副業でも確定申告が必要です。確定申告をするときにまず悩むのが「自分は白色申告?青色申告?」という問題。
青色申告には、白色申告にはない「特別控除」が用意されています。最大65万円の控除を受けることができ、節税効果を得ることができます。
しかし、副業で青色申告を利用することはできるのでしょうか?
今回は副業の確定申告についてみていきましょう。
副業の確定申告は白色申告?青色申告?
副業でも所得額が20万円以上の場合は確定申告が必要になります。所得は収入(売上)ー経費で算出することができ、副業の収入を得るために支出した費用は収入から差し引くことができます。
確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。「自分はどちらかな?」と悩んだときには「開業届を出したか出していないか」で判断しましょう。
白色申告:開業届を提出していない人
青色申告:開業届及び青色申告承認申請書を提出した人
参考:国税庁|副収入などがある方の確定申告
副業でも開業届は提出すべき?
副業の方でも場合によっては開業届を提出した方がよいケースもあります。今後本業を辞め副業をメインの仕事として考えている場合や、副業として得ている収入が多い場合などが該当します。
開業届を提出するには「事業として」仕事を継続的に行っていなければなりません。「事業として」とは具体的にはこのようなことを指します。
「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。例えば、商店が販売用の商品を売った場合や、運送業者が運送サービスを提供して対価を受け取るような場合が典型的なものです。
参考:国税庁|No.6109 事業者が事業として行うものとは
上記に該当する方は副業でも開業届を提出することができます。自分が該当するかどうかは慎重に検討するようにしましょう。
開業届はe-Tax、または税務署への持参・郵送にて提出することができます。開業届を提出するときは、合わせて「青色申告承認申請書」を提出するようにしましょう。青色申告承認申請書を提出すると、青色申告にて確定申告をすることができます。
青色申告は白色申告に比べてお得
青色申告には青色申告特別控除と呼ばれる特別控除があります。控除額には10万円、55万円、65万円の3種類があり、最大65万円分の控除を受けることができます。この特別控除は白色申告にはありません。青色申告だからこそ得ることができる節税効果なのです。
但し、青色申告は白色申告に比べ会計処理に手間暇がかかってしまいます。複式簿記での基調を義務付けられているからです。
最大65万円分の控除を得たい場合は青色申告、控除額より申告の手軽さを選択したい場合は白色申告。どちらが自分にとって最良か考慮の上選択するようにしましょう。
e-Taxを利用して青色申告特別控除65万円を利用しよう
青色申告の人はe-Taxを利用しましょう。青色申告には青色申告特別控除という控除枠があり、通常控除額は10万円か55万円です。しかし、ある条件を満たせばその控除額が65万円まで拡大されます。
・確定申告をe-Taxによる申告(電子申告)で行う
・仕訳帳及び総勘定元帳を電子帳簿保存する
e-Taxとは、申告や納税などの手続きをインターネットを介して行える国税庁のシステムのこと。紙での持参や郵送をやめ、インターネットを使って確定申告すると65万円の控除を受けることができます。
後者の電子帳簿保存とは、帳簿を電子データのままで保存することができる制度のこと。この制度の適用を受けるには、事前に申請書を提出し税務署の許可を受けている必要があります。帳簿の備付けの3か月前には承認を得ていなければならないため「確定申告をこれから行う」という段階ではもう間に合いません。
e-Taxは初期登録を行えばその時点から利用できるようになります。電子帳簿の申請書を提出していない方はe-Taxを利用して65万円の控除を利用しましょう。
参考:国税庁|令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額・基礎控除額が変わります!!(令和元年5月)
e-Taxを利用した確定申告の手順
確定申告で一番時間がかかる部分は必要となる書類を作成したり集めたりすることです。
特に、青色申告の場合損益計算書や貸借対照表が必要になります。これらは複式簿記によって日々の取引の状況を記録することで作られていくものです。確定申告前に1年分まとめて行おうと考えている方は、相当の準備時間を見込んだ上で作業に取り掛かるようにしましょう。
e-Taxソフトの初期登録
e-Taxソフトを初めて利用するときには、初期登録が必要になります。利用者識別番号の取得や電子証明書の取得などを行います。登録にはマイナンバーカードとICカードリーダーが必要です。事前に準備をして取り掛かるようにしましょう。
下記国税庁のサイトから登録を進めることができます。
参考:国税庁|(e-Tax)ご利用の流れ
本業の源泉徴収票を入手する
本業で得た給与所得や社会保険料が記載されている源泉徴収票を入手しましょう。会社の総務・労務・経理部門にて発行されているケースが多いです。
控除書類を集める
医療費控除や寄付金控除など、控除の対象となる事項がある方は必要書類を用意してください。
決算書を作成する
青色申告を行うためには、複式簿記で記帳を行った決算書が必要となります。損益計算書や貸借対照表といった必要書類は事前に作成しておくようにしましょう。
確定申告書を作成する
準備が整ったら、確定申告書を作成しましょう。e-Taxを利用して申請する方は、国税庁の確定申告書等作成コーナーから作成することができます。
確定申告書は、基本的に事前準備で集めた書類の数値や情報を転記すると完成します。インストラクションに従って、数字を入力していきましょう。
クラウド会計ソフトの中にはソフトとe-Taxを連携させて確定申告ができるソフトがあります。「どこに何を記入すればいいかわからなくなりそう」という方は、確定申告機能がついたクラウド会計ソフトを利用することをおすすめします。
参考:国税庁|確定申告書等作成コーナー
まとめ
副業であっても、事業であると認められる事業を展開している方は青色申告を利用することができます。青色申告は白色申告に比べて節税効果が得られます。その反面、複式簿記での帳簿など会計処理は複雑に。どちらを選ぶかは慎重に検討しましょう。
確定申告は、実際の申告書記入より事前の書類準備に時間がかかります。特に、損益計算書や貸借対照表は1年間の仕訳の集大成であるため、確定申告書の提出期限ぎりぎりの作業開始では作成が間に合わない可能性もあります。
確定申告書の提出期限は、毎年3月15日です。(土日祝の場合は翌営業日)当日までに必要な作業工数をしっかりと見積もり、逆算の上期日に間に合うよう作業を進めていきましょう。