RPAのツールの違い~クラウド型編~

業務自動化におけるユーザーの多様なニーズに応えられるように、RPAには複数の提供タイプがあります。特に注目しておきたいのが、ここ数年で定型的な業務をソフトウェアの口ボット(ソフトロボ)で自動化するRPAの開発・実行環境をクラウド型で提供するサービスが相次いで登場していることです。初期コストなど導入時のハードルが下がり、中小企業を中心にRPAがさらに普及していくことが予想されています。

今回はクラウド型RPAツールについて、代表的なツールと合わせて解説いたします。

RPAツールを導入する前に知っておきたい、オンプレミス型とクラウド型

ひと口にRPAツールといっても、ロボットを動かすPCやサーバーを自社内に設置する「オンプレミス型」と、クラウド上で稼働させる「クラウド型」があります。RPAツールの多くはオンプレミス型ですが、最近では低コストで導入できるクラウド型に注目が集まっています。今回はクラウド型のRPAツールをご紹介しますが、その前にオンプレミス型の特徴にも触れたいと思います。

サーバー環境を構築する「オンプレミス型」

「オンプレミス型」とは、自社の設備内にあるサーバー上に業務自動化の環境を構築することです。各部門の日次売上集計業務や顧客リスト作成など、多数のロボットを使って複数のアプリケーションを同時実行するのに向いています。また自社サーバーで運用するので、個人情報を扱う高度なセキュリティ要件が求められる業務にも適しています。

オンプレミス型のメリットとデメリット

  • サーバー上で構築するため大量のロボットを作成できること
  • 上記ロボットを一括管理できる点
  • 社内業務の広い範囲にわたって適用可能であること
  • 便利な機能を多く備えている分導入費用が高額

ちなみに…オンプレミス型の「クラウド型」

ここ2~3年で、オンプレミス型RPAツールからクラウド型も登場しました。通常のクラウド型RPAツールとは異なり、RPAベンダーが用意したデータセンターにRPAツールの実行環境を置くタイプです。「BizRobo!」(RPAテクノロジーズ株式会社が手掛けるRPAツール)が2018年6月に提供を開始した、「BizRobo! DX Cloud」が代表例(※)です。

BizRobo! DX Cloud:RPAツール「BizRobo!」を使ってソフトロボを開発・運用できるサービス。月20万円から利用可能。顧客企業ごとに構築したクラウド上で稼働させる。オンライン学習サービスやソフトロボ開発用のソフトウェア部品なども提供する。

Webサービスとして利用できる「クラウド型」

「クラウド型」とはインターネット上に仮想サーバーを置く形式で、Webサービスとして提供されているRPAをWebブラウザから利用するタイプです。路線情報サイトを使ってルートから交通費を取得、他のクラウドサービスと連携した業務などに適用できます。

クラウド型のメリットとデメリット

<メリット>

  • インターネット環境さえあれば利用できるため、自社内にRPAツールを稼働させるサーバー環境を構築したりインストール作業したりする必要がなく、パソコンでWebブラウザを立ち上げて専用のWebサイトにログインするだけでRPAを利用できます。このため、パソコンがMacであってもRPAを利用可能です。
  • オンプレミス型に比べて導入コストが低く、開発期間や初期費用を大幅に削減できることに加え、ランニングコストを抑えられます。そのため、小中規模の企業や部署だけでも導入しやすい点が挙げられます。また、利用者の増減といった状況の変化に応じて柔軟に規模を変更できます。
  • 新しい機能が随時追加されていくので、最新版へのアップデートも容易です。

<デメリット>

  • 外部ネットワークと接続することになるので、基幹システムとの接続や社内データのセキュリティ確保には十分な注意が必要です。具体的には、データ漏えいなどセキュリティ上の危険性がないか、秘匿性はどのように担保されるのかを事前にチェックし、しっかり管理できる担当者を置きましょう。
  • 稼働時間に応じて課金されるタイプであれば、多数のロボットを稼働させているとオンプレミス型よりも割高になることがあります。
  • 企業内でイントラネットを設けていれば、その中で稼働するシステムをクラウドから直接操作できない制約があったり、サービスによってはデスクトップアプリを操作できないといった課題もあったりします。クラウドRPA サービスとイントラネットをVPN(仮想私設網)で結んでセキュリティを確保したうえで、ソフトロボを社内システムにアクセスさせるといった準備が必要です。

クラウド型で実行できる作業は、オンプレミス型に比べると機能が少ない分限られていますが、導入規模や業務内容によっては、クラウド型も有力な選択肢の1つとして検討してみるのもよいでしょう。

それでは、以下に代表的なクラウド型RPAツールを2つご紹介します。

BizteX cobit

「BizteX cobit」は、BizteX株式会社が開発・提供しているクラウド型RPAツールです。2017年7月にβ版、同年11月に正式リリースしました。人間の代わりに仕事をするRPAを、クラウドを通じて提供しています。2018年には「グッドデザイン賞」(公益財団法人日本デザイン振興会)を、RPAツールとして初めて受賞しました。

特徴

パソコンに専用ソフトをインストールする必要がなく、プログラミングの知識も不要なので、業務担当者でもロボットを作成できます。こうした背景から、バックオフィス関連部署だけでなく顧客対応部署でも活用されています。Webブラウザを経由するため、Mac端末からも利用可能です。機能の改善・追加は常時行われていますが、デスクトップアプリケーションのようにアップデートの必要はありません。

ソフトロボは、開発環境が備える仮想Webブラウザー上に、操作したいWebページを表示させたうえで、クリックなどの操作を選ぶことで操作手順を設定できます。スケジュール管理機能で稼働させたい時間を決定できます。

クラウドでサービスを提供しているため、申し込みから最短で即日導入可能です。料金体系は利用量に応じて課金される月額制で、月10万円(1アカウントあたり)から利用可能です。

Robotic Crowd

Robotic Crowdは、株式会社チュートリアルが提供するクラウド型RPAツールです。既存のRPAソフトウェアを利用しているときに生じる、様々な課題を解決するために開発されました。クラウド型の特徴を備えつつ、ソースコードを公開しているのでカスタマイズ性が高いのが特徴です。月10万円(1アカウントあたり)から利用可能です。操作で不明な点があれば、チャットでカスタマーサポートとやり取りできる体制が高く評価されています。

特徴

複数ユーザーで、同時アクセスでの利用可能です。クラウド上でロボットを稼働させるため、サーバー上に利用環境を構築する必要がなく、Windows、Macどちらの端末からも操作できます。バックエンド処理にも対応しており、RPAツールをクラウド上で動かしている間もパソコン内で他の作業ができる他、GoogleのSpreadsheetやDropboxなどとの連携、定期実行、操作権限管理も可能です。

ユーザーが操作した内容を自動記録することで、ソフトロボの操作手順を設定できます。スケジュール管理機能で決まった時間に稼働させたり、稼働状況を監視したり、Google Chromeの拡張機能「Robotic Crowd Agent」を利用することで操作をレコーディングしたりする機能を備えています。

参考記事

RPAツールの特徴とは?~UiPath、WinActor編~
RPAツールの特徴とは?~BizRobo!、AutomationAnywhere、Blue Prism~

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