上場企業の決算担当者が持っておきたい5つのスキル

上場企業の決算作業って難しそう・・・

上場企業の決算作業やるには、かなりのスキルが必要じゃないか?

経理に携わっている方で、キャリアアップを目指して、ゆくゆく上場企業の決算をやってみたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

そして、上場企業で決算やるにはどんなスキルが必要なんだろう?と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、上場企業で決算をやるために持っておきたいスキルについて解説します。

現役の上場企業の決算統括者が、決算に必要なスキルを具体的に解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

上場企業で決算をやるために持っておきたいスキルは5つ

上場企業で決算をやるために持っておきたいスキルは数多くありますが、これだけは持っていて欲しいスキルを5つに絞って解説します。

上場企業で決算をやるために、持っておきたい5つのスキル

①税金計算・申告書作成スキル

②会計基準の知識

③連結財務諸表作成・開示スキル

④エクセルスキル

⑤各種システムを使いこなせるスキル

この5つのスキルがあれば、上場企業で一通りの決算作業ができます。

上場企業の多くは、決算作業を分担して行います。

この5つのスキルすべてなくても、必要なスキルが2、3あれば決算担当として決算作業に携わることも可能です。

しかし、上場企業でも規模が小さく、決算作業すべてを一人で行わなければならない人や、決算を統括する立場の人は、この5つのスキルはすべて必要です。

ここからは、この「5つのスキル」とはどのようなものなのかを具体的に解説していきたいと思います。

税金計算・申告書作成スキル

税金計算は、上場企業であれ非上場企業であれ、どの企業でもやらなければいけない決算作業の1つです。

税金計算の中でも、

・課税所得の計算

・申告書の別表作成

といったスキルがないと、税金計算ができず決算を締めることもできません。

この税金計算、非上場の中小企業であれば、顧問税理士に依頼することが多いのですが、上場企業の多くは、自社の経理部員が計算を担当しています。

上場企業は税金計算の申告調整などが多く、税金計算も複雑になりがちです。

このため、複雑な申告調整内容を把握している経理部員が計算したほうが効率よく計算できることもあり、税金計算は自社で完結させているところが多いのが実情です。

さらに申告書一式を作成して、申告納付といった一連の作業を自社で行うため、税金計算から申告納付まで一連の処理ができる人が必要です。

最近では、税金の電子申告や電子納付が強制化されつつあり、上場企業でも電子化対応までできる人材が必要となっています。

会計基準の知識

上場企業では、決算処理に必要な会計基準を理解していないと、決算を締めることができません。

特に、以下の会計基準に基づく決算処理は、上場企業では必ず発生します。

・税効果会計

・固定資産の減損

税効果会計は、会計上の利益に見合った税金費用が計上されるように、調整する作業であり、税金計算に合わせて必ず実施しなければなりません。

固定資産の減損については、実際に減損処理をしなくとも、減損の対象となるかどうかを基準に照らし合わせて検討しなければなりません。

また、有価証券を保有していたら「金融商品に関する会計基準」、退職金制度があれば「退職給付に関する会計基準」といった基準を理解し、決算処理を実施しなければなりません。

このように、各種の会計基準の知識がないと、決算処理を行うことができません。

様々な会計基準がありますが、最低でも自社で発生する決算処理に関する会計基準の知識は欲しいところです。

連結財務諸表作成・開示スキル

ほとんどの上場企業には子会社があり、必ず子会社を含めた連結決算を行わなければなりません。

(上場したばかりの小さい会社などは、子会社もなく連結は不要ですが)

そして上場企業は、四半期ごとに連結財務諸表を開示しなければなりません。

この連結財務諸表作成・開示スキルとは、

・連結財務諸表に関する会計基準に従って、連結決算処理ができる

・開示基準に従って、連結財務諸表や注記事項を記載した有価証券報告書などの書類を作成できる

といったスキルです。

連結財務諸表を作成して開示することは、上場企業の義務です。

義務を果たさないと、上場廃止となってしまいますので、この連結財務諸表作成・開示スキルは、上場企業で決算をやるためには必須のスキルと言えます。

実際のところ、この連結財務諸表作成・開示スキルを持っている人は少なく、上場企業でもこのスキルを持つ人材を確保するのに苦労します。

そのため連結財務諸表作成・開示スキルを持つ人材は、社内のみならず転職市場などでも貴重な人材として重宝されます。

エクセルスキル

経理の仕事でエクセルを使うのは、今や当り前となっています。

上場企業、非上場企業に関わらず、データを加工したり集計するためにエクセルを使用していることが多いですね。

特に上場企業では、データを他部署からもらったり、様々なシステムからデータを出力して、決算に必要なデータに加工したり集計する作業が多くあります。

その際、複雑な関数や、ピボットテーブルを活用しながらデータの加工集計して、効率よく決算作業を行わなければなりません。

場合によっては、エクセルマクロVBAを活用して、できるだけ早く効率よく決算作業を進める必要があります。

特に上場企業は、決算開示をする期日が決まっており、できるだけ早い開示が望まれているため、決算作業も早くかつ効率よく行わなければなりません。

そのため、決算に必要なデータを加工集計するためのエクセル作業を、いかに効率よく使えるかが重要となってくるのです。

実際に、上場企業の決算担当者のエクセルスキルはかなりのものです。

(必要に迫られて、エクセルスキルを磨いた人が多いですね)

各種システムを使いこなせるスキル

どの会社でも、今やシステムを使って業務をするのが当たり前の状況です。

経理では会計システムを使うことが普通ですが、決算作業では、

・会計システム

・連結システム

・固定資産システム

・原価管理システム

・予算管理システム

・販売管理、生産管理などの基幹系システム

といった、様々なシステムからデータを集めて決算処理をする必要があります。

社内の各種システムを使いこなせないと、決算作業をすることは困難といってもいいくらいです。

このように様々なシステムを使って必要なデータを収集し、決算作業を行わなければならない決算担当者は、システムの操作が得意でなければいけません。

実際に上場企業の決算担当は、システムのマニュアルをちょっとチェックする程度で、あとは使いながら操作を覚えていくようなITリテラシーが高い人が多いです。

一方、システムに対して苦手意識を持っており、なかなかシステムを触ろうとしない人は、残念ながら上場企業の決算を担当するには厳しいと言わざるを得ません。

まとめ

今回は、上場企業で決算をやるために、持っておきたいスキルを5つに絞って解説しました。

上場企業の経理で持っておきたい5つのスキル

①税金計算・申告書作成スキル

②会計基準の知識

③連結財務諸表作成、開示スキル

④エクセルスキル

⑤各種システムを使いこなせるスキル

この他にも必要なスキルはありますが、この5つのスキルがあれば、上場企業で一通りの決算作業ができます。

このようなスキルを身につけるには、勉強して会計やエクセルなどの基本を覚え、さらに実際に決算業務を経験しながらスキルをアップさせていく必要があります。

すぐに5つのスキルを身につけるのは簡単なことではありません。

実際のところ、このようなスキルをすべて持っている人は多くはありません。だからこそ、社内のみならず転職市場などでも貴重な人材として重宝されます。

上場企業で決算をやるために持っておきたいスキルを身につけることは難しいですが、

・経理でキャリアアップを目指してみたい方

・ゆくゆくは上場企業の経理をやってみたいと考えている方

このように考えている方は、ぜひ上場企業の決算業務ができる人を目指して、自分の価値を高めてみませんか。

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執筆者情報/経理部IS
20年以上にわたり、上場企業とその子会社で経理業務を経験。
転職6回・複数の上場企業での経験を活かし、経理を中心とした仕事に役立つ情報をブログで発信中。

ブログ名:経理課長の仕事術 https://www.keiri-manager.com/

 

 

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