導入前に知っておきたいRPAの効果を「最大化」するための視点

人手不足や働き方改革が叫ばれる中、業務の自動化や効率化が迫られ、RPAやAIの導入を検討している企業が続々と増えています。費用対効果が見合わず手付かずになっていた頻度や事務量の少ない業務でも、安価で短期間で導入できるRPAツールは強い味方。従来の手順のままで取り入られるため、導入のハードルは低く、実際に使い始めれば便利になったことを実感できるでしょう。

しかし、そういった柔軟性の反面、いったい誰がどこまで使っているのか把握できなくなったり、同じような業務効率化を複数の部門で行っていたりすることも少なくありません。さらに、最終的に人が確認しないと心配で、せっかくRPAで処理したものを人がチェックするといったことも実はよくある話。その結果、全体で見ると作業時間が大きく減るわけでも、人員を削減できるわけでもないという残念な事例もあります。

業務プロセス全体を見直す

そういった事態に陥らないためにも、導入前に行うべきことは「業務プロセス全体の見直し」です。業務は一部門や、一担当者で完結しないことが多いため、まずは業務プロセス自体を見直し、あるべき姿を考えることが必要です。ひとつの作業を自動化しても部分最適にしかなりませんが、組織を横断して類似業務を集約すればデジタル活用の恩恵は大きくなります。個別の部門では少ない削減でも、それが10部門で集約すれば大きな削減に繋がるのです。では、大きな効果を発揮する全体最適を実現にするには、どういった進め方が有効でしょうか。下記に3つのポイントを挙げてみました。

  • 共通目標を置く

まずは視点を「カスタマー」に置いてみましょう。ひとつの商品ごとに担当部門が違っても、顧客からすれば同じひとつの会社です。顧客を起点として考えると、個々の部門や組織を論理を超えて全体最適の視点が持ちやすくなります。さらに、業務の効率化だけでなく、顧客の視点に立ち返ることでオペレーションの再設計が出き、付加価値も出せるようになります。共通目標を定めたら全社レベルで合意を取ることも重要な点。トップから担当者まで、しっかりとコミュニケーションを取り、目指す全体像を共通の目標とします。

  • 優先順位を明確にする

次に、時間短縮の効果が最も期待できるところを見極めて計画的に進めましょう。どうしても部門間の調整が必要になるところは後回しになりがちで、手っ取り早くできる作業から導入を始めてしまうことが往々にしてあります。優先順位が低いところから始めてもあまり効果は望めません。

  • チーム編成に留意する

各部門のトップや担当者を集め、横断的な活動を進めやすくしましょう。RPAの専門家チームだけでプロジェクトを走らせるのは失敗のもと。交渉に長け経営目線を考えることができる人物がいれば、部門間のやり取りがスムーズに進められます。さらに、テクノロジーに精通した人物や、現場でオペレーション全般をよく理解した人物がチームに加われば技術的解決策を提案でき、プロセス分析にも強くなります。

国内ではまだRPAの全社導入が少ない?!

RPAという単語がよく聞かれるようになったとはいえ、実はまだ日本企業では全社導入に至っていない企業も多いとか。RPAを試験導入しているが、全社レベルで拡大展開すべきか方針がたっていない状態がほとんだそうです。その点、海外の先進企業では導入が加速中で、全社的なロードマップに基づき優先度順にRPA導入を進めている企業があり、さらには定型作業に加えて高度な判断業務まで自動化したり、例外対応や過去データからの示唆を抽出した判断を伴う業務まで自動化を進めている企業もあります。

働き方改革の必要性を背景に、RPA導入を検討する企業が急増中ですが、ここは上記のポイントを踏まえた上での導入を行い自動化の成功事例を会社の中でまずは作ってほしいところです。成功事例がひとつでも出来れば、類似業務にも導入するなど、適用範囲を広げられることができます。定型作業の効率化に留まっていたプロジェクトが、AIなどを活用して高度な判断基準まで自動化すれば、インパクトはさらに大きくなります。

RPA導入でビジネス全体に広がる効果

正しくRPAの導入を進めることができた場合の変化は、個別のオペレーションの効率化にとどまらず、ビジネス全体を変える力になります。コスト効率の向上だけでなく、顧客満足度が高まる改革を打ち出すことができるからです。また、RPAやAIを使うことで担当者のITリテラシーが向上するというメリットもあります。

組織や業務の課題を洗い出し、機能単位の視点から全体を踏まえた発想へと、担当者の意識からパラダイム転換を促すことができるRPAの導入。対象となるプロセスだけを最適化していた効率化で実現した効果と、他のプロセスや会社全体を見渡し、全体最適のあり方を考えた上での効率化では大きな違いです。スピードや変化への適応が求められる今の時代には、トップだけでなく現場レベルから全体的な視点を持てる企業のほうが強みを発揮できるでしょう。

参考文献:日経MOOK BCGデジタル経営革命 2018年10月15日
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