AI導入・活用事例まとめ6例【行政・自治体編】

岩見沢市、AI活用で農作業最適化に資する各種情報提供。「経験」から「ビックデータ」に基づく農業へ転換

北海道岩見沢市は、気象・土壌データなどの環境センシングデータを基にAI解析を行い、農作業の最適化に資する各種情報提供を行っています。

同市のAI導入の背景には、農家戸数や農業就業人口の減少、農業従事者の高齢化など、農業を取り巻く厳しい状況のもと、農業の持続性確保に向け、経営体質の強化などが、喫緊の課題となっていたことがあります。

AI活用の具体的取り組みとして、気象データや栽培履歴データを基に、農作業スケジュール最適化に向けた、解析と予測情報の配信を開始しています。
配信内容は、病害虫発生・出穂期・成熟期・収量など各種予測値、配信対象は、水稲・小麦・玉葱、配信単位は、50mメッシュ(50m×50m)です。
また、2018年より、配信対象作物の拡大、スケジュール管理機能の追加など、スマート農業の社会実装に向けた、さらなる開発検証を実施しています

導入の成果としては、「経験や勘」から「ビックデータ・AI解析に基づく農業」への転換により、農作業の効率化・最適化が進むとともに、生産物の付加価値形成による、新たな販路獲得の動きも始まるなど、今後の持続性も確保し、さらなる発展が期待されています。

参照元『総務省』

 

さいたま市、ゲーム理論を用いたAIを活用で、保育所利用調整業務を省力化。1500時間かかった入所選考が数秒で完了

さいたま市は、保育所入所申請において、市の割当てルールを学習したAIを活用、保育所利用調整業務を省力化しました。

さいたま市では、約8000人にも及ぶ保育所への入所申請者を、市内の約300施設に割り振るに当たり、申請者の優先順位や、きょうだい同一保育所入所希望など、様々な要望を踏まえて選考していますが、その業務に、延べ約1500時間もの時間を要していました。AI導入の背景には、この問題の解決があります。

具体的には、市の割当てルールを学習したAIが、ゲーム理論のモデルを用いて、組合せを点数化、最も得点の高い組合せを瞬時に導出し、こどもの優先順位を踏まえたうえで、最適な保育所割当てパターンを見つける、AIマッチング技術を検証しました。

検証成果としては、人手では延べ約1500時間かかる入所選考が数秒で完了、入所選考結果も、AIと人手でほぼ一致しました。
同市では、これにより、職員の負担軽減、他業務への職員の効率配置、さらには、入所申請者への決定通知の早期発信により、入所不可だった場合の迅速な対応や、親の育児休業等からのより円滑な復職などが可能となる、としています。また、その後、同技術で障害児加配にも対応しています。

参照元『総務省』

 

川崎市、AI及びプラットフォーム活用で、資源循環並びに脱炭素化推進。環境と経済の調和と好循環を目指す

川崎市とNECは、中商、クレハ環境、エックス都市研究所と連携し、2018年9月から2019年2月まで、AI及びプラットフォームを活用した、廃棄物収集運搬・処理業務最適化の実用化可能性調査を行いました。

本調査は、川崎エコタウンにおける、資源循環並びに脱炭素化推進に向けた試みであり、また、ドライバーなどの人材不足等、社会的課題ともなっている、業務効率化による働き方改革推進、並びに、廃棄物処理の健全な事業経営の継続といった経済課題への対応でももあります。

本調査では、感染性廃棄物を対象として、各収集運搬業者が持つ排出場所・排出量・収集希望時間などの情報を、廃棄物収集運搬・処理業務最適化プラットフォームに蓄積し、AIで分析することで、複数業者の連携による、最適な収集運搬ルートを試算しました。
同プラットフォームは、FIWARE=次世代インターネット基盤ソフトウェア、を活用した、NECのデータ利活用基盤サービスを基に構築されています。

その結果、従来に比べ、車両走行距離を最大約16%短縮できることを確認、今後5者は、本プラットフォームの実用化に向け、現行ルール下での実証などを通し、AI及びプラットフォームの活用が、資源の効率的利用と脱炭素化の実現に貢献することを明らかにする、としています。

参照元『NECプレスリリース

 

泉大津市、AI活用で戸籍業務迅速化への研究着手。複雑化する業務に、AIが対処法指示

大阪府泉大津市は、2018年2月、戸籍登録業務でのAI活用へ向け、システム開発の富士ゼロックスシステムサービスと共同研究協定を結んでいます。
同社は、富士ゼロックスの全額出資子会社で、自治体が管理する戸籍の電子化事業で6割超のシェアがあり、戸籍や住民票関連のノウハウを豊富に蓄積しています。

戸籍業務には、長年の経験を持つ職員が必要ですが、ベテラン職員の退職などで、手続きに時間を要するようになっていました。
また、国際結婚が増えると、相手国の法制度や判例などを確認する手間もかかります。AI活用の背景には、こういった問題の解決があります。

新システムは、電子メールをやり取りして、AIが職員に的確な対処法を指示する仕組みとなっています。

同市は、国際結婚の増加などで複雑化している、戸籍業務に関する、市職員からの問い合わせに、迅速に答えるAIを数年以内に開発し、業務の効率化を目指す、としています。

参照元『泉大津市・平成29年度報道提供記事

 

長野市、AIを活用した、交通量調査の実証実験。観光戦略立案に活かせるデータ取得を目指す

長野県長野市は、同市内に本社を構えるTOSYSと共同で、2018年8月〜10月末までの期間に、AIを活用した、交通量調査の実証実験を行いました。

長野市では、従来、手作業で調査を実施してきましたが、より効率的に長期間にわたる計測を可能にし、街の活性化や観光戦略の立案などに活かせるようなデータを取得することを目指し、AI活用の実証実験を実施することとなりました。

実験は、飯綱高原と長野市中心市街地の2カ所の計測地点で撮影した映像を、AI技術を用いて解析、歩行者や自動車を自動で判別し、通行量を集計します。飯綱高原では車の交通量、長野市内では人の交通量を計測、また、性別、大人・子供、徒歩・自動車など、属性ごとの数値も集計しています。実験には、フューチャースタンダード社が提供している映像解析プラットフォーム「SCORER」を活用しています。

集計結果には、個人の特定につながる情報は含みません。自動車の場合は、車種、ナンバーなど所有者の特定に繋がる情報は含まず、乗用車・バス・トラックなどの種別を解析します。撮影した映像は数の計測と検証作業の後、削除しています。

参照元『フューチャースタンダード・プレスリリース

 

北区、AIを活用し、介護保険業務効率化に向けた実証実験を実施。AI実装の有効性を検証

東京都北区は、富士通と富士通北陸システムズと共同で、従来、職員が人手で行っていた、介護サービス事業者(以下、事業者)からの介護給付費請求の指導監督に関する業務を、AI活用で効率化する実証実験を、2018年1月~3月まで実施しました。

北区では、事業者からの認定申請や介護給付費請求の適正性を分析し、その結果に基づいて、事業者への指導監督を行っています。しかし、介護認定者や施設の増加に伴う、請求内容の分析業務や指導業務の増大が大きな課題となっていました。その課題の解決がAI導入の背景にあります。

介護給付費請求の適正性分析業務は、高度なスキルと時間を要します。
実証実験では、機械学習技術を活用し、北区の介護保険システムに蓄積された、事業者からの過去の介護給付費請求データなどを機械学習させ、請求データの適正性を自動的に分析できるモデルを構築し、その分析結果と過去の指導監督記録とを照合することで、有効性を検証します。本実験では、富士通のAI技術・FUJITSU Human Centric AI Zinraiを活用しています。

今後、北区は、本実証実験で得られる知見を生かし、介護給付費支給業務の効率化を図るとともに、介護給付費請求の適正化と、事業者が提供するサービスのさらなる充実を目指す、としています。

参照元『富士通・プレスリリース

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