ABC分析とは、管理対象をその重要度に応じてA・B・Cの3つのグループに分け、グループごとに適切な管理を行うための手法です。
管理対象を一律に扱うのではなく、それぞれの対象の重要度に応じて、A・B・Cにランク分けし、管理計画を立てるので、合理的・効率的な管理がなされます。パレート分析・重点分析とも呼ばれています。
ABC分析は、イタリアの経済・社会学者、ヴィルフレド・パレートが社会現象について発見した「少数要因によって大勢は左右される」という法則に基づく考え方です。
経済学でいうところの「2割の要素が全体の8割を生み出す」という、いわゆる80:20の法則・パレートの法則ですね。もともとは資材・商品等の在庫管理に用いられる分析手法ですが、多岐にわたる対象の重点管理の方法として、品質管理や顧客管理、あるいは売上分析等々にも使用されています。
例えばABC分析を用いて、商品在庫の管理を実施するとします。商品の重要度の指標とするのは「売上げ」です。
まず各商品の構成比を求めます。この場合の構成比とは、対象となる商品の売上高が全体の売上高に占める割合のことです。
そして、累積売上の構成比が80%を占める商品をAグループ、構成比80%から95%までの商品をBグループ、その他の商品をCグループに分類・ランク付けします。その結果として、売上比率の大きい重要管理品目のAグループの商品にはきめ細かい管理、売り上げが小さく重要度の低いCグループの商品には定型的な最低限の管理、Bグループはその中間的な管理という、それぞれのランクに応じた管理がなされるということになります。
在庫管理に限らず、資材管理や売り上げ分析でも同じです。
「販売数」や「利益額・利益率」、「購入額」など、必要に応じて管理対象ごとの重要度の指標を設定し、それに従って分析を行い、A・B・Cにクラス分けします。そしてその重要度に応じた管理を行います。
ランク付けに関しては、AランクをさらにトリプルA・ダブルAと分けたり、CランクをのC2・C3などと、重要度別により細かくカテゴライズしてもかまいません。
このようにABC分析を用いることによって、重要度が高く事業への貢献度が大きい対象には重点的管理を行い、重要度が低く事業への貢献度が小さい対象には、ランクに応じてそれなりの管理を行うという、費用対効果が高い、メリハリの利いた管理を実施することが可能になります。