請求書のミスや出し忘れは、人手を介している以上どうしても発生してしまうヒューマンエラーです。「請求書の記載間違いを相手から指摘された」「入金額が売掛金額より少ない」このような場合には、その後どう対応すべきなのでしょうか。
本記事では「請求書に記載間違いがあった場合」「請求書の発行漏れがあった場合」「請求書の紛失があった場合」の3つのパターンに分けて、対応と注意点を解説します。
請求書に記載間違いがあった場合
発行済みの請求書を見直していたり相手から指摘があったりして、請求書の記載間違いに気が付くことがありますよね。そのような場合は請求書の再発行が望ましいです。
対応と注意点
相手からの指摘で請求書の記載間違いに気が付いた場合には、正しい情報で請求書を再発行しましょう。
社内で利用している申請書や書類などは二重線や訂正印を用いて誤った情報を消し、正しい情報を付近に記載することで上書きすることがあります。しかし、請求書の再発行において、二重線や訂正印での修正は一般的ではありません。一から新しい請求書を作成する対応が一般的です。
請求書に請求書番号を付している場合は、再発行前と同じ番号を使用する・再発行前の番号の枝番を作成するなどして、元の請求書との繋がりを確認できるようにしておきます。そうすることで、売掛金や売上の二重計上を防止できます。
書面で請求書のやり取りを行っている場合には、請求書と一緒にお詫びの文章を同封して相手に謝意を伝えましょう。メールやクラウドシステムを介して電子データで請求書のやり取りを行っている場合は、メールや電話などで相手に謝罪することをおすすめします。
請求書の発行漏れがあった場合
売掛金の回収予想額より入金額が少ないときは、請求書の発行が漏れている可能性が高いです。そのような場合には売掛金と入金情報を付け合わせて、どの請求書の発行が漏れているのか特定しなければなりません。
対応と注意点
入金額の少なさから請求書の発行漏れを疑った際には、まず売掛金や売上の情報を確認しましょう。
売掛金や売上の金額が間違っている・キャンセルになった案件を売掛金に入れてしまっているなど、そもそも請求書の発行漏れではなく「請求書の発行がない」状態が正しいケースが存在するためです。本当に「請求書の発行漏れ」が原因で入金額が少ないのか、入金予測額の方が間違っているのかを特定しましょう。
「請求書の発行漏れ」が確定した場合、まずは相手先にお詫びと確認の連絡を入れましょう。自社のミスで請求書の発行が漏れていたこと、また今から発行を行うので支払いをお願いしたい旨を伝えます。
その後請求書の発行を行い、相手先へ送付しましょう。請求書を発行する際は、売上や売掛金の計上月を間違えないよう注意が必要です。本来請求書を発行するはずだった月の売上に計上します。誤ってその時点の売上に計上しないよう気を付けましょう。
請求書の紛失があった場合
相手先が請求書を紛失してしまうこともありますよね。そのような場合、請求書の再発行を求められるでしょう。
対応と注意点
相手先から「請求書を紛失してしまった」と連絡を受けた場合、請求書の再発行を行います。元の請求書のデータが残っている場合、そのデータをそのまま使用して再発行ができます。記載している内容は元の請求書から変更する必要はありません。
再発行であることがわかるように、請求書のどこかに「再発行」と印字したり「再発行」と書かれたスタンプなどを押し、元の請求書と区別がつけられるようにしましょう。
請求書の記載間違いや発行漏れなどのミスを防ぐ対策
人間が作業している以上、請求書の記載間違いや発行漏れは高確率で発生してしまいます。防止策として「そもそも人間が請求書の発行をしない」という手段が考えられます。
売上のデータから自動的に請求書が発行されるシステムを利用すれば、人間の手を介すことなく請求書の発行が可能です。請求書の発行枚数が多い場合は、このようなシステムの導入を検討してみましょう。
さほど請求書の発行枚数が多くない場合には、ダブルチェックを導入する・請求書の発行状況を可視化しチェックするなどの対策が考えられます。
- 請求書を発行する担当者とは別人が請求書のチェックを行う
- 請求書の発行に上長の承認が必須となるシステムを導入する
- いつ・いくら・どこに請求書を発行したのかまとめ、売上情報と付け合わせる
請求書は自社にとっても相手先にとっても重要な証憑です。お互いに7年間の保存が法律で求められています。正しい情報の請求書を漏れなく発行し、後から確認する際に困らないようにしておきましょう。
まとめ
請求書のミスや出し忘れがあった場合にはこのように対応しましょう。
- 請求書に記載間違いがあった場合:請求書の再発行が一般的
- 請求書の発行漏れがあった場合:確実に「発行漏れ」であることが特定できれば発行
- 請求書の紛失があった場合:請求書の再発行が一般的
また、請求書の記載間違いや発行漏れなどのミスを防ぐには、人手を介さずに請求書が発行できるシステムを導入する・ダブルチェックや請求書の発行状況を可視化するなどの対策が考えらます。適切な対応を行い、ヒューマンエラーが発生する確率の低い請求書発行体制を築いていきましょう。