経理の仕事では、エクセルを使うことが多くあります。
このエクセルは表計算ソフトであり、データを加工したり、表形式にして計算することができます。
経理でエクセルが使われる理由ですが、会計システムから出力したデータを加工し、分析を行うのに適しているからです。
例えば、売上データをシステムから出力して、得意先別売上一覧を作成したり、経費データを会計システムから出力して、経費科目別に前期の経費と比較をして増減分析をしたりと、様々な場面でエクセルが使われます。
このように経理でよく使われるエクセルですが、エクセルの機能を活用すると、仕事が捗り、効率よく経理業務を進めることができます。
特に、エクセル機能の中でも関数をうまく活用できれば、経理業務の効率化に貢献します。
そこで今回は、経理業務でのエクセル活用法として、役に立つ関数の使い方を具体的に解説します。
経理担当者、エクセルに不慣れな方は、ぜひ今回の記事を読んでエクセルを使った経理業務の効率化を目指しましょう。
経理で覚えておくべき7つのエクセル関数
経理の仕事では、エクセル関数を使えると、効率よく業務を進めることができます。
このエクセル関数は、複数のデータから条件を検索したり、データをカウントしたり、数値の合計を求めたりする機能です。
現在のエクセル関数は、400超の種類があり、とてもすべてを覚えることはできません。
そこで今回は、経理の仕事で必ずと言っていいほど使われる関数を7つ厳選して解説します。
経理の仕事で使われる7つのエクセル関数
1.SUM:数値を合計する
2.SUMIF:条件に合う数値を合計する
3.VLOOKUP:データから検索条件を指定して表示する
4.IF:設定した条件にしたがって、値を表示させる
5.ROUND:数値を指定した桁数で四捨五入して表示させる
6.ROUNDUP:数値を指定した桁数で切り上げて表示させる
7.ROUNDDOWN:数値を指定した桁数で切り捨てて表示させる
ここからは、この7つのエクセル関数について詳しく解説していきます。
1.SUM:数値を合計する
SUM関数は、指定した範囲に含まれる数値をすべて合計する関数です。
SUM関数は、エクセルを使う時は必ずと言っていいほど誰もが使う関数であり、基本的な関数です。
具体的には、次のように関数を使用します。
=SUM(合計する範囲)
ここでは、SUM(B1:B6)という関数を入力しています。
セルのB1からB6までの連続した数値を、足し算して合計を求めます。
また、それぞれのセルの数値を足し算するときは、セルをカンマで区切れば、それぞれのセルの数値を合計できます。
ここでは、=SUM(B10,B12,B14)という関数を入力しています。
このSUM関数ですが、エクセルのメニューにもボタンがあります。(オートSUM(Σ)という機能です)
こちらのボタンを押せば、わざわざSUMと入力しなくても自動的に指定する範囲の数値を合計してくれます。
SUM関数は、経理の仕事において必ず使用しますので、最初に優先して覚えるべきエクセル関数となります。
2.SUMIF:条件に合う数値を合計する
SUMIF関数は、上述したSUMを発展させた関数です。具体的には、指定した範囲の中で、条件に合うものだけを足し算して合計を表示します。
=SUMIF(条件検索範囲, 検索条件, 合計範囲)
ここでは、SUMIF(A1:A6,”給与”,B1:B6)という関数を入力しています。
セルの範囲A1:A6にある科目名のうち、「給与」という科目を検索し、B1:B6の数値の中で給与に該当するものだけを合計しています。
経理業務では、会計システムから出力した科目と金額データから、一部の科目の金額だけを集計するということが行われます。
その際、SUMIF関数を使用すれば、一部の科目を検索条件にして金額集計を行うことができます。
このSUMIF関数は、経理業務のあらゆる場面で活用できますので、ぜひ使い方を覚えてください。
3.VLOOKUP:検索条件を指定して必要なデータを抽出する
VOOKUP関数は、指定した範囲内のデータから検索条件を指定して、必要なデータを抽出する関数です。
=VLOOKUP(検索条件, 検索するデータの範囲, データの何列目からデータを抽出するか, 検索方法)
たとえば、以下のような経費一覧の中から、給与の金額を抽出したいときなどにVLOOKUPの関数を使います。
ここでは、VLOOKUP(A10,A1:B7,2,FALSE)という関数を入力しています。
セルの範囲A1:B7のデータから、A10セルに入力されている「給与」という科目を検索し、セルの範囲A1:B7の左から2番目のデータ(ここではB列の数値)を抽出します。
そして、FLASEというのは、検索結果が完全に一致している場合に抽出することを示しています。
経理の仕事では、大量の会計データの中から、必要なデータだけを抽出して表示したいということがよくあります。
上記の例のように、数多くある科目と金額データの中から、給与の金額だけを抽出して表示したいといった場合には、VLOOKUP関数が活躍します。
VLOOKUP関数は、様々なデータから自分に必要なデータだけを抽出することができるため、使い方次第でエクセルを使った仕事の効率化を行うことができます。
4.IF:設定した条件にしたがって、値を表示させる
IF関数は、設定した条件にしたがって、値を表示させる関数です。
=IF(論理式, 真の場合の値, 偽の場合の値)
IFの次にある論理式とは、いわゆる条件のことです。
この条件に合うものは、真の場合の値を表示します、一方、条件に合わない場合は、偽の場合の値を表示させます。
たとえば、以下のような売上の計画と実績表があるとします。
そして、売上の実績が計画を上回っていたら、「達成」と表示をし、売上の実績が計画を下回っていたら「未達成」と自動で表示させたいとします。
ここでは、IF(B7<C7,”達成”,”未達成”)という関数を入力しています。
7行目6月の売上について、セルB7に入力されている売上計画と、C7に入力されている売上実績と比較します。
この比較が論理式となります。この場合の論理式は、「B7<C7」となっています。
これはC7(売上実績)がB7(売上計画)より大きいということです。
そして、C7(売上実績)がB7(売上計画)より大きい場合は、”達成”を表示し、そうでない場合は”未達成”を表示すると指定しています。
このようにIF関数を使うと、条件に合う場合の値表示と、条件に合わない場合の値表示を自動で行えることになります。
上記の例では、売上の計画と実績を比較し、計画を達成しているかを一目でわかるようにIF関数を使用しました。
経理の仕事では、計画や実績、前年度と今年度といったように、数値を比較することが頻繁に行われます。このとき、IF関数を使えば、比較の結果を一目でわかるようにすることができます。
このIF関数は、条件を増やして、さまざまな角度から比較をすることができますので、工夫次第でさらに高度な条件設定もできます。
経理に携わる人には、ぜひ使いこなしてほしい関数です。
5.ROUND:数値を指定した桁数で四捨五入して表示させる
ROUND関数は、経理の仕事ではゼッタイに覚えておくべき関数です。
このROUNDは、小数点など、指定する桁について四捨五入することを指定する関数となります。
=ROUND(数値, 桁数)
たとえば、「70.568」という数値があったとします。
このとき、小数点第3位を四捨五入して、小数点第2位まで表示したいとする場合、
=ROUND(70.568,2)
と入力します。
そうすると、小数点第3位の8が四捨五入され、数値は「70.570」と表示されます。
また、「7650」という数値があったとします。
このとき、10の位以下を四捨五入して表示する場合、
=ROUND(7650,-2)
と入力します。
そうすると、10の位である5が四捨五入され、数値は「7700」と表示されます。
※桁数プラスだと小数点以下を四捨五入、桁数マイナスだとゼロより大きい数値の四捨五入ができます。
このROUND関数ですが、経理の仕事では以下のような場合で、ROUND関数を使用することが多くあります。
この表は、売上の計画と実績について達成割合を表示したものです。
このような割合は、小数点は第2位又は第3位までを表示することが多いのですが、その表示の際、ROUND関数を使って小数点の表示方法を統一します。
会社によって異なる場合がありますが、小数点以下の表示を四捨五入して表示するといった決め事がある場合は、事前にROUND関数を使って、エクセルに数式を入力していくことになります。
6.ROUNDUP:数値を指定した桁数で切り上げて表示させる
ROUNDUP関数は、上述したROUND関数の発展形の関数です。
このROUNDUPは、小数点など、指定する桁を切り上げることを指定する関数となります。
=ROUNDUP(数値, 桁数)
たとえば、「33.211」という数値があったとします。
このとき、小数点第3位を切り上げして、小数点第2位まで表示したいとする場合、
=ROUNDUP(33.211,2)
と入力します。
そうすると、小数点第3位の1が切り上げされ、数値は「33.220」と表示されます。
また、「4510」という数値があったとします。
このとき、10の位以下を切り上げして表示する場合、
=ROUNDUP(4510,-2)
と入力します。
そうすると、10の位にある1が切り上げされ、数値は「4600」と表示されます。
いずれも指定した桁を切り上げして表示したい場合は、ROUNDUP関数を使用します。
経理では、数値を切り上げして表示する場面はそれほど多くないですが、ROUNDUP関数で、桁の切り上げができることは理解しておくべきです。
7.ROUNDDOWN:数値を指定した桁数で切り捨てて表示させる
ROUNDDOWN関数は、ROUNDUP関数と同様に、ROUND関数の発展形の関数です。
このROUNDDOWNは、小数点など、指定する桁を切り捨てすることを指定する関数となります。
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
たとえば、「50.278」という数値があったとします。
このとき、小数点第3位を切り捨てして、小数点第2位まで表示したいとする場合、
=ROUNDDOWN(50.278,2)
と入力します。
そうすると、小数点第3位にある8が切り捨てられ、数値は「50.270」と表示されます。
また、「5790」という数値があったとします。
このとき、10の位以下を切り捨てして表示する場合、
=ROUNDDOWN(5790,-2)
と入力します。
そうすると、10の位にある9が切り捨てられ、数値は「5700」と表示されます。
いずれも指定した桁を切り捨てして表示したい場合は、ROUNDDOWN関数を使用します。
経理の仕事では、決算書やその他決算関連資料など、数値を切り捨て表示することが多くあります。
たとえば、百万円単位切り捨て表示、千円単位切り捨て表示といったことが多くあり、ROUNDDOWN関数は多くの場面で使用されますので、しっかり使い方を覚えてください。
まとめ
今回は、エクセル活用法として、経理の仕事で役に立つエクセル関数の使い方を具体的に解説しました。
経理の仕事で覚えておくべきエクセル関数は、以下の7つです。
1.SUM
2.SUMIF
3.VLOOKUP
4.IF
5.ROUND
6.ROUNDUP
7.ROUNDDOWN
経理の仕事ではエクセルを使う頻度が多いため、エクセルの機能の中でも特に関数を活用すると、仕事が捗り、効率よく経理の仕事を進めることができます。
今回ご紹介したエクセル関数の他にも、経理の仕事を効率化させるさまざまな関数があります。
すべてのエクセル関数を覚えることは難しいため、まずは今回ご紹介したエクセル関数の使い方に慣れて、そこから発展させて、他の関数も徐々に使っていくことをオススメします。
執筆者情報/経理部IS
数十年間、上場企業とその子会社で経理業務に従事。
転職6回・複数の上場企業での経験を活かし、経理の転職エージェントを紹介するサイトを運営中
ブログ名:経理の転職エージェント比較専門サイト:https://www.keiri-jobchange-agent.com/