テレワークで発生する経費の種類・対象とは?

テレワークや在宅勤務が普及し、自宅で仕事をする機会も増えてきました。それに伴い、本来なら会社の経費であったものを従業員が負担する機会も増加。どう精算すべきか迷っているという方も多いのではないでしょうか。

今回は国税庁の『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係) 』を参考に、テレワークで発生する経費の種類や課税区分についてみていきます。

テレワークで発生する経費の種類

テレワークが始まったことにより、それ以前に比べて従業員には下記のような負担が発生しています。

  • 消耗品費:文房具、プリント用紙などの購入費用
  • 備品:ノートパソコン、モニター、パーテーションなどの購入費用
  • 通信費:電話料金、インターネットの通信費
  • 水道光熱費:電気代、水道代
  • 会議費:レンタルオフィス代、コワーキングの利用料金

これらの支出は会社が認めたものであれば、会社の経費に参入できます。いくらまで、また何を経費として認めるのかは、社内で規程を作り明確に定めておく必要があるでしょう。

課税区分はどうなる?非課税にできるものとは

テレワークにかかった経費を実費精算、または月額〇〇円という形で従業員に支払う場合、その支払いは給与所得として課税すべきなのでしょうか?それとも非課税?

その答えは、国税庁から出された『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係) 』に解説されています。

基本的に、テレワークに要した実費相当額を精算する場合には、給与所得として課税する必要はありません。非課税として支給できます。

しかし、実費精算または国税庁が示した方法での算出を行わず、またテレワーク手当として毎月決まった金額を支給し正確な実費精算を行わない場合には、給与所得として課税する必要があります。

ここからは経費ごとにより詳しくみていきましょう。

参考:国税庁|『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係) 』

消耗品費・備品

テレワーク用の消耗品や備品を購入する場合、支払方法は3通り考えられます。①会社が支払う場合、②従業員が立て替えて支払う場合、③会社から受け取った仮払金で支払い後に精算を行う場合です。

①~③のどれであっても、購入した物の所有権が会社にあるのであれば、課税をする必要はありません。所有権が会社にある状態とは従業員が現物を自由に処分できず、使用後会社へ返却する必要のある状態を指します。

現物を従業員に「貸与」し「貸しているだけ」であれば、実費精算を行う上では給与課税とする必要はないということです。②③の場合には、レシートや領収書を用いて実費精算を行いましょう。

もし購入した物の所有権が従業員に移転し使用後現物の処分を自由にできたり、従業員以外の者が使用したりする場合には、この支出は従業員への給与であるとみなされます。①で現物で受け取った場合は購入額相当が、また②③で実費精算をした場合はその金額が給与所得として課税対象になるのです。

会社が購入した消耗品や備品を従業員へ名目上「支給」する場合でも、実質的に所有権が会社にあり、従業員が現物を自由に処分できず使用後返却を行うのであれば、これは「貸与」として取り扱うことができます。

また、テレワーク手当・在宅勤務支援金などの名目で会社が従業員に毎月一定額を支払い、この金額内で従業員が消耗品や備品を購入し、その後実費相当額の精算を行わない場合には、この支給は給与課税に該当します。

電話料金・通信費

通話料金明細書等から明確に業務の分であると判別できる電話料金については、課税をせずに支給が可能です。

頻繁に電話を利用する職種で業務の利用分とプライベート分を明確に区別することが難しい場合には、国税庁から示されている以下の算式を用いて精算を行いましょう。この算式から導き出した金額を元に精算を行った場合は、課税をしなくても差し支えありません。

【算式】

業務のために使用した基本使用料や通信料等

=従業員が負担した1か月の基本使用料や通信料等×(その従業員の1か月の在宅勤務日数÷該当月の日数)×1/2

この算式は、基本使用料インターネット接続にかかる通信料にも適用できます。これらの経費もこの算式を用いた金額を精算するのであれば課税をする必要はありません。

しかし、スマートフォンの本体の購入代金サブスクリプションの利用料金には上記の算式は利用できません。これらの金額を会社負担として精算する場合には、従業員への支給額は給与所得として課税されます。

電気料金

テレワークになると、自宅の電気を業務に使用する必要が出てしまいますよね。電気料金は他の経費に比べれると「業務に使用した分はいくら」と明確に把握しづらい性質があります。

そのため国税庁からは、以下の算式を用いて合理的に計算する必要があると示されています。

【算式】

業務のために使用した基本料金や電気使用料

=従業員が負担した1か月の基本料金や電気使用料×(業務のために使用した部屋の床面積÷自宅の床面積)×(その従業員の1か月の在宅勤務日数÷該当月の日数) ×1/2

この算式を利用して求めた額を精算する場合は、給与として課税する必要はありません。

レンタルオフィス・コワーキングスペースなどの利用料金

従業員の自宅での作業が難しい場合、レンタルオフィスやコワーキングスペースを利用するケースもあるでしょう。このような場合、レシートや領収書を用いて実費精算を行うのであれば、レンタルオフィスやコワーキングスペースの利用料金を給与として課税する必要はありません。

まとめ

テレワークにより従業員が負担した費用は基本的に会社の経費にできます。何を対象とするのか、どこまで・いくらまで対象とするのかは会社ごとにルールを決める必要があるでしょう。

従業員にテレワークで使用した経費を支払う場合、基本的に実費精算であれば給与所得とする必要はなく、非課税で支給ができます。実費精算が難しい経費の場合は、国税庁の算式を用いて金額を精算するようにしましょう。

実費精算・算式を用いての精算を行わない場合、または現物の所有権が従業員に移転する場合には、その経費の支払いは給与所得として課税対象となります。従業員へ支払を行う際には、所有権がどこにあるのかを明確にしたうえで課税関係を確認するようにしましょう。

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