今回は納品書についてみていきましょう。商品と一緒に届けられる納品書。
「別に請求書をもらっているから保存しなくてもいいのでは・・・?」そんな疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
納品書は経理関連書類として保存することが法律により義務付けられています。しかし、その保存年数は法人か個人事業主かによって異なっています。
1.納品書とは
納品書とは、納品された物品・サービスについて確認するために利用されている書類です。商品やサービスの提供者側が作成します。
納品書を受け取った側は、納品書を見ることで納品された物品の内容や個数を確認したり、サービスの提供日を確認したりしています。
国税庁によると、納品書を作成する際は以下の事項を記載することになっています。
1.書類作成者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4.税率ごとに区分して合計した税込対価の額
5.書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
しかし、納品書は必ず発行しなければならない書類ではありません。そのため、納品書が発行されない取引もあります。
参考:国税庁|No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた
2.納品書の保存期間
納品書を始めとする経理関連書類は、法律により保存が義務付けられています。保存年数は法人か個人事業主かによって異なっています。
法人の場合
法人の場合、納品書の保存年数は会社法・法人税法・消費税法などの法律の影響を受けます。
会社法
会社法第432条・435条によると、株式会社は会計帳簿や重要資料、計算書類及び付属明細書を10年間保存する必要があります。
請求書や契約書といったわかりやすい重要書類とは違って、納品書がこの範囲に含まれるかどうかはその会社で納品書をどのような位置づけで使用しているのかに寄るところがあります。
会計基準の判定資料や請求書などの代わりとして利用している会社にとっては、納品書をほとんど利用せずその他の書類にて納品数や金額を確認している会社に比べて重要度は増すでしょう。そのような場合はこちらのケースに該当すると考えられます。
法人税法
続いて法人税法です。法人税法施行規則第59条は帳簿書類の整理保存について定められています。この規則によると、青色申告法人は起算から7年間帳簿書類を保存する必要があります。
「相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類」という書類の例があるため、この並びから考えると納品書も「その他これらに準ずる書類」であると判断できます。
なお、会社が欠損を出した場合はその事業年度に関わる帳簿書類の保存期間が10年に延長となります。
そのため、法人税法によると7年もしくは10年間納品書を保存する必要があります。
消費税法
消費税法によると、仕入税額控除を受けるためにはその証拠となる書類を7年間保存しておく必要があります。
こちらも法人税法と同じく、納品書が消費税法で保存を求められている書類に該当するかどうかはその会社での納品書の利用方法に寄るところが大きいです。
保存期間を考える際のポイント
法人の場合、納品書の保存期間は7年もしくは10年が適切であると考えられます。
欠損金が発生せずかつ納品書を重要な書類として利用していない場合は7年間。欠損金が発生している、または納品書を重要な書類として利用している場合には10年間。このように切り分けるとよいでしょう。
個人事業主の場合
個人事業主の場合も納品書を始めとする経理関連の書類を保存しておく必要があります。
国税庁の個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存についてを参照すると、個人事業主の帳簿書類の保存期間は5年または7年間となっています。「取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)」と記載のある通り、納品書の保存期間は5年であると判断できます。
しかし、消費税を納税している個人事業主は別になります。その場合は、法人と同じく消費税法の適用を受けることになりますので注意が必要です。
参考:国税庁|記帳・帳簿等の保存制度
|個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について
3.納品書を保存する方法
納品書の保存方法は2つあります。紙で保存する方法と電子で保存する方法です。
受け取った納品書を紙で保存する場合は、取引先ごとや月ごとに分類し必要なときにすぐに見つけられるようにファイリングします。一連の取引に関係のある発注書や請求書とまとめて保存してもよいでしょう。
PDFやメールといった電子で納品書を受け取った場合は注意が必要です。
電子で受け取った納品書をそのまま電子データとして保存する場合は、一定の要件を満たす必要があります。その要件とは、タイプスタンプの付与や検索機能の備付け、見読可能装置の備付けといったもの。
もしこれらの要件をクリアすることが難しければ、受け取った電子データを紙に印刷して保存しましょう。
4.納品書の電子化申請方法
前章では、紙の納品書を受領した場合と電子データの納品書を受領した場合の保存方法についてみてきました。こちらでは、紙で受領した納品書をスキャンして電子データとして保存(電子化)する方法についてみていきます。
紙で受け取った納品書をスキャン等を行い電子データとして保存するためには、3か月前までに税務署の承認を受ける必要があります。
申請書及び下記書類を準備の上、提出するようにしましょう。
1 国税局において課税標準の調査及び検査を行うこととされている法人の法人税及び消費税に係る書類
2 国税局において課税標準の調査及び検査を行うこととされている製造場等の酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、航空機燃料税、石油ガス税、石油石炭税、印紙税、電源開発促進税及び国際観光旅客税に係る書類
参考:国税庁|[手続名]国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請
5.まとめ
納品書の保存年数は法人か個人事業主かによって異なっています。また、同じ法人、同じ個人事業主でもそれぞれの状況によって保存年数は違ってくるもの。こちらの記事を参考に、適切な年数保存していくよう心掛けましょう。