消費税の非課税取引とは具体的に何?経理が注意すべきポイント!

今回は、消費税の非課税取引について解説します。

経理の実務では、
「消費税が課税される、課税されない」
ということを判断しなければならない場面がよく出てきます。

その消費税が課税される、課税されないの判断を行うためにも、
「消費税の非課税取引」 というものを理解する必要があります。

では早速、消費税の非課税取引について解説してきます。

消費税の非課税取引とは?

消費税の非課税取引とは、 消費税の課税対象ではあるものの、
政策あえて課税しない取引 のことをいいます。

あえて課税しない取引は、種類が2つあります。

○ 消費税の課税対象としてなじまないもの
○ 社会政策的配慮から、課税されないもの

消費税がかからない非課税取引には、種類が2つあること理解してください。

この2つの種類の非課税取引ですが、具体的にはどのような取引が該当するのでしょうか。
ここからは、2つの種類の非課税取引別に具体的な取引の内容について解説します。

消費税の課税対象としてなじまないもの

消費税の課税対象としてなじまないものとは、どのような取引でしょうか。
取引の具体例を解説してきます。

1.土地等の譲渡及び貸付

消費税は、消費したものに関して課される税金です。
土地は、消費や摩耗はしないので、土地の譲渡や貸し借りは非課税取引として課税されません。

注意点としては、
土地の貸付期間が1ヵ月未満の短期間である場合は、非課税取引となりません。
また、駐車場などの施設を貸付する場合も、非課税となりません。

2.有価証券等及び支払手段(紙幣等)の譲渡

有価証券とは、国債、地方債、社債、株式などのことをいいます。
支払手段とは、銀行券、硬貨、小切手、為替手形や約束手形などのことをいいます。

このような有価証券や支払手段を譲渡した場合は、非課税取引として課税されません。

注意点としては、
収集品である紙幣やコインなどは、非課税取引となりません。

3.預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等

国債、社債、預貯金などの利子、信用の保証料、保険料がこれに該当します。

とくに保険料は、生活や健康を守るためのものであったりするので、
消費税の課税対象になじまないものとして非課税取引とされています。

4.郵便切手類、物品切手等の譲渡

郵便切手類とは、切手や印紙・証紙のことです。
物品切手等とは、プリペイドカード、さまざまな商品券や図書カードのことです。

注意が必要なのは、
郵便切手類は購入する場所で、課税と非課税の判断が分かれることです。

購入場所が、
○  郵便局やコンビニの場合 ⇒ 非課税
○  金券ショップなどの場合 ⇒ 課税
となることに注意が必要です。

5.国等が行う一定の事務に係る役務の提供

法令に基づいて徴収される行政の手数料等は、非課税取引です。

例えば、役所等で取り寄せた住民票などの発行手数料や登記の手数料等が、これに該当します。

6.外国為替業務に係る役務の提供

外国為替や国際郵便為替などの取引に係る手数料などが、これに該当します。

具体的には、
○ 外国為替取引手数料
○ 旅行小切手(トラベラーズチェック)の発行手数料
○ 海外送金手数料
などがこれに該当します。

社会政策的配慮から、課税されないもの

低所得者や社会的弱者の消費税負担を軽減するため、社会政策的見地から課税されないものがあります。

社会政策的見地から課税されないもの取引とはどういったものか、具体例を解説してきます。

1.社会保険医療の給付

健康保険が適用になる医療費は、非課税となります。

注意点として、
健康保険が適用とならない、自由診療に係る医療費は、課税となります。

自由診療に係る医療費とは、
美容整形、差額ベッド代、予防注射、市販薬等が該当します。

2.介護保険サービスの提供

介護保険法に基づく介護保険サービスがこれに当たります。

よくある例としては、
居宅・施設・地域密着型のサービスがこれに該当します。

3.社会福祉事業等によるサービスの提供

社会福祉法により定められた社会福祉事業などのサービスが、これに該当します。

このサービスの提供の中では、生産活動に基づくものを除くと規定されています。
例えば、障害者の就労または技能習得のために必要な訓練(職業訓練)をすることを目的とする事業
といったものは生産活動に基づくものに該当します。

4.医師・助産師等による助産に関するサービスの提供

助産に係る費用は、非課税です。

医師が妊娠の有無を判断するための検査や新生児に係る検診なども、このサービスの提供に含まれます。

5.火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供

人が亡くなって、火葬や埋葬するときの費用は非課税です。

注意しなければならないのは、
墓石や葬儀代、花輪代は非課税とならないことです。

6.身体障碍者用物品の譲渡及び貸付

身体障碍者用物品とは、義肢や車いすなどのことをいいます。
基本的には、障害者の生活に必要な物品は非課税となります。

7.学校教育

学校の入学金、授業料、在学証明手数料等がこれに該当します。

この学校教育は、
学校教育法に規定する幼稚園、小学校、中学校、高校及び大学における教育が該当します。

学校教育法に規定されない、
専門学校や通信教育といったものはこれに該当しないことに注意が必要です。

8.教科用図書の譲渡

学校で使用する教科書などがこれに該当します。

9.住宅の貸付

住宅の貸付は、少々判断が難しいので注意が必要です。

住宅の貸付けは、住宅の利用目的によって課税か非課税かを判断します。

○ 居住を目的とした貸付
  居住を目的とした貸付の家賃は、社会政策的な配慮から非課税となります。
  例えば、一戸建て住宅、マンション、アパート、社宅や寮などの家賃はこれに該当します。

  ただし、契約書において貸付期間が1月に満たない場合は、課税されます。
  また、居住用家賃とともに支払う共益費、権利金、更新料等については、原則家賃と同様に扱います。

○ 事業を目的とした貸付
  事業を目的とした貸付の家賃は、非課税に該当しません。
  例えば、事務所、店舗、倉庫などの貸付けは課税となります。

なお、住宅兼店舗といった場合は、面積比で課税と非課税を分けて消費税を計算します。

まとめ

今回は、消費税の非課税取引について、具体的取引内容を列挙して解説しました。

日々の経理処理では、消費税の課税・非課税の判断を行わなければならない場面が数多く出てきます。

特に会社の経理処理では、

○ 土地の譲渡、貸付
○ 郵便切手類、物品切手等の譲渡
○ 住宅の貸付

などの取引が発生することが多いので、
経理処理する際の消費税の課税、非課税判断には十分注意が必要です。

 

執筆者情報/経理部IS
20年以上にわたり、上場企業とその子会社で経理業務を経験。
転職6回・複数の上場企業での経験を活かし、経理を中心とした仕事に役立つ情報をブログで発信中。

ブログ名:経理課長の仕事術 https://www.keiri-manager.com/

 

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