検収とは仕入れた商品の確認を行うこと。適切なタイミングで検収を行わないともし注文と納品で相違があった場合に「今更言われても遅い」「納品したときには何も言われなかった」「そちらが合っている証拠がない」などといった理由で取引先とトラブルになることも。
このような事態を防ぐためにも、検収は商品受領後迅速に行う必要があります。今回は検収をメインに仕入業務についてみていきます。
1.仕入業務とは
仕入業務とは、商品や材料などを取引先から購入する(仕入れる)ことをいいます。
ー仕入業務の流れ
①仕入れたい商品を探す
②見積依頼書を作成し、取引先に提出する
③取引先から見積書を受け取る
④見積書の内容を検討する
⑤問題なければ取引先へ発注書を提出する
⑥取引先から発注請書を受領する
⑦取引先から商品と納品書を受領する
⑧届いた商品の検収を行い検収書を提出する
⑨受領書を作成し、取引先に提出する
⑩取引先から請求書を受領し、支払いをする
⑪取引先から領収書を受け取る
仕入業務はこのような流れになっています。
しかし、見積依頼書や発注請書、検収書といった書類は発行が義務付けられているわけではありません。そのため、発行が省略される場合もあります。
どの書類を作成するのか、どの程度の書類が求められるのかは会社によって異なります。初めて取引をする際に確認するようにしましょう。
一般的に、赤線が表示されているステップは行われることが多いです。
2.仕入の計上基準
仕入を行ったときは、その取引を仕訳として残しましょう。仕入の仕訳を計上するタイミングには「発送基準」「入荷基準」「検収基準」の3つの考え方があります。
ー発送基準
取引先から商品が発送された日を計上日とする基準です。3つの基準の中で一番計上日が早くなります。
ー入荷基準(納品基準)
取引先から商品が納品された日(商品が到着した日)を計上日とする考え方です。
ー検収基準
届いた商品の検収を行った日に計上をします。
これらの基準は事業内容に即したものを選ぶことができます。基本的に一度選んだ計上基準は継続して使い続けることになります。もし変更する必要がある場合は、税理士等に相談の上慎重に検討するようにしましょう。
3.検収する際に注意すべき点
商品を受け取ったら検収を行いましょう。注文をした商品と同じものが届いているのかどうか確認を行うことが検収です。注文書や納品書と、商品を付け合わせをしながら確認することが一般的です。
商品の納品後に、取引先へ検収書を提出したり確認のサインを求められたりすることがあります。このときに「検収した内容に間違いがない」「発注したものと同じである」と取引先に報告をしてしまえば、この後から「実は間違っていた」と申し出ることは非常に難しいです。
そのため、検収は適切なタイミングで行い、間違いがないことをしっかりと確認する必要があります。ここから先は、検収するときに気を付けたい5つのポイントをみていきます。
モノ
注文した商品と同じモノが届いているかどうか確認しましょう。商品の型番が合っているか、サイズが合っているかなど、事細かな確認が必要となります。
数量
注文した数量と同じ数が届いているかどうか確認しましょう。大量に商品を注文した場合など、一つ一つ商品の個数を数えることが難しい場合もあります。そんなときでも箱やロット単位で確認を行うなど、できる限りの確認をすることが重要です。
品質
商品の品質に問題がないか確認しましょう。破損していないか・不具合がないか等よくチェックしてください。
金額
納品された商品の単価や合計額が発注したものと同じかどうか確認しましょう。
日付
納品書や検収書に記載されている日付が正しい日付か確認してください。もし間違っていると、この日付を元に仕訳を計上しているときに証憑と実態で日付がずれてしまいます。速やかに訂正してもらうようにしましょう。
4.検収書の書き方
検収書は、商品を検収したことを表すための書類です。検収書には下記事項を記載しましょう。
- どこから仕入れたのか(取引先の会社名や住所等)
- どこが仕入れたのか(自社の会社名や住所等)
- いつ納品されたのか(納品日)
- 何を仕入れたのか(仕入れた商品の品名や型番等)
- 何個仕入れたのか(仕入れた商品の数)
- いくらで仕入れたのか(仕入れた商品の単価や合計額)
- 誰が検収をしたのか(検収者の氏名)
- いつ検収を行ったのか(検収日)
検収書は取引先が作成するケースと自社で作成するケースのどちらもあり得ます。取引先から発行される場合は、商品と一緒に届けられることが一般的です。それとは逆に自社で発行し取引先に渡すケースも考えられます。
「どちらにしなければならない」というきまりはありません。自社や取引先の都合に合わせて柔軟に対応するようにしましょう。
5.まとめ
検収とは仕入業務の一環です。仕入れた商品の数や品質の確認を行います。検収を行わず放置してしまうと、商品の不足や問題が起こった際に取引先とトラブルになってしまう可能性があります。商品を仕入れた際は、納品書や注文書と付け合わせをしながら迅速に検収を行うようにしましょう。