ダイバーシティマネジメントとは、さまざまな違いをもつ、多様な人材を企業内に受け入れ、組織の活性化を図る経営アプローチのことです。多様性を活かしながら、戦略的に人材を活用し、一人ひとりがその力を発揮できる環境を整え、相乗効果を得ることで、生産性の向上や組織力の強化を図ります。
企業経営におけるダイバーシティとは、年齢、性別、国籍、人種、民族、宗教、身体的特徴、さらには生活環境、文化、価値観なども含まれます。そして、人材の多様性を認めるだけでなく、積極的に労働市場で採用、活用しようという考え方も表しています。
1960年代のアメリカでは、公民権運動やウーマンリブなどの反差別の社会運動が盛んになり、その流れのなかで、ダイバーシティという考え方も注目されるようにになりました。
その後、研究が進むにつれ、ダイバーシテイは、雇用機会均等といった反差別運動的な問題ではなく、組織にとっての価値を生み出す考え方であるということが示されてきました。
現在では、アメリカに限らず、歴史的背景や地理的な背景から、多様な人種、民族が共生している諸国の企業においては、ダイバーシティ・マネジメントの考え方が積極的に活用されています。
外国に比べると、日本企業にはダイバーシティ・マネジメントの考え方がなかなか浸透しないようですが、それでも少しずつ定着してきています。
具体的には、女性の登用を積極的に行うことを通じて、教育体制の確立や職場環境の整備を実現する、英語マニュアルの整備、管理職登用などにより外国人社員の活躍の場を作る、宗教上の制約への配慮、障がい者への支援や配慮を行う、などです。
経済産業省が「ダイバーシティ経営企業100選」事業を実施するなど、政府もダイバーシティ経営に取り組む企業を支援しています。
少子高齢化が進み、労働力不足が深刻な問題となっている今、多様な人材からの労働力の確保は、いまや必須です。
また、新たな雇用機会の拡大が新しい需要を掘り起こす、という点でも着目されます。
実際、働く女性をサポートするサービス産業に対するニーズが高まっています。グローバル市場対応もダイバーシティ・マネジメントの大きな目的のひとつです。多様な文化や生活スタイルなどを受け入れ、海外市場に対応するために企業が組織としてグローバル化を進め、多様な価値観を理解していくことが目的達成のために重要となります。