RPAツールの規模や導入形態は商品ごとに異なります。デスクトップで使われるタイプから、業務プロセス全体の中で多数のデスクトップとサーバーで使われるタイプ、クラウド型など、多種多様です。導入予定の業務形態や社内におけるIT技能者の在不在などの条件に照らし合わせて、適切なRPAツールを選択することが大切です。
RPAツールの種類
歴史的には3つのツールに分かれる
RPAが初めて登場してから、間もなく20年を迎えようとしています。その間、多様なRPAツールが誕生し、数多くの企業で導入されるようになりました。RPAツールを、海外で誕生したツール、日本で開発されたツール、ここ2~3年で現れたツールの3種類に分けてみたいと思います。
(1)グローバルリーダ・ツール
RPAは、2000年前後に初めて市場に登場したと言われています。製品化されたAutomation Anywhere、Blue Prism、UiPathなどが相次いで市場へ参入するにつれ、RPA業界の成長を牽引してきました。海外展開や海外企業との連携を考える中小企業にとっては、有力な選択肢となると考えられます。
(2)国内ツール
グローバルリーダ・ツールの海外市場参入から遅れること10年。2010年ごろに日本市場が立ち上がりました。海外産ほど多くはありませんが、国産のRPAツールとしては株式会社RPAテクノロジーズ社の「BizRobo!」とNTTグループの「WinActor」が有名です。
(3)新興ツール
RPAの日本市場が立ち上がって7年後の2017年ごろから、日本においてRPAが急速に注目され始め、わずか数年の間にRPAに対する注目度は飛躍的に高まりました。これに伴って、RPAの日本市場にも「CELF RPA」「Autoブラウザ名人」「MinoRobo」「BizteX cobit」など、多数の新興ツールが登場しています。共通していえるのは、価格帯を安く抑えている点です。
それではここからは、RPA商品の中でも「BizRobo!」、「Automation Anywhere」、「Blue Prism」についてご紹介します。
BizRobo!
概要
「BizRobo!(ビズロボ)」は、日本のRPA業界では草分け的な存在でRPAテクノロジーズ株式会社が提供しているRPAサービスです。2008年に開始された業務アウトソーシング用ロボットの派遣サービスがきっかけで開発されました。当初はKofax Kopowをベースとしていましたが、OCRとも連携するなど独自機能を追加して幅広い機能の製品を提供しています。日本で開発されているため、サポート体制や日本語によるトレーニングコンテンツも充実しており、国内導入実績も豊富で各方面から高い評価を得ています。
ちなみにRPAテクノロジーズ株式会社が提供するRPAサービスはBizRobo!、RPAツールはBasicRobo!(ベーシックロボ)と呼んでいます。
開発に関する特徴
ユーザーが開発ページから操作した内容は自動的に記録され、ソフトロボの処理手順の設定に利用可能です。また、自動記録した処理手順はプロセスフロー図の形式で確認または編集できます。サーバー上では複数のロボットによる作業を同時に実行できます。
運用に関する特徴
BizRobo!は独自の内部ブラウザを有しており、開発端末や稼働環境などによる作業端末の影響を受けにくい点や、業務フローの作成も容易なので、ロボットに作業を覚えさせやすいことが特徴です。また、スケジュール管理機能やソフトロボの稼働監視機能、ソフトロボごとに変更・実行できるユーザーの権限管理機能を備えています。ソフトロボはバックグラウンドで動かせます。
Automation Anywhere
概要
Automation Anywhereは、アメリカのAutomation Anywhere社が開発・販売するRPAツールです。高いセキュリティと高度な管理機能を持ち、バックオフィス系の業務をはじめとした幅広いビジネスプロセスの自動化が強みです。2017年から株式会社日立ソリューションズが、日本国内における代理店としてAutomation Anywhereの販売活動を展開しています。
開発に関する特徴
ソフトロボの処理手順を設定する際、ユーザーが自動記録した操作内容を活用できる他、リスト形式で確認または編集できます。また、サーバー管理型のシステムを提供しているため、ロボットの一元管理だけでなく、セキュリティ基準の高い業務向けのロボット開発にも対応可能です。さらに、ロボットを開発する際に作成した部品をコピーして再利用できる開発環境を提供しています。
運用に関する特徴
BizRobo!同様、Automation Anywhereはスケジュール管理機能やソフトロボの稼働監視機能があります。サーバー上でロボットの作成と稼働状況を一元管理する方式を採用しているので、管理者が不在になると放置されてしまう、いわゆる「野良ロボット」の発生を抑止しています。また、画面仕様の変更後にロボットの誤動作を防ぐため、アプリケーション内のデータを直接参照して他のデータと連携する機能も備えています。
Blue Prism
概要
Blue PrismはRPAのパイオニア的存在です。大手企業を中心とした全社横断型の業務改革向きという性質から大規模導入を前提にしており、体制やサーバー管理・シナリオ開発などの面で、中小企業が導入する際にはハードルが高いのが現状です。
Blue Prism を提供するBlue Prism社は、2001年にイギリスで設立されました。当初は、金融機関の業務改革を請け負っていましたが、その成果を様々な用途に応用できる点に着目して、金融機関向けの製品を開発し2005年に販売開始しました。こうした背景から、金融業界への導入事例が豊富です。2017年には日本法人を設立し、日本でも導入する企業が徐々に増えつつあります。
開発に関する特徴
Blue Prismは、高いスケーラビリティを誇り、高度なセキュリティ機能を搭載しています。ロボットの設計と開発を一体で進めていくのが特徴です。ボタンなどの画面要素を自動認識した結果をもとに、マウス操作でプロセスフロー図を作成しながら、ソフトロボが実行する操作とその対象を設定します。
運用に関する特徴
サーバー型のRPAで、複数のロボットをサーバー上で一括管理できます。シナリオの作成は、レコーディング機能を持たせず、フローチャートで手順を記述する方式を採用。シナリオの実行は、業務手順などにアクセス可能な詳細手順を分離する構成になっており、複数の業務で詳細手順を共有化できるようにしている点も、Blue Prismの特徴です。