【必読】2022年電子帳簿保存法QA集!実際に寄せられた質問に回答します!

令和3年度(2021年度)の税制改正により、電子帳簿保存法の見直しが行われています。

この改正での目玉は、

・電子取引データのデータ保存開始

・スキャナ保存の要件緩和

この2つです。

そして、これらの適用開始が、令和4年(2022年)1月1日となっています。(電子取引データのデータ保存については、2年間の宥恕措置が設けられています)

特に各社で問題となっているのが、「電子取引データのデータ保存」についての対応です。

これまでは、電子取引データを出力して書面等で保存することが可能でしたが、今回の改正により紙での保存が認められなくなります。

さらに、電子取引データは、一定の保存要件に従って保存しなければならないため、各社では今までの業務の運用を大きく変える必要があります。

しかし、実際に電子取引データのデータ保存準備を進めていくにあたって、さまざまな疑問・問題が発生しているのが現状です。

そこで今回は、電子帳簿保存法の改正の中でも、電子取引データのデータ保存対応について質問が多かった内容を「Q&A」集としてまとめてご紹介します。

実際に筆者が所属する会社の事業部門や子会社、関連会社からの担当者から受けた質問とその回答をご紹介していますので、実務担当者にとってためになる「Q&A」集になると思います。

電子取引データのデータ保存対応を進めている会社の担当者は、ぜひ参考にしてみてください。

電子取引データのデータ保存に関するQ&Aについて

今回は、実務担当者から寄せられた電子取引データのデータ保存に関する質問のうち、厳選して「16の質問とその回答」をご紹介します。

では早速、Q&Aを見ていきましょう。

電子取引データは、ツールやシステムを導入して、保存管理しなければならないのでしょうか?

電子取引データは、ツールやシステムの導入がなくても保存管理は可能です。

例えば、請求書などのPDFファイルといった電子取引データは、規則性をもってファイル名を付与し、そのファイルを検索できるよう保存すれば、ツールやシステムは不要です。

ファイル名および保存例

2022年(令和4年)1月31日に、SWEEEP株式会社から受領した500,000円の請求書

①電子取引データのファイル名⇒「20220131_SWEEEP株式会社_500,000」とする。
②「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する。

このような方法は、電子取引データが少ない場合に対応が可能ですが、企業規模が大きく、発生する電子取引データ量も多い場合は、ツールやシステムの導入が必要です。

自社の状況に合わせて、ツールやシステムの導入を検討しましょう。

参考記事:2022年電子帳簿保存法対策|電子取引ツールを選ぶポイントとは?

電子取引データの保存をしない場合の罰則はあるのですか?

令和3年度税制改正では、当初電子取引データが要件に従い保存されていない場合は、青色申告承認の取り消しが適用されると示されていました。

その後、2021年11月国税庁より、あらたに「お問合せの多いご質問」の資料において、紙ベースであっても適正な処理をしていれば、ただちにペナルティを加えることをしないことが示されています。

なお、電子取引により授受した取引データを削除、改ざんするなどして、売上除外や経費の水増しが行われた場合のほか、保存された取引データの内容が事業実態を表していないような場合(架空取引等)も重加算税の加重対象となることには注意が必要です。

電子取引データとは具体的にどのようなものをいうのでしょうか?

見積りや納品、発注、請求に関する取引内容が記載されているデータは、すべて電子取引データとなります。

そして、

・EDI取引
・ペーパレスFAXを使った電子取引
・電子メールを使った電子取引
・LINE、その他SNSを使った電子取引
・ネット上のサイト、クラウドを使った電子取引
・その他電子で取引先とやり取りする行為

といったもので電子取引を行った場合、それに含まれるデータはすべて電子取引データとなります。

電子取引データにタイムスタンプ付与されたデータを授受するという要件があります。実際に取引先にタイムスタンプ付与をお願いしないといけないのでしょうか?

電子帳簿保存法では、「選択的保存要件」が定められています。その中で「タイムスタンプ付与済みのデータを受領する」という要件があります。

この要件を満たすには、取引先が電子取引データにタイムスタンプを付与し、そのデータを送ってもらわなければなりません。

実際のところ、取引先側で電子取引データにタイムスタンプを付与できる環境にあるかどうかわかりません。むしろそういった環境を整えている取引先は稀であると思われます。

こうした状況を鑑みますと、取引先にタイムスタンプ付与をお願いし、付与済みのデータを受領することは難しく、この要件は満たすことができないと考えらざるを得ないと思われます。

電子取引データの授受後タイムスタンプを付与するという要件があります。これを行うにはツールやシステムを導入しないといけないのでしょうか?

電子帳簿保存法で定められている「選択的保存要件」の1つに、「電子取引データ受領後にタイムスタンプを付与する」というものがあります。

電子取引データにタイムスタンプを付与することで、そのデータが存在していたこと(存在証明)と、その時刻以降、当該文書が改ざんされていないこと(非改ざん証明)を証明することができます。

そして、このタイムスタンプですが、付与するための機能を備えたシステムが必要となります。

最近では、電子取引データ管理のツールのみならず、経費精算システムなどにもタイムスタンプ機能を備えたものがあります。

今回の電子帳簿保存法改正に合わせて、システム導入を考えている場合は、このタイムスタンプ機能があるかどうかも検討材料の1つにしてもよいと思われます。

取引先から注文の連絡をもらう場合、電話の他にLINEで連絡を受けています。このLINEを使って受付けした注文も電子取引データになるのでしょうか?

最近では、LINEやその他SNSアプリなどを活用して、取引先と連絡をすることも多くあります。

例えば、LINEで商品の受発注の連絡をした時、LINEの本文に取引情報が記載されていることでしょう。

そして取引情報が記載されていれば、LINEであってもそれは電子取引データに該当し、保存して検索要件を付与しなければなりません。

しかし、LINEなどSNSアプリに、電子帳簿保存法で求める検索要件で「取引先」、「取引年月日」、「金額」を付与して、検索できる状況にしておくことができるような機能はありません。

(検索保存できるよう、工夫して対応することができるかもしれませんが・・・)

実際には、LINEなどのSNSでやり取りした取引情報が記載されている画面を、PDFや画像ファイルに変換し、そのファイルを検索保存できるようにすることになるかと思われます。

ただし、すべての取引についてそうした対応ができるか非常に難しいものがあります。

(大量の取引をSNSアプリで行っている場合、それをすべてファイル変換して、検索要件を付与して保存していたら、それだけで相当な作業時間となってしまいます)

LINEやその他SNSアプリに含まれる取引情報は、電子取引データとなりますが、実務上管理が相当困難である場合は、自社で運用ルールを定めそれを対象外にする金額基準を設けるなど、工夫が必要と考えられます。

取引先と電子メールで、商品の受発注をしています。添付ファイルはなく、メールのみでの受発注を行っています。この場合、メール自体が電子取引データになるでしょうか。
また、このメールが電子取引となった場合、どうやって保存・検索要件を付与するのでしょうか?

電子メールにて取引情報を授受する取引を行った場合は、メール自体が電子取引データに該当します。

そもそも、電子メール本文に取引情報が記載されている場合、それ自体が電子取引データとなるため、電子メールを保存したうえで、検索要件を付与しなければなりません。

ただし、電子メール自体に電子帳簿保存法で求める検索要件で「取引先」、「取引年月日」、「金額」を付与して、検索できる状況にしておくことは困難と思われます。
電子メールソフトにそういった機能があればよいのですが、残念ながら大抵のソフトにはそのような機能はありません。

なお、国税庁より発表されている「お問い合わせの多いご質問」では、メールソフトで検索できない場合、メールの内容をPDFにエクスポートし、PDFファイル自体に検索要件を付与して、保存できるようにしておくことでよいとの解説があります。

電子取引データを保存するために、規程の制定をして、自社での運用ルールを整備しなければならないと聞いたのですが、具体的にどのような規程を制定すればいいのでしょうか?

電子帳簿保存法の電子取引データの保存要件には、「選択的保存要件」と「必須的保存要件」2つの要件が定められています。

この2つの保存要件のうち、「選択的保存要件」には、次の4つの要件があります。

①タイムスタンプ付与済みのデータを受領
②電子取引データ受領後にタイムスタンプを付与する
③電子取引データの訂正や削除ができないシステムを利用して、電子データを保存する
④電子取引データの訂正や削除に関する事務処理規程を備え付けし、社内で運用する

「選択的保存要件」では、この4つの要件うちいずれかを選択して、電子取引データを保存することが求められています。

①や②は現実問題、実務上での対応が非常に難しいため、③または④を選択する企業がほとんどかと思われます。
そして、③にあるシステムを利用しない場合は、おのずと④の事務処理規程を整備しなければなりません。

この事務処理規程ですが、サンプルが国税庁ホームページで公開されています。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

この公開されているサンプルを利用して、自社に合うよう修正を加えたのち、社内の手続きに従って規程の整備を進めてください。

複数の会社から相見積もりを電子データでもらったとき、契約に至らなかった見積書のデータは保存する必要ないのでしょうか?

複数の会社から見積書をもらう場合、対象となる全ての見積書データを保管する必要があります。
そもそも紙であっても複数の会社からもらう相見積もりでの見積書は、すべて保存するのが基本です。

しかし、実務上は契約に至った見積書のみを保存している場合もあるようです。

これを機に、複数の会社からもらった相見積もりでの見積書はすべて電子保存できるように運用を整備しましょう。

電子取引データを紙で印刷して保存してはいけないとのことですが、実際のところ、紙で印刷したものが、元々電子取引データだったということを判別できるのでしょうか?

実際のところ、PDFで届いたデータを印刷した場合、もともと紙で届いたものかどうかの判別は難しいと思います。
しかし、何かのきっかけで電子データで来たものを紙で保存していた事が分かった時は罰則を受ける可能性もありますので、電子取引データはデータ保存要件に従って保存してください。
さらに今後は、電子取引データが主流になっていくでしょうから、この機会にペーパレスを推進することが望まれます。

当社は全国に営業所があり、営業所ごとに電子取引データの管理をしたいと考えています。
たとえば、エクセルで作成した台帳で電子取引データを管理する場合、それぞれの営業所ごとで台帳管理をすることで問題ないでしょうか?

電子取引データは、原則として「一課税期間を通じて検索をすることができる必要があります」との記載があります。

この記載からは、同一年度のものは、同一の台帳で一課税期間分の電子取引データを検索できる必要があると考えられます。

それぞれの営業所ごとに電子取引データを管理していると、社内で発生した一課税期間の電子取引データを網羅的に検索できませんので、各営業所で発生した電子取引データの管理は1つの台帳で管理すべきです。

管理方法としては、営業所ごとで台帳管理し、月に一度すべての営業所の台帳を1つのファイルに結合することも考えられます。

このような方法が面倒な場合は、電子取引データの管理ツールを導入するなども検討してはいかがでしょうか。

参考記事:2022年電子帳簿保存法対策|電子取引ツールを選ぶポイントとは?

決算締めの都合により、取引先から事前にメールでPDF請求書を送ってもらっています。その後、郵送で同じ請求書が送付されています。この場合、どちらを原本扱いしたら良いですか?
また、メールで送られてくるPDF請求書は電子取引データとなるのでしょうか?

電子データと原本の紙を両方受領している場合は、基本紙を原本として保存しているのが一般的かと思いますので、紙を原本扱いして問題ありません。

また、国税庁の電子帳簿保存法一問一答では、

「取引慣行や社内のルール等により、データとは別に書面の請求書や領収書等を原本として受領している場合は、その原本(書面)を保存する必要があります。」

との解説がされていますので、原本である紙を保存しておけば、PDFの請求書は電子取引データ対象外として保存が不要となります。

現在ペーパレスFAXを使って、取引先から商品の注文を受付けています。ペーパレスFAXはデータとしてPDF化されて、一定のフォルダに保存されています。
このペーパレスFAXのPDFデータは、電子取引データなのでしょうか。また電子取引データに該当する場合、新たに処理が必要なのでしょうか?

国税庁の電子帳簿保存法一問一答では、「ペーパレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用」については電子取引に該当するとの記載があります。

FAXからそのままPDF化されるようなファイルデータは、電子取引データに該当します。

電子取引データに該当するため、このPDFファイルを電子帳簿保存法に定める一定の要件に従って、保存する必要があります。

なお、従来の紙が出力されるFAXは、紙をそのまま保存することになります。

現在、自社基幹システムを通じて取引先とEDIで受発注データを受信・取込をしています。このEDIデータは電子取引データの対象範囲でしょうか?
また、電子取引データとなる場合、基幹システム内にあるEDIデータを一定の要件にしたがって検索・抽出できるようにしなければならないのでしょうか?

基幹システムを通じて、取引先とやり取りするEDIデータも電子取引データに該当します。

そのため、基幹システムに保存されているEDIデータには、電子帳簿保存法で求める検索要件で「取引先」、「取引年月日」、「金額」を付与して、検索できる状況にしておく必要があります。
 
この場合、基幹システム側の改修、追加開発が必要になる場合もありますので、早急にシステム担当側と対応策を検討しなければならないため注意が必要です。

取引金額の記載がなく、単価だけが示されているような契約書や見積書などには、検索要件にある「金額」が記載されていません。この場合どのように検索要件を設定する必要があるのでしょうか?

単価のみ示されており、取引金額の総額が後日確定するような契約書や見積書などの電子取引データでは、検索要件である金額を設定することができません。

この場合は、取引金額を「空欄」または「0円」としておくことで問題ありません。なお、この内容については、国税庁から2021年11月に公表された「お問い合わせの多い事項」でも示されています。

取引先のサイトから請求書などのPDFファイルをダウンロードして、経理処理をします。このファイルも電子取引データに該当するのでしょうか?

最近では、取引先サイトにアクセスして、画面上で請求書が表示されたり、その請求書をPDF形式などでダウンロードできるようになっていることが多くあります。

そして、この請求書は電子取引データに該当します。

PDF形式などで請求書をダウンロードする場合、電子取引データとして決められた検索要件を付与し、一定のルールに従って保存しなければなりません。

また、画面上にのみ請求書が表示され、ファイルのダウンロードができないような場合は、その画面ショットを取り、画像ファイルを電子取引データとして保存する必要があります。

まとめ

今回は、電子帳簿保存法の改正の中でも、電子取引データのデータ保存対応について、実務担当者から多かった質問を16厳選して「Q&A」集としてご紹介しました。

質問に対する回答については、国税庁から示されている「電子帳簿保存法一問一答」、「お問い合わせの多いご質問」を基本として、税理士法人、国税局担当者からのヒヤリングをベースに回答としてまとめています。

質問に対する回答内容については、現時点でも問題ないものと認識しています。しかし、今後国税庁から公表される内容によっては、今回ご紹介した回答内容の変更が必要となる場合があることをご理解いただければと思います。

電子取引データのデータ保存については、2021年12月の税制改正大綱において、適用期間について2年間の宥恕措置が設けられました。しかし、電子取引データのデータ保存はいずれ対応しなければならないものです。

できるだけ早い段階から準備をして、電子取引データのデータ保存対応を進めていきましょう。

執筆者情報/経理部IS
数十年間、上場企業とその子会社で経理業務に従事している現役経理マン
転職6回・複数の上場企業での中途採用経験も活かし、経理の転職エージェントを紹介するサイトを運営中

ブログ名:経理の転職エージェント比較専門サイト:https://www.keiri-jobchange-agent.com/

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