ドローンは、無人で空撮や輸送を行うためのツールとして注目を集め、農業や災害支援を中心に、多様な業界で活躍しています。今後、ドローンから得られたデータをAI(人工知能)に学習させることで、活用の幅の広がりが期待できる他、発想次第ではまったく新しいサービスをはじめることも可能です。
ここでは、ドローンの代表的な特性から、AI(人工知能)を搭載したドローンの活用事例までをご紹介します。
ドローンとは
ドローン(Drone)とは、遠隔操作または自律自動で飛行可能なロボットの総称で、「小型の無人航空機」とも呼ばれています。ドローンという名称は英語で「オス蜂」という別の意味がありますが、これは英国の標的機「女王蜂(Queen Bee)に敬意を表して命名された」といわれています。
航空機同様、ドローンにも様々な種類があります。写真や動画を空から撮影できる「空撮ドローン」、200gに満たない重量で小型の「トイドローン」、使用用途に沿ってカスタマイズでき、様々な業界で積極的に活用されている「産業用ドローン」の3種類です。
機体の種類としては遠隔操作または自動操縦が可能な、飛行船、固定翼機、回転翼機、滑空機、飛行機に分類されますが、日本で現状普及しているのは小型の回転翼機で、プロペラが4枚以上あるマルチコプターと呼ばれるものです。さらに、クアッドコプター(4枚)、ヘキサコプター(6枚)、オクトコプター(8枚)などとプロペラの数によって呼称が変わります。動力源にも、電動式、エンジン式、ジェット式、エンジンでバッテリーを充電しながら飛行するハイブリッドタイプなどがあります。
ドローンの持つ代表的な特性
空撮可能
ドローンのポピュラーな活用方法です。ドローンにカメラやセンサーを付けて飛行させることで、上空から撮影したり、人が立ち入りできないエリアの画像データを取得したりできます。
ドローンは、障害物を避けたり、空中で静止したりする(ホバリング)など様々なパターンで飛行可能です。飛行性能に関しても年を追うごとに安定してきており、ロボットアームを持たせたドローンに、人が立ち入りできない地域での作業をリモート操作で行うための研究も進んでいます。
自動運行機能
ドローンは、飛行を自動化できます。この機能により、予めルートを設定しておけば、ドローンを細かく操縦する必要はありません。
AI×ドローン活用
ここまで、「ドローンの持つ代表的な特性」で挙げた特徴から、「ドローンを実際の産業に活用したい」と考えたとき、どのようなメリットがあるのでしょうか。
AI(人工知能)を搭載したドローンが衝突を回避
ドローンの位置によっては、自律して飛行するドローンが複数飛んでいることも起こり得るでしょう。自律飛行しているドローンを緊急に飛行停止させる操作を行うのは人間ですが、即時に人間が操作できない可能性も考えられます。ドローン自身が、飛んできた他のドローンを避けるよう予めAI(人工知能)に学習させておけば、衝突の危険性を低くすることができます。
農業
日本の場合、農業におけるドローンの使用事例が豊富で、ドローン研究が進む業界の1つです。AI(人工知能)搭載のドローンのカメラで撮影した農作物の生育具合を、画像認識技術やディープラーニングなどで分析し、農薬の散布する量や場所の選定、農作物に寄ってくる害獣を監視・駆逐するといったところで既に実用化が始まっています。
ちなみに、ドローンのカメラから得られた画像を、AI(人工知能)の様々な技術を使って分析し、活用する例としては、災害発生時の被害状況把握や避難物資の運搬、セコム株式会社のセコムドローンなどが挙げられます。
建設業界
農業同様、IT化やデジタル化が進む建設業界においては、測量にかかる手間が長年の課題でした。それをドローンとAI(人工知能)を組み合わせることで解決しようという試みが、アメリカのスカイキャッチ社や日本の株式会社小松製作所などで進められています。今後、ドローンが空撮した現場の測量データを設計図と連携させることで、建設中に発生する設計上のトラブルを早期に解決する試みに発展していくと予想されます。
ドローン×AI(人工知能)=無限大
産業用として活躍する、AI(人工知能)ドローンには、物理的に人間が近寄れない場所で、人間の代理として問題解決することが期待されています。同様に、人間と同等もしくはそれ以上の認識能力や動作能力、状況把握能力を兼ね備えておくだけでなく、機械学習やディープラーニングなどAI(人工知能)の技術の進化が今以上に求められます。
AI(人工知能)を搭載したドローンが増加していくにつれて、それを活用したビジネスは、ますます拡大していくでしょう。