ICTとは、Information and Communication Technologyの略称で、情報通信技術・情報
伝達技術と訳されています。ICTは広範な意味をもつ言葉であり、あえていうなら、通信技術を利用した産業やサービスを含む、情報通信分野に関する技術の総称、といった意味合いでしょうか。
従来から使用されているITと意味的にはほぼ同義なのですが、最近は、ICTとITは、何を重視するか、によってしばしば使い分けがなされています。
両者の使われ方を比べてみると、ITは、ハードウェアやソフトウェアなど、コンピュータに関連する技術そのものを指し、ICTは、そのコンピューター技術の活用に着目し、Communicationという言葉が入っている通り、通信による情報伝達とコミュニケーションに重点が置かれているようです。
日本政府は、2000年に「e-Japan」構想を打ち出すと共に、情報技術分野における指針「IT政策大綱」を公表しました。
しかし、その後、2004年に「U-Japan構想」を新たに発表、それに伴い、2005年、「IT政策大綱」から「ICT政策大綱」に改称し、ITから、コミュニケーションという言葉を含む、ICTへと呼び方を変更しました。
国際的には、日本でいうITも含めた、ICTという言葉が広く使用され、定着しています。そのため、政府はあえてICTを使用して、国際基準に合わせようとしたものと思われます。
ただ、行政機関でも省庁によって、ICTとITのどちらを使用するか異なるようです。
総務省では、旧郵政省が電気通信行政を取扱っていたせいか、通信に力点を置いたICTを用いていますが、経済産業省では、経済産業政策、産業技術などを所管する役所だからでしょうか、ITを用いることが多いようです。
最近は公共の分野においては、概ねICTが用いられていますが、所管官庁の影響か、民間の経済分野では、まだITが使われることが多いようですね。
現在、ICTは実際に様々な分野に活かされています。
教育の分野では、文部科学省が、学校ICT環境整備事業を展開し、全国の小中学校にデジタルテレビやパソコンなどの設備を導入して、子どもたちの情報活用能力の育成、授業の効率化を図っています。 介護分野では、ICTを活用した、インターネットを通じての、高齢者見守りシステムが普及しつつあります。医療の分野では、患者の治療や医療情報の共有など、医療連携システムの構築にICTが活用されています。防災の面でも、地震や津波による被害を抑えるための防災システムにICTが利用されています。
ICTがますます普及していくであろう、未来に向けて、我々の生活が、より安全で快適なものになるよう、大いに期待されますね。