引当金とは?計上するためのルールや仕訳を具体例とともに解説!

会計の用語である「引当金」、
経理の仕事に関わる方にとっては、たびたび耳にする言葉ですが、内容はあまり知らない・・・
そんな方も多いかと思います。

そこで今回は、この「引当金」とはなにか?
そして、引当金を計上するためのルールや具体例な引当金の仕訳について解説していきます。

引当金とは?

引当金とは、 「将来の費用または損失の発生に備えて、事前に準備する経理処理」 をいいます。

会計的に、「費用または損失の発生に備えて、事前に準備する」とは、
今現在、費用や損失が発生していなくても、前もって費用や損失を計上しておくということです。

そして、前もって費用や損失を計上するためには、一定の条件があります。 その一定の条件とは、

① 将来に発生が見込まれる損失または費用であること
② 損失または費用の発生原因が事前にわかっていること
③ 損失または費用の発生する確率が高いこと
④ 損失または費用のおおよその金額が計算できること

この4つの条件です。

会計のルールでは、
この4つの条件を満たすと、 損失または費用を前もって計上しなければらないと決められています。

※この会計のルールとは「企業会計原則注解18」に定められています。

引当金には2つの種類がある

引当金には種類が2つあります。

① 評価性引当金
② 負債性引当金

引当金はこの2つの種類があることを理解しておく必要があります。
ここからは、この2つの種類の引当金の内容について解説してきます。

評価性引当金とは?

評価性引当金とは、
今持っている資産の価値が、将来下がる可能性がある場合に、計上する引当金のことをいいます。

具体的には、「貸倒引当金」というものがこれに該当します。

ここでは、貸倒引当金を例にとって、評価性引当金を説明していきます。

① 商品を売って将来お金を回収する場合、将来回収するお金を売掛金として計上します。
② この売掛金、商品を売った相手の業績の悪化を理由に、お金が支払われない場合があります。
③ 相手からお金を支払われない可能性が高まれば、その売掛金の価値は下がる可能性があります。
④ この時、売掛金の価値がどれだけ下がりそうか計算して、前もって引当金を計上します。

貸倒引当金は、売掛金という資産の価値が将来下がる可能性がある場合、計上するものです。
これが正に評価性引当金に該当します。

将来の売掛金の価値下落に対して引当金計上する ⇒ 貸倒引当金を計上する = 評価性引当金

このように理解をすると、評価性引当金の意味が分かりやすくなるかと思います。

 

評価性引当金の経理処理

評価性引当金の中でも「貸倒引当金」は、経理実務において発生する可能性が高い処理となります。
例えば、売掛金の相手先が倒産し、売掛金が回収できなくなってしまった場合、どれだけ売掛金が回収できなくなりそうかを見積もって、

「貸倒引当金繰入額 / 貸倒引当金」

という仕訳を起票します。
これにより、将来発生が見込まれる売掛金の価値下落額を決算書に反映させることができます。

 

負債性引当金とは?

負債性引当金とは、
将来、お金の支出が見込まれる場合(将来費用が計上される見込みがある場合)に備えて、計上する引当金とのことをいいます。

具体的には、「賞与引当金」、「退職給付引当金」といったものがこれに該当します。

ここでは、賞与引当金を例にとって、負債性引当金を説明していきます。

① 賞与は12月に支払われる予定です。
 ⇒賞与は、将来に発生が見込まれます。

② この賞与、4~9月に働いた結果、支払われるものです。
 ⇒賞与が発生する原因は、4~9月に働いた結果で、事前にわかっていることです。

③ 会社の業績が相当悪化しない限り、従業員に支払われることが確実です。
 ⇒賞与の支払いは、発生する確率が高いです。

④ 賞与の金額は、会社の業績に合わせて、おおよその金額を決めることができます。
 ⇒賞与の金額を見積計算することができます。

このように、賞与の支給額が確定していないとはいえ、おおよその支給額を見積もることができ、その支給は確定的なものであることから、負債として引当金に計上します。
これが正に負債性引当金に該当します。

 

負債性引当金の経理処理

負債性引当金の中でも「賞与引当金」は、経理実務において発生する可能性が高い処理となります。
例えば、夏や冬に賞与の支給が予定されている場合には、事前に、

「賞与引当金繰入額 / 賞与引当金」

という仕訳を起票します。
この仕訳を起票することで、将来支給が見込まれる賞与を負債に計上することができます。

ちなみに、
賞与の支給額が確定した場合には、負債科目の「賞与引当金」から「未払金や未払費用」といった科目に振替する必要があります。

 

まとめ

今回は、引当金ついて具体例を用いて、わかりやすく解説しました。

引当金を理解するには、以下の3つの項目を抑えておく必要があります。

① 引当金は、将来の費用または損失の発生に備えて、事前に準備しておくもの

② 会計ルールでは、4つの条件を満たすと引当金の計上が必要になる
 ・将来の特定の費用又は損失であること
 ・その発生が当期以前の事象に起因すること
 ・発生の可能性が高いこと
 ・金額が合理的に見積り可能なこと

③ 引当金には2つの種類がある
 ・評価性引当金
 ・負債性引当金

経理実務においては、引当金を計上すべきかどうか悩む場面が多くあります。

今回解説した内容を理解して、正しく引当金が計上できるようにしましょう。

 

執筆者情報/経理部IS
20年以上にわたり、上場企業とその子会社で経理業務を経験。
転職6回・複数の上場企業での経験を活かし、経理を中心とした仕事に役立つ情報をブログで発信中。

ブログ名:経理課長の仕事術 https://www.keiri-manager.com/

 

 

 

請求書の受け取りはsweeepで自動化

【AI請求書処理】従来の請求書OCRでは対応できない非定型帳票や

自動会計仕訳も、sweeepなら対応可能!最短で即日導入、

面倒な設定不要。手軽に導入して請求業務を効率化。