2022年電子帳簿保存法対策|電子取引ツールを選ぶポイントとは?

令和3年度(2021年度)の税制改正において、電子帳簿保存法の見直しが行われました。

今回の見直しにより、メールなどで受領する請求書などの電子取引データは、紙での出力が認められなくなります。

そして、一定の保存要件に従って、電子取引データを保存しなければならないことにも留意する必要があります。

(2021年12月の税制改正大綱で、この対応は2年間猶予されていますが、いずれにせよ、将来電子取引データの保存は必須です。)

この電子取引データは、一定の要件に従って保存する必要がありますが、手作業での保存が可能なのでしょうか。

それとも電子取引データを管理する、システムやツールを導入しなければならないのでしょうか?

発生する電子取引データ量や会社規模によっても対応方法が異なりますが、やはり電子取引データ量が多い会社は、ツールを導入して管理せざるを得ないと思われます。

そこで今回は、電子取引データを管理するためのツールを選ぶポイントについて解説します。

電子帳簿保存法の改正の対応を進めている担当者は、電子取引データを管理するツールの導入も検討されているかと思われます。

ツール導入の際には、今回の記事も参考にしてもらえればと思います。

電子帳簿保存法の改正内容

電子帳簿保存法では、税法により書面で保存が義務付けられている帳簿や書類を、データで保存する場合のシステム要件や保存要件が定められています。

この電子帳簿保存法ですが、今回令和3年度(2021年度)の税制改正において、大きな見直しが行われました。

見直しの中で、特に経理に携わる方々で問題となっているのが、「電子取引の保存義務」です。

「電子取引の保存義務」では、例えばメールなどで添付されるPDFの請求書(PDFが原本となっているもの)といった電子取引データは、一定の保存要件に従って、電子でデータを保存することが義務付けられることになっています。

そして、この対応は大企業・中小企業関係なく、すべての会社が対象となっています。

保存が必要な電子取引データとは

今回の電子帳簿保存法の改正では、次のような電子取引データが電子での保存が必須となっています。

対象となる電子取引となる行為

・EDI取引

・ペーパレスFAXを使った電子取引

・電子メールを使った電子取引

・LINE、その他SNSを使った電子取引

・ネット上のサイト、クラウドを使った電子取引

・その他電子で取引先とやり取りする行為

対象となる電子の帳票類

・請求書

・領収書

・契約書

・納品書

・見積書

・注文書

・その他それに準ずる書類

これらの電子取引データは、電子で保存が義務付けられています。

電子取引のデータ保存要件

電子取引データは、大きく分けて2つの要件が定められています。

複数の要件から選択できる「選択的保存要件」

必ず従わなければならない「必須的保存要件」

選択的保存要件

選択的保存要件では、次の4つのいずれかを選択し、電子取引データを保存しなければなりません。

1.タイムスタンプ付与済みのデータを受領

2.電子取引データ受領後にタイムスタンプを付与する

3.電子取引データの訂正や削除ができないシステムを利用して、電子データを保存する

4.電子取引データの訂正や削除に関する事務処理規程を備え付けし、社内で運用する

必須的保存要件

必須的保存要件では、電子データを保存する際、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

1.関係書類の備え付け

(電子データ保存のためのマニュアルなどを備え付ける)

2.見読可能性の確保

(パソコンのディスプレイや印刷していつでもデータを見ることができるようする)

3.検索機能の確保

(電子取引データを「取引先」、「取引年月日」、「金額」といった3つの項目からいつでも検索できるようにしておく)

電子帳簿保存法では、このような要件を満たしたうえで、電子取引データを保存しなければならないと定められています。

電子取引データ保存方法の検討

電子帳簿保存法の見直しに対応するためには、現在発生している電子取引データがどの程度あるのかを確認したうえで、電子取引データの保存方法を検討しなければなりません。

ベンチャー・中小企業などは、電子取引データの発生自体が少ないことが考えられます。

その場合、国税庁から提示されている「電子取引データファイルを検索できるよう、エクセルで台帳管理する」といった保存方法を導入することが可能です。

一方、中堅大企業で多数の電子取引データが発生するような場合は、エクセルで台帳管理するといった方法は困難だと思われます。

部門数が多く、各部門それぞれで請求書や見積書、契約書などの電子データを管理しているような場合は、新たにツールを導入して、電子帳簿保存法の規定に従った管理ができる環境を構築する必要があります。

電子取引ツールを選ぶ7つのポイント

電子取引データ量がそれなりに多く、エクセルなどを使った手作業での台帳管理が難しい場合、電子取引ツールの導入を検討しなければなりません。

そして、この電子取引ツール導入の際に、気を付けるべきポイントが7つあります。

1.検索機能があるか

2.導入期間を確認する

3.導入コストを確認する

4.現行業務との親和性があるか

5.業務の負担はどうか

6.操作しやすいか

7.セキュリティ面は問題ないか

この7つを確認した上で、電子取引ツールの導入を検討しましょう。

1.検索機能があるか

検索機能については、電子帳簿保存法で求められている検索要件に従って、検索できる機能があるかを確認する必要があります。

電子帳簿保存法では、検索機能の確保が求められています。

検索機能の確保

電子取引データを「取引先」、「取引年月日」、「金額」といった3つの項目からいつでも検索できるようにしておく

そもそもこの検索機能がない電子取引ツールは、電子帳簿保存法の要件に該当せず、導入する意味がありません。

現在販売されているツールは、大抵この検索機能があるので問題はありませんが、念のため確認してください。

また、ツール導入検討時には、

どのように電子取引データに、「取引先」、「取引年月日」、「金額」といった検索要件を付与するのか?

これについても確認しましょう。

電子取引データを検索するためには、データそのものに、「取引先」、「取引年月日」、「金額」の検索要件を付与しなければなりません。

電子取引ツールでは、電子取引データを保存する際にこれらの検索要件を手入力する方法や、OCR※機能を使って、検索要件をデータ化して取込できるものなど、さまざまです。

この検索要件の付与方法が面倒だと、ツール導入後に担当者の作業が増えてしまうといったこともあり得ますので、注意しましょう。

※OCR=印刷された文字や手書きの文字などを光学的な手段でデータとして取り込み、自動で文字を識別して、文字自体をデータに変換する技術

2.導入期間を確認する

この電子帳簿保存法対応は、大企業・中小企業すべての会社が対象となっています。

そのため、早急に電子取引ツールを導入しようと考えている会社も多くあり、電子取引ツールを提供する側の会社の対応が時間的に厳しく、ツール導入待ちになる可能性もあります。

また、電子取引ツールを導入したからといって、すぐに電子取引データを保存して、電子帳簿保存法対応ができた!ということにはなりません。

実際に電子取引データを授受して、保存を行う経理担当者、その他部署の担当者に電子取引ツールを使ってもらうために、操作マニュアルの作成や運用フローの構築が必要となります。

このように、電子取引ツールを導入するには、それなりの時間を要することを認識してください。

そして、導入期間(実際にツールを使って運用できるようになるまで)を確認し、導入から稼働までのスケジュール管理をしなければなりません。

3.導入コストを確認する

電子取引ツールの導入には、当り前にコストがかかります。

導入コストは、安ければよいというものではありません。

自社の規模や電子取引データ量を加味し、一定の機能が必要であれば、多少コストが高くても仕方がありません。(コストを抑え過ぎて、結果自社では使い勝手が悪いとなったら元も子もありません)

また、電子取引ツールは経理担当1人が使うものではなく、他部署の担当者含め、複数人が使用します。

このとき、使用者人数によって、ツールを使用するためのライセンス数とその料金も変わってきます。

後から「使用者が増えたので、コストもアップしてしまった」というようなことがないよう、電子取引ツールの使用者人数は、事前にしっかり押さえておくべきです。

4.現行業務との親和性があるか

電子取引ツールを選ぶ際、現行業務との親和性があるかどうかも検討してください。

例えば、現在使用している会計システムと連携できる電子取引ツールがあれば、電子取引データの保存と会計データの連携ができる可能性もあり、親和性が高いと言えます。

また、既に別のツールでPDFファイルなどのデータを保存しているような場合、そのツールをバージョンアップすることで電子取引データの保存にも対応できることがあります。

電子取引ツールが現行業務との親和性があれば、導入もスムーズに進みます。

電子取引ツールを選ぶ際には、現行業務との親和性を考慮して、現在使用しているシステムやツールを活用できないか検討しましょう。

5.業務の負担はどうか

電子取引ツールは様々ありますが、ツールによって機能が大きく異なる場合もあります。

必要な機能がなかった場合、作業時間が増え、場合によっては今まで以上に業務の負担が増えてしまうこともあります。

例えば、電子取引データを保存するとき、検索要件を付与しなければなりませんが、その付与がすべて手入力だった場合、業務の負担が想定以上に増えてしまう可能性があります。

電子取引ツールで、検索要件を手入力しなくてもよい機能があれば、業務の負担が軽減される可能性もあります。

業務の負担面から、電子取引ツールの機能をしっかり確認して、導入を検討してください。

6.操作しやすいか

電子取引ツールを使用するのは、現場で請求書や見積書、注文書などの書類を管理する複数の担当者です。

ITスキルの高い導入担当者が機能重視でツールを選んでしまうと、実際に導入したとき担当者から操作が難しいというクレームが入る場合もありますので注意してください。

電子取引ツールを導入する際には、できれば担当者の方にもデモを見てもらい、また実際にツール触ってもらうなどして、操作しやすいか事前に確認してもらうことをおすすめします。

7.セキュリティ面は問題ないか

電子取引ツールでは、請求書や契約書といったデータを保存することになります。社内の重要文書が電子データとして保存されるため、容易に削除されたり改ざんされないような制御ができるセキュリティ機能の有無を確認しましょう。

また、データが消失した場合のバックアップ対応がどのように行われるかも確認してください。

さらに、電子取引ツールの運用において、担当者がデータを保存し、承認者がそのデータ内容を確認のうえ承認するといった業務の流れになる場合もあります。

こうした際は、「担当者のツール操作権限」と「承認者の操作権限」がしっかり設定できるかも確認する必要があります。

電子取引ツール例

現在、さまざまな電子取引ツールがシステム会社より提供されていますが、ここでは代表的なツールを3点ご紹介します。

・Working Folder(富士フィルムビジネスイノベーション株式会社)

こちらは、複合機やDocuWorks(電子データ管理ツール)との連携ができるツールで、電子取引データの検索機能も兼ね備えています。

操作がわかりやすく、システムが苦手という人でも使いやすいツールです。

・証憑ストレージサービスTDS(株式会社TKC)

TDSは、スキャナ保存制度の要件に対応したクラウド型のストレージサービスです。TKCが提供している会計システムとの連携により、帳簿との相互関連性も確保されているという特徴もあります。

さらに、電子取引データの保存はもちろんスキャナ保存制度にも対応している電子取引ツールです。

・sweeep Box(sweeep株式会社)

sweeep Boxは請求書に最適化された電帳法ツールです。無料で高精度のAI-OCRが利用できます。

この他にもさまざまな電子取引ツールが、各社より提供されています。

今回解説した「電子取引ツールを選ぶ7つのポイント」を参考に、自社に合うツールを選択しましょう。

まとめ

今回は、電子帳簿保存法対策として、電子取引ツールを選ぶポイントについて解説してきました。

電子帳簿保存法改正において「電子取引の保存義務化」されたことに伴い、各社はそれぞれの実情に即した電子取引データの取り扱いが求められます。

そして、毎月発生する電子取引データが多い場合、データを管理するためのツールを導入する必要もあります。

ツールといっても、中小規模の会社向けから大企業向けまでさまざまあり、さらに機能もツールによって異なることから、慎重にツールを選択する必要があります。

今回解説した、電子取引ツールを選ぶための7つポイントも参考にして、自社に見合う電子取引ツールの導入を検討してみましょう。

 

執筆者情報/経理部IS
数十年間、上場企業とその子会社で経理業務に従事。
転職6回・複数の上場企業での経験を活かし、経理の転職エージェントを紹介するサイトを運営中

ブログ名:経理の転職エージェント比較専門サイト:https://www.keiri-jobchange-agent.com/

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