ブランド人になれ!
ブランド人とは、どういう人間か。それは次のように考える人間のことだ。
自分の仕事、自分の人生に、責任があるのは「あいつら」ではない。
自分の人生は自分で生きるしかない。誰かに代わりに生きてもらうわけにはいかない。
引用元:トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲①「ブランド人になれ!」
新年度が始まって1ヶ月と少し。大型連休はあっという間に終わってしまい、新しい環境でスタートを切った方もそろそろ腰を落ち着けて身を入れる時期になってきたのではないでしょうか。望んでいた環境に行けた方も、運悪く希望通りの道に進めなかった方も、今いる場所を活かすも殺すも今後のあなた次第。そんな時、いま一度立ち止まって読みたい本があります。トム・ピーターズの「サラリーマン大逆襲作戦」。2000年の著書でありながら、今なお働く方のバイブルとなっている必読の本。3部作となる本書の「ブランド人になれ!」からこの時期読むのにふさわしい項目をいくつかご紹介します。
あなたの今のブランド価値
今更言うまでもないことですが、有名大学を出て、有名企業に入れば安泰の時代は終わっています。現代は、その場その場を真剣勝負と捉え、自分の才覚で生きる時代です。「当分の間は会社勤めを続けるにしても、個人事業主のように考え、行動しよう。個人事業主は独立独歩、頼りになるのは自分の腕だけだ。その腕をつねに磨いていかなければ、明日にでも食いっぱぐれる。個人事業主の売り物は、自分の実績と自分のプロジェクトしかない」と著者のトム・ピーターズは言います。今の自分の価値とはどういうものか、そしてこの先どのような価値をつけていくか、それがセルフブランディングです。
まずは今のあなたのブランド価値からチェックしてみましょう。下記は本書内のサンプルとして紹介されていたチェックリストです。自分に合ったリストを作り、今のあなたを検証するところからまずはスタートです。
- 自分はいま、いくつのことで名前を知られているか。今後一年間に、その分野をいくつ増やそうと思うか。
- 現在進めているプロジェクトで、自分の力をほんとうに試されるものがいくつあるか。
- この三か月の間に、新しく学んだことがいくつあるか。
- この三か月の間に、名刺ホルダーの中に重要な人の名刺が何枚増えたか。
- 現在、自分が断然目立っていることはいくつあるか。
- この三か月の間に、履歴書に箔をつけるために何をやったか。
- 現在の履歴書は、一年前の履歴書とどこがどう違うか。
自分の価値をパッケージ化!
自分をブランドに仕立て上げるコツは自分をどうパッケージすればメッセージを的確に伝えられるかと考えることです。近所のスーパーでは、どんなパッケージがぱっと輝いてみえるでしょうか。みずみずしいもの、お得なもの、ぎょっとするもの、信頼感があるもの、きれいなもの、デザインがおもしろいもの・・・。思わず目に行くものに共通しているのは、そのものにしかない個性を全面に打ち出しているところです。
あなたには、あなたにしかないものがある。問題は、私たちの多くが、その大切な個性を朝の9時から夕方の5時まで抑えつけていることだ。(中略)パッケージングとは個性の表現にほかならない。フォードも、フィデリティも、ハーバード大学も、ブラウンも、マクドナルドも、みんなそうしている。
引用元:トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲①「ブランド人になれ!」
かりに、せっかく手に入れた今の環境を手放さなければならなくなった時、あなたは自分をどう売り込みますか。どういう能力があるか、どういう性格なのか、得意技は何か。その他大勢と自分がはっきり違うものは何か。自分が経営者で、自分を雇うとすれば・・、あるいは自分がお客さんで、自分にサービスを頼むとすれば・・・。あなたの一挙一動がメッセージ。その日何をやるかでブランドイメージは上がりもするし、下がりもします。自分が、自分という会社の宣伝担当であり、広報でもあり、メッセージ・メーカーになるのです。
していることを見れば、その人がわかる
世の中を変えたいと思うなら、その方向に自分たちが変わらなければならない
ガンジー
自分の名前をブランドにできるかどうかは、署名入りのすごいプロジェクトをやり遂げられるかどうかにかかっています。出来るだけ気が散るものを排除して、全力で捧げること。かといって、それが最初からビッグプロジェクトとは限りません。「つまらない仕事、誰にも頼まれない仕事がくすぶっている隠れた才能との出合いを生み、パンドラの箱、目もくらむようなドル箱をあけてしまうことがよくある。」からです。確かに、大ヒット商品やベストセラーはほんのちょっとしたことがきっかけになっています。下っ端でつまらない仕事ばかりが回ってきても、落胆するか、それとも絶好のチャンスと捉えるか・・・。そのプロジェクトがどう化けるか見極める必要があります。
そして、目標を絞り込むためにも「ヘンな人と付き合う」ことが大事と著者は強調します。頭を澱ませずつねに撹拌してくれるもの、それは自分とはまったく考え方の違う人と付き合い、自分の信念が揺らぐような発想に我が身をさらすことです。いつも同じ人と付き合い、手慣れた仕事だけをやっているよりも遥かにしんどいことですが、ブランド力を磨くためにも身体も頭脳も進化が必要なのです。
最後に・・・
自分をブランドにするのは、なかなか大変なことです。しかし、その成否によって将来が大きく左右されることも事実です。今回は内容をざっと紹介しましたが、本にはより具体的にやるべきことが50項目に分類され、さらにどう実行すれば良いかも、トム・ピーターズならではのユニークな切り口で示されています。新しいスタートの春、鉄板となるビジネス書を手にとってみると何かヒントが見つかるかもしれませんね。