今回のテーマは借入金。会社を運営していく上で資金は欠かすことの出来ないものです。設備投資や新規事業の開拓など、社内から捻出できる金額以上の資金が必要となることもあるでしょう。
そんなときに利用したいのが金融機関を始めとする外部からの資金提供です。外部から借り入れたお金は「借入金」勘定で処理をしていくことになります。
この記事では、借入金とは何なのか?ということから始まり、借入金や支払利息の仕訳、決算時の対応について記載しています。
1.借入金とは
借入金とは、銀行をはじめとする金融機関や取引先、知人から会社のために借り入れた資金のこと。融資を受けた場合にも使われる勘定科目です。
借入金は返済までの期間に応じて2種類に分けられます。短期借入金と長期借入金です。
短期借入金とは、返済期限まで1年以内の借入金のこと。一方、長期借入金とは返済まで1年以上の期間がある借入金です。
逆にお金を貸し付けた場合は貸付金と呼ばれています。
2.借入金の仕訳
借入金は、お金を借り入れたときと返済したときに仕訳を計上する必要があります。返済期限まで1年以上と以下の両方の借り入れがある場合は、短期借入金と長期借入金にそれぞれ金額を振り分けて仕訳を計上しましょう。
ーお金を借りたときの仕訳
借入金 1,000万円(内1年以内返済 200万円)を銀行振込で受け取った場合
借方 | 貸方 |
預金 1,000万円 | 短期借入金 200万円 長期借入金 800万円 |
ー借入金を返済したときの仕訳
借入金 50万円を銀行振込にて返済した場合
借方 | 貸方 |
短期借入金 50万円 | 預金 50万円 |
3.支払利息の仕訳
借入金は返済する際に利息を支払うことが一般的。利息の利率は借入先から指定されているか、または借入時に双方話し合いの上決定します。
資金を借りている期間が短い短期借入金は金利が低く、また長い間借りることになる長期借入金は短期借入金に比べて金利が高くなりがちです。
利率は金融機関や制度によって大きく異なっています。そのため、融資として借入を検討する際は利率の比較を忘れないようにしましょう。
支払利息は借入金額×利率(年率)÷12か月で1か月分の利息を計算することができます。3か月分支払う場合はその額に3を、半年分の場合はその額に6を掛けて計算するようにしましょう。
ー利息を支払うときの仕訳
借入金 50万円を返済し、支払利息 1万円を支払う場合
借方 | 貸方 |
短期借入金 50万円
支払利息 1万円 |
預金 51万円 |
支払利息は非課税となるため、消費税を計上する必要はありません。その理由は、消費税は消費に対して負担を求める税であるのに対し、支払利息は課税の対象としてなじまないためです。詳細は下記国税庁のホームページを参考にしてください。
参考:国税庁|No.6221 預金や貸付金の利子など
4.決算時の借入金の仕訳
決算時には1年以内に返済予定となった長期借入金を短期借入金に組み換える必要があります。
借り入れたときは長期借入金であったが、1年が経過したことにより短期借入金となった額(=翌期返済予定額)を短期繰入金に振り替えます。その際消費税は発生しません。
ー長期借入金から短期借入金に振り替えるときの仕訳
決算時に返済期限が1年以内となった長期借入金 200万円を短期借入金に振り替え
借方 | 貸方 |
長期借入金 200万円 | 短期借入金 200万円 |
5.決算時の利息の仕訳
今期発生の支払利息を翌期に支払う場合、未払利息として仕訳を計上します。
借入金の返済を毎月行っている場合は発生しない仕訳です。返済が1年に一度や半期に一度など、決算をまたいで翌期に持ち越しになる場合に行う必要があります。
例としてひとつ仕訳をみていきましょう。10月1日に1,000万円借り入れ、翌年9月30日に全額返済予定。利率は年利6%とします。決算は3月31日です。
その場合、1か月分の利息は
1,000万円×6%÷12か月=5万円
となります。
10月1日から決算である3月31日までは6か月か経過しています。そのため、未払利息を今期に6か月分計上する必要があります。
ー未払利息を計上するときの仕訳
決算時に今期分の未払利息6か月分(30万円)を計上
借方 | 貸方 |
支払利息 30万円 | 未払利息 30万円 |
6.借入金は損益計算書に計上される?
借入金は損益計算書には記載されません。借入金を返済するときにお金が減るので「お金を支払った=費用では?」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、借入金の返済は費用ではないため損益計算書には記載されません。
借入金の残高は貸借対照表にて確認できます。これは短期借入金も長期借入金も変わりありません。
一方、支払利息は違います。利息の支払は費用であるため、営業外費用として損益計算書に表示されることになります。
7.まとめ
金融機関を始めとする外部から資金を調達したときは、借入金勘定で仕訳処理をします。借入金は返済までの期間によって1年以内は短期借入金、1年以上は長期借入金に分かれます。
借入金を返済するときには利息が発生します。非課税の支払利息勘定を利用しましょう。
決算の際は、長期借入金を短期借入金に振替します。また、未払の利息がある場合は未払利息を計上をするようにしてください。