電子帳簿保存法に対応した会計ソフトに入れ替えたいけど、どれを選んだらいいのかわからない。そんなときに確認してほしいのが、JIIMAによって発行されている認証マークです。
JIIMAの認証マークは電子帳簿保存法・スキャナ保存制度に対応したソフトウェアに対して発行されているマーク。事前にJIIMAによる法的要件の確認が行われているため、安心してソフトウェアを利用することができます。
今回は認証マークの発行団体であるJIIMAとこれらの認証マークがついたソフトウェアについてみていきます。
JIIMA(ジーマ)とは?
JIIMAとは、公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会のこと。文書管理や電子帳簿保存法について調べたことのある方なら誰もが一度は目にする団体です。
この協会は、日本における文書情報マネジメントの普及・啓蒙を行っている団体。セミナーや文書管理の資格試験を行ったり、文書管理に関する政策提言やガイドラインの策定を行っています。
その中でも今回特に注目したい活動は「電子帳簿ソフト法的要件認証」と「電帳法スキャナ保存ソフト認証」の2つです。このどちらの活動にも大きく関わっているのが電帳法こと電子帳簿保存法。
活動内容についてみる前に、まずはこの電子帳簿保存法について解説していきます。
電子帳簿保存法(電帳法)の概要
電子帳簿保存法とは、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と言います。1998年に制定された法律で、主に国税関係帳簿書類を電子データで保存するための法律です。
電子帳簿保存法の要件を適用させると、今まで紙でしか保存が認められていなかった国税関係帳簿書類を電子データで保存することができるようになります。
電子帳簿保存法とは、今まで紙でしか保存することができなかった国税関係帳簿書類を電子データでも保存することができるようにするための法律。これからの日本のペーパーレス社会、テレワークの動きに対応するには、避けて通ることのできない法律です。 […]
JIIMA(ジーマ)の認証活動と国税庁との関係
JIIMAで行われている「電子帳簿ソフト法的要件認証」と「電帳法スキャナ保存ソフト認証」は、対象となるソフトがこの法律に則った形で作られているかどうか確認をし、問題がなければ認証をするという活動です。
この認証は、JIIMAが国税庁から「電子保存に関する周知依頼」を受けたことがはじまり。依頼内容は、電子帳簿保存法の要件を満たしていない会計ソフトを利用した利用者が間違った認識で帳簿書類を電子保存してしまわないよう周知してほしいといった趣旨でした。
この事態を防ぐために、JIIMAは会計ソフトや電子帳票システムの認証制度を開始しました。それらのソフトが電子帳簿保存法に則っているか確認の上認証マークを発行し、法律の要件を満たしているかどうか利用者が簡単に判断できるようにしたのです。
電子帳簿ソフト法的要件認証
この認証は、ソフトウェアが電子帳簿保存法に対応しているかどうか確認するための制度です。ソフトウェアをチェックし、法的要件を満たせるだけの機能を備えていることを確認した上で審議を行います。審議結果に問題がなければ認証を行い、ソフトウェアに対して認証マークを表示することを認めています。
電子帳簿ソフト法的要件認証のある商品一例
・弥生会計20
・やよいの青色申告20
・農業簿記
・ACELINK NX-Pro 会計大将
・戦略財務情報システム(FX2)
・戦略販売・購買情報システム(SX2)
・財務処理db
・MA1
・COMPANY・HUE シリーズ
・SuperStream-NX 統合会計
・Data Delivery
・活文 Report Manager
・e-image
・PandoraClimber
・Paples
・ClimberCloud
電帳法スキャナ保存ソフト認証
この認証は、ソフトウェアが電子帳簿保存法のスキャナ保存制度に対応しているかどうかをチェックするものです。
チェック方法は電子帳簿ソフト法的要件認証と同様に、マニュアルや取扱説明書をもとに機能を確認し、それを元に審議を進めていきます。その結果問題がなければ認定マークを獲得することができます。
電帳法スキャナ保存ソフト認証のある商品一例
・sweeep
・TKC証憑ストレージサービス
・MAJOR FLOW Z KEIHI/MAJOR FLOW Z CLOUD 経費精算
・FilingStars es
・Dr.経費精算
・OBIC7
・勘定奉行i10[電子帳簿保存法対応版]
・楽楽精算
・SPA、SPA Cloud
・COMPANY・HUE シリーズ
・e-文書サービス
・原票会計S
・イメージウェアハウス
・i-SearchWeb Cloud
・OfficeSTAFF
電子帳簿保存法に対応した会計ソフトに入れ替えたいけど、どれを選んだらいいのかわからない。そんなときに確認してほしいのが、JIIMAによって発行されている認証マークです。 JIIMAの認証マークは電子帳簿保存法・スキャナ保存制度に対応し[…]
電子帳簿ソフト法的要件認証と電帳法スキャナ保存ソフト認証の違い
同じ法律をもとに作られているこの2つの認証は、一見同じものに見えてしまいます。この2つの違いを理解するためには、電子帳簿保存法とスキャナ保存制度について詳しくみていく必要があるのです。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、前述した通り今まで紙で保存していた国税関係帳簿書類を紙以外の媒体でも保存できるようにするための法律です。この法律の要件をクリアすると、国税関係帳簿である仕訳帳や総勘定元帳、そして決算書である貸借対照表や損益計算書を電子データで保存することができるようになります。
これらに加えて、国税関係帳簿書類にはいわゆる証憑と呼ばれる書類があります。領収書や請求書、納品書といった商品やサービスの売買に際して発行されている書類のことです。これらの書類も電子データでの保存が可能となっています。
さて、ここで少し考えてみてください。上記にあげた請求書や領収書といった証憑。これらは電子データより紙で受け取っているシーンの方が多くないでしょうか?
日常的に発行されている請求書や領収書は、現代でも紙でやりとりされているシーンが多くあります。毎月月初に取引先から送付される請求書、商品に同封されている納品書、お客様に提出する見積書など、証憑と呼ばれる書類の多くは紙で発行されるシーンが主流となっているのです。
ネット通販の普及に伴いPDFで受け取ることも増えてきましたが、まだまだ紙で受け取るシーンも多いのが現実。これらの紙書類を電子データとして保存するための制度が「スキャナ保存制度」なのです。
スキャナ保存制度とは
スキャナ保存制度とは、紙で作成された国税関係書類をスキャナで読み取り電子データとして保存するための制度。スキャナ保存制度の要件を満たした形式で電子データ化することで、紙で受け取った証憑を破棄することができるようになります。
一方、スキャナ保存制度は国税関係帳簿や決算書には適用することができません。こちらは証憑として規定されている書類のみが対象となります。この点注意するようにしましょう。
2つの認証の違いはどこか
ここで話をJIIMAの2つの認証制度に戻します。「電子帳簿ソフト法的要件認証」と「電帳法スキャナ保存ソフト認証」。この2つの違いは、電子帳簿保存法に対応したソフトか、スキャナ保存制度に対応したソフトかということです。
元から電子データとしてある国税関係帳簿書類を電子保存したい場合は前者を、紙として受け取った国税関係書類(証憑)を電子データとして保存したい場合は後者の認定を受けたソフトが適しています。
まとめ
JIIMAによる「電帳法スキャナ保存ソフト認証」と「電子帳簿ソフト法的要件認証」は、どのソフトウェアが電子帳簿保存法・スキャナ保存制度に対応しているのか利用者にわかりやすくしてくれている制度です。
JIIMAによる認証マークがついているソフトウェアでは、電子帳簿保存法を遵守していることが確約されています。そのため、ソフトウェア会社に問い合わせたり、自社でソフトウェアの要件を確認したりする手間が必要ありません。
どのソフトウェアを選べばいいか迷っている方は、このマークを手掛かりにソフトウェアをチェックしてみてはどうでしょうか。