせ
FIND関数とLEFT関数を覚えたところで、この2つを組み合わせて、次の部門名称から部門だけの文字を抜き出してみましょう。
このように、部だけの名称を抜き出したい場合は、まずFIND関数で「部」の文字が何文字目にあるかを検索します。
ここでは、Aのセルに入っている部門を検索対象とし、その検索対象の文字列にある「部」が何文字目なのか検索しています。
次に、FIND関数を利用して、部門名称から部門だけの文字を抜き出してみます。
この例では、Aのセルに入っている部門を抜き出す対象文字とし、そこから、FINDで検索した「部」の文字位置までを抜き出す文字数としています。
これで、部門名称から部門だけの文字を抜き出すことができました。
このようにFIND関数とLEFT関数を組み合わせることで、思い通りに文字を抜き出すことができます。
システムからデータ出力した際、不要なデータが多く、必要な文字だけ抽出できずに悩むこともありますが、エクセル関数をうまく利用すればその悩みも解消できます。
ABS関数の利用方法
ここでは、ABS関数を利用して、数値を絶対値に置き換える方法を解説します。
会計システムで出力されるデータのうち、貸方で計上されるものがマイナス表示となっている場合があります。
(特に海外の会計システムでは、貸方の金額がマイナスで出力される場合が多い)
こうした貸方がマイナスで出力されるデータですが、そのまま社内や社外の説明資料として利用することは基本ありません。(例えば売上がマイナス表記されるのは違和感ありますね)
そこで、会計システムから出力された貸方マイナスデータを、絶対値に置き換える必要があります。
その際、利用する関数が、ABS関数です。
=ABS(数値)
たとえば-152という数値がある場合、ABS(-152)とします。
⇒結果152と絶対値で表示されます。
TRIM関数の利用方法
ここでは、TRIM関数を利用して、余計な空白を取り除く方法を解説します。
会計システムなどからデータを出力したとき、システムの仕様のせいなのか、文字列のなかに余計な空白が入っている場合があります。
たとえば、勘定科目の頭や後ろに文字数を合わせるために空白が設定されていたりします。
この空白を取り除くには、置換機能を使う方法がありますが、TRIM関数でも対応可能です。
=TRIM(文字列)
たとえば「 経理部 」という文字列がある場合、TRIMを利用すれば、
⇒結果「経理部」といったように、頭と後ろの空白が取り除かれます。
TRIM関数は、文字列の頭と後ろに付けられた空白を削除してくれます。さらに文字列間にある空白は残されますので、置換機能より使い勝手がよい関数です。
エクセルでデータを加工したり、データを検索する際、無駄な空白が入っていることで、何かしら不具合が発生する場合もあります。
そのとき、TRIM関数を利用すれば、文字列の頭と後ろの不要な空白をすぐに削除できます。
まとめ
今回は、経理で使える、エクセルの文字列を操る5つの関数を解説しました。
経理の仕事では、会計システムなどからデータを出力し、その出力したデータをエクセルで加工して、資料を作成することがよく行われます。
そしてシステムから出力されるデータは、そのシステムの仕様によって出力方法が決められているため、思い通りのデータが出力されず、エクセルで加工しなければならない場面も多くあります。
そのとき、今回ご紹介したエクセルの文字列を操る関数を利用すれば、手間をかけることなく思い通りにデータを修正することができます。
ぜひ、経理の仕事で文字列を操ることができるエクセル関数を利用してみてください。
執筆者情報/経理部IS
数十年間、上場企業とその子会社で経理業務に従事している現役経理マン
転職6回・複数の上場企業での中途採用経験も活かし、経理の転職エージェントを紹介するサイトを運営中
ブログ名:経理の転職エージェント比較専門サイト:https://www.keiri-jobchange-agent.com/