インボイス制度でフリーランスはどうなる?できる対策とは

2023年10月よりインボイス制度が開始されます。インボイス制度が開始されるとフリーランスや個人事業主にはどのような影響があるのでしょうか?また、どのように対策していけばいいのでしょうか?

今回はインボイス制度がフリーランスに与える影響とリスク、そしてそのリスクへの対応策についてみていきます。

インボイス制度はフリーランスや個人事業主に不利?

「適格請求書等保存方式」ー通称インボイス制度が2023年10月より開始されます。「インボイス制度はフリーランスや個人事業主に不利」と聞きますが、具体的にはどのような点が不利なのでしょうか?

それを理解するには「仕入税額控除」と「課税事業者・免税事業者」について理解している必要があります。

仕入税額控除とは?

消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上げに係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算します
参考:国税庁|No.6451 仕入税額控除の対象となるもの

仕入課税控除とは、売り上げたときに受け取った消費税額から、仕入れたときに支払った消費税額を控除すること。仕入税額控除を受けることができる場合、納税する消費税額は課税売上げに係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額で算出することができます。

一方、仕入税額控除を適用できないとなると、課税売上げに係る消費税額ーつまり、売り上げたときに受け取った消費税額の全額を納税することになります。
参考:国税庁|No.6455 免税事業者や消費者から仕入れたとき

課税事業者と免税事業者

消費税では、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます
参考:国税庁|No.6501 納税義務の免除

この消費税納税の義務が免除されている事業者のことを免税事業者と言います。一方、納税する義務がある事業者は課税事業者と呼ばれています。

基準期間における課税売上高(個人事業主の場合は前前年度)が1,000万円を超えた場合、消費税課税事業者届出書の届出を行い、課税事業主となります。1,000万円以下の個人事業主・フリーランスの方は特に何もしなくても免税事業者扱いです。そのため、多くのフリーランス・個人事業主の方は免税事業者に該当します。

課税事業者となっている企業や個人は前述の仕入税額控除を受けながら消費税額を計算し、納税を行っています。

インボイス制度がフリーランスに影響を与える理由

ではこの仕入税額控除と課税事業者・免税事業者はインボイス制度とどのように関りがあるのでしょうか?

インボイス制度が開始されると、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには適格請求書の保存が必要になります。適格請求書とは、インボイス制度に対応した新しい請求書の形式です。この適格請求書を交付することができるのは登録を行った課税事業者のみ。つまり、免税事業者は適格請求書を交付することができません。

適格請求書が発行できないとなると、その免税事業者から仕入を行った企業は免税事業者に支払った消費税分の仕入税額控除を受けることができなくなります。

フリーランスや個人事業主の大部分は免税事業者です。今のままでは適格請求書を交付することはできません。つまり、企業によって免税事業者であるフリーランスや個人事業主からの仕入課税事業者からの仕入と比べて納税額が増えてしまうため、取引を減らす企業が出てくる可能性があります。

参考:国税庁|インボイス制度の概要
参考:国税庁|消費税の軽減税率制度・適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)

免税事業者のままでいるリスク

企業が取引先を選ぶときに、同じサービスや商品を提供している課税事業者と免税事業者がいた場合、価格がほとんど変わらない額であるならば課税事業者の方が選ばれるようになるかもしれません。

その理由は、免税事業者に支払った代金は仕入税額控除をすることができないからです。一方、適格請求書を発行できる課税事業者からの仕入であれば今まで通り仕入税額控除をすることができます。より具体的にみていきましょう。

課税事業者の方が取引先に選ばれやすい

同じサービスを扱う課税事業者Aと免税事業者Bがいたとします。
・サービス本体価格 10万円、消費税 1万円

このような価格の場合、課税事業者Aと取引をした企業は1万円を仕入税額控除することができます。仕入税額控除を受けることができると、売り上げた時に受け取った消費税額から仕入れた時に支払った消費税額を控除して納税することが可能です。売上時に受け取った消費税額が5万円あったとすると、Aに支払った消費税額1万円を控除して納税額は4万円となります。

一方、免税事業者Bと取引をした場合、仕入税額控除を受けることはできません。そのため、受け取った消費税額5万円から差し引ける消費税額が0円となり、納税額は5万円になります。

つまり、課税事業者Aと取引をした方が企業が実質的に負担すべき金額が1万円安く済むのです。

同じ商品・同じサービスであるなら、実質的に安い方を選びたくなってしまいますよね。この点が免税事業者のままでいるデメリットであると言えます。

リスク回避策ー課税事業者になる

免税事業者のままでいるリスクを回避する一番の方法は、やはり課税事業者になることです。課税事業者になると適格請求書を発行することができるため、取引先は仕入税額控除を受けることができます。

しかし、課税事業者となると消費税の納税が義務となってきます。納税する消費税額は通常このように計算されます。

課税売上げに係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額

上記計算式に数字を当てはめるには、受け取った消費税額と支払った消費税額を正確に把握していなければなりません。今までに比べて会計処理や納税にかかる時間や手間が増えることになります。

この負担を軽減する方法に簡易課税制度を利用する方法があります。

簡易課税制度とは?

課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。
参考:国税庁|No.6505 簡易課税制度

この制度は、仕入税額控除の計算を簡易的に行うことができる制度です。

通常仕入税額控除の額は実際に課税仕入れで支払った消費税額を計算します。一方、こちらの制度では売上に一定割合を掛ける簡易的な方法で仕入税額控除を算出することが許可されています。これにより仕入税額控除を厳密に計算する必要がなく、計算にかかるコストや時間を削減することが可能になります。

課税事業者になるべき?

インボイス制度が開始されるとフリーランスや個人事業主といった免税事業者にリスクがあることがわかりました。では、免税事業者は課税事業者になるべきなのでしょうか?

その答えは個人によって異なります。

取引先が免税事業者ばかりの場合や取引先が少数でそのすべてと取引の継続や料金について良い方向で契約が続けられる場合など、インボイス制度の影響をあまり受けない方はわざわざ課税事業者となる必要はないでしょう。

しかし、そうではない方は一度検討をしてみることをおすすめします。課税事業者となれば適格請求書を交付できますが、消費税を納税する義務が発生します。自分にとってどちらがメリットが大きいのか、よく考えた上で判断するようにしましょう。

インボイス制度には経過措置がある

インボイス制度は2023年10月より開始されます。しかし、開始してしばらくの間は経過措置が講じられます。

免税事業者からの仕入税額控除がまったくできなくなってしまうのは2029年10月からです。免税事業者からの仕入であっても、2026年9月30日までは80%、2029年9月30日までは50%相当の仕入税額控除を行うことができます。

そのため、課税事業者になるべきかどうか今すぐ結論を出す必要はありません。

参考:国税庁|消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます

まとめ

インボイス制度は免税事業者のフリーランスや個人事業主の仕事に影響を与える可能性のある制度です。免税事業者のままでいるのか、課税事業者となるのか。制度開始は2023年、そして経過措置の終了が2029年とまだ考える時間は残されています。自分にとって何を選択すべきなのか、ゆっくり考えてみるようにしましょう。

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