先日「日本企業のRPA・AI導入による業務自動化で10年後に失業率2倍になる」という記事が出ました。(BusinessJournal 2019.2.3付記事)
筆者は自動化については10年後、現在のホワイトカラーの仕事全体の10%程度自動化できていれば良いほうだと考えておりすぐにRPA・AIが人間の大半の仕事を奪うとは考えていません。しかし、経理の領域においてはルール化できる仕事が比較的多いため、他職種に比べて自動化が進みやすいと考えています。
そんな自動化の進みが早い経理領域。今回は前回の続きとして、実践的な業務の自動化の仕方についてお伝えします。
前回記事はこちら
自動化を行う際の3つのステップ
業務の可視化
現在人がやっている仕事において、業務フローを言語化せずになんとなく行っている…というものが多くあると思います。まず自動化をするためには、人がやっている業務フローを可視化する必要があります。
例えば、初めて出会った人にあなたの仕事内容をわかってもらうために詳しく話をするイメージです。
▼ 経理業務における作業手順の例
「紙伝票を確認→Excelに手入力→入力した数字のチェック→各会社ごとの請求金額をエクセルで計算→会計ソフトに取引先名と請求金額を入力→請求書印刷→印刷された内容のチェック→郵便で請求書を各社に発送」
可視化した業務フローを見直す
業務フローを可視化していくと無駄な業務や非効率な業務フローが見つかります。無駄な業務はそれ自体をなくしたり、非効率なフローはフローの変更をしましょう。さきほどの経理業務における作業手順の例でいうと、請求書の発送業務もPDF化して自社のPCに保存、その後、相手先へメールを送信すれば発送業務自体が不要になります。このように可視化した業務フローを見直してみましょう。
可視化した定型業務を自動化
現在のテクノロジーにおいて、非定型な業務(人間の判断が必要とされる業務)の自動化を行う難易度が高いのが現状です。そのため、定型業務を洗い出し自動化をする業務を決めましょう。時間のかかっている業務は自動化ができると効果は高いのですが、業務フローの中の作業ステップが多いため自動化難易度が高いケースがあります。そのため、まずは短い時間でできる仕事かつ発生頻度が多いものなどを自動化していくと効果実感を感じやすい傾向にあります。
RPAによる自動化
今回は定型業務を自動化するにあたり、前回の記事で説明をしたRPA(Robotic Process Automation)を使って自動化してみましょう。
RPAツールとは?
RPAツールとは、国内、海外のベンダーが提供しているソフトウェアです。機能としては、主にロボットを設計するための機能、設計したロボットを実行するための機能、ロボット全体を管理する機能などがあります。
またRPAツールには、自身のPCにインストールしデスクトップで実行できるタイプのもの(デスクトップ型)やサーバー内で実行するタイプ(サーバー型)、クラウドで提供されるもの(クラウド型)といった3タイプがあります。導入コストも自身のPCに入れて作るものは無料というものから、導入するだけで年間100~1,000万円ライセンス費用がかかるというツールもあります。
無料で使えるツールを使ってみよう!
RPAツールの中には、無料で使えるツールがあります。まずは試しに無料のツールを自分のPCにインストールをしてRPAを体感してみましょう。無料のツールはいくつかあるのですが、今回は無料(一部条件あり)で日本語対応もしているUiPath社のUiPath Community Editionを使ってみましょう。(UiPathはWindowsのみ対応)
ダウンロードの仕方
①以下URLをクリック
②右上のトライアル開始をクリック
③Community Editionを使用するをクリックし、名前、メールアドレスを入力してダウンロードをクリック
④ダウンロードした「UipathStudioSetup」をクリックして起動し、アクティベートをする
※ここまで一連の作業は5分程度で完了します。
自動化ロボットの作り方
①ダウンロードした「UipathStudioSetup」をクリックして起動し、プロセスをクリック
②プロジェクト名を入力して作成をクリック
③アクティビティで「フローチャート」を検索し、Mainパネル(真ん中)にドラッグ&ドロップ
④同じように「メッセージボックス」を検索し、フローチャートの中にドラッグ&ドロップ
⑤「メッセージボックス」をダブルクリック
⑥メッセージボックス内のテキストフィールドに”こんにちは。”と入力
(ダブルコーテーションで囲むことを忘れずに)
⑦左上のMainを押し、Startアイコンからメッセージボックスに向かって線を引いてつなぐ
⑧実行ボタンをクリックする
”こんにちは”と記載されたポップアップメッセージが出力されます。これで初めてのロボットが完成しました。おめでとうございます!
ここで説明したように、アクティビティ(ツールによっては別の名称となります)というパーツを組み合わせてロボットを作成します。また今回は説明できませんでしたが、「マクロの記録」のように、画面上での操作をレコーディングすることも可能です。
次回の記事ではレコーディングによる自動化の仕方を説明します。