増税への備えはお済みですか?消費税のはなし

1989(平成元)年4月1日に消費税が導入されてから、今年で32年目を迎えます。当初、消費税率は3%でしたが、1997(平成9)年4月に5%、17年後の2014(平成26)年4月に8%、その後2度の延期を経て、2019(令和元)年10月に10%への引き上げが予定されています(国税7.8%及び地方税2.2%)。

そこで今回は、企業の経済活動に影響する「消費税」について、改正ポイントと合わせて解説していきます。

改めて、消費税とはどんな税金か

消費税とは、消費行為に課される税金です。「消費行為」とは、物を購入する、貸し借りするなどのサービスを受けることです。法人・個人問わず消費行為をした消費者が、商品やサービスの代金と一緒に消費税を負担しますが、実際に税金を徴収した店や会社が後日、申告して消費税を納付することになっています。こういった性質を持つ税金を「間接税」といいます。

ちなみに、税金を納める人と負担する人が同一の税金を「直接税」といいます。

今回の改正ポイント

今回の消費税改正のポイントは大きく分けて2つです。

1つは、複数税率制度が導入される点です。消費税は現行の8%から10%に引き上げられますが、一部の品目に軽減税率を適用するため、実際には複数の税率が存在することになります。2019(令和元)年度に限っていえば、消費税率・地方消費税率の内訳が異なるため、消費税申告の際には現行の8%に加えて軽減税率の8%、改正後の10%と税率内訳を変更しなければなりません。

2つめは、税率ごとに管理しなければならない点です。2023(令和5)年には「適格請求書等保存(インボイス)方式」(それまでは経過措置として「区分記載請求書等保存方式」)が導入されます。請求書発行の際は、税率ごとに算出した合計金額(税込価格)の記載が義務づけられるとともに、消費税の申告に向けて税率ごとの区分経理が求められます。

以下、用語の解説とともに詳しく見ていくことにしましょう。

軽減税率制度の導入

現行の法律では、商品を売買する際に、原則として全ての商品に8%の消費税が課されます。2019(令和元)年10月1日以降は消費税が10%にアップしますが、一部の商品に限り消費税を8%とすることで、消費者が負担する消費税を軽減させる制度を「消費税の軽減税率制度」といいます。酒類・外食を除く飲食料品と、販売店と定期購読契約を交わしている新聞(週2回以上発行されているもの)に対しては8%の税率が適用されます。

区分記載請求書等保存方式の導入

軽減税率制度の導入と同時に、2019(令和元)年10月1日から2023(令和5)年9月30日までの4年間は、区分記載請求書等保存方式が義務づけられます。

今までは全ての品目に同じ税率(8%)をかけていましたが、軽減税率制度が導入されることで、一部の品目で税率が異なります。そのため、経理処理や会計ソフトを使用している場合、税率ごとに区分して取引を記帳したり入力したりすることが必要です。

さらに2023(令和5)年10月1日から「適格請求書等保存方式」、いわゆるインボイス制度の導入が予定されています。区分記載請求書等保存方式は、適格請求書等保存方式制度の経過措置に該当します。

消費税率の変更でどんなことに気をつければよいのか

消費税率の変更に関連して、経過措置(新しい制度に移行する際に生じる不利益や不都合を解消するための、一時的な対応)や禁止事項が一部設けられています。

消費税還元セールの禁止

2019(令和元)年10月1日以降、「消費税還元セール」などの宣伝文句を謳うことは禁止されています。総額から消費税相当分値引きしても、商品購入時には結果的に消費税が含まれた金額を支払っているためで、あたかも消費者に消費税を負担させていないかのような誤解を与えかねません。また、他の事業者が消費税の増額分を徴収しにくくなるという点も、禁止理由の1つです。

総額表示義務の緩和の継続(~2021(令和3)年3月31日まで)

2004(平成16)年4月から、値札や広告、チラシなどで商品価格を表示する場合、消費税相当額を含んだ支払総額の表示を義務づける「総額表示方式」が実施されています。消費税が5%から8%に変更される前の年の2013(平成25)年10月1日から2021(令和3)年3月31日までの間は、消費税転嫁対策特別措置法という法律に従って表示義務の緩和措置が設けられています。事業者の消費税率の引き上げに伴う事務負担を軽減するためで、税抜価格であることを明確にした上で外税表示にすることや、税抜価格を強調して表示することが認められるものです。

旧税率8%が適用される場合

2019(令和元)年10月1日より前から継続して利用している光熱費など、2019(令和元)年10月1日から2019(令和元)年10月31日までに支払いが確定する料金に関しては、旧税率8%でよいという経過措置が適用されます。

お使いの会計ソフトをチェックしてみましょう

消費税区分は売上や収益にかかるものと、仕入れや経費にかかるものに分けられます。会計ソフトでは、取引ごとに消費税区分を設定することで消費税額を集計しています。適用される消費税区分はほぼ勘定科目ごとに決まっていますが、会計ソフトでは、勘定科目ごとに予め設定されている消費税区分をそのまま使って結構です。

とはいえ、複数の消費税区分にまたがるケース、古いバージョンの会計ソフトを使用している場合は、2019(令和元)年8月以降に新しいバージョンのソフトに買い換えるかアップデートする、またはfreeeMFクラウド会計などのクラウド型への移行を検討する必要があります。

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