「ピピピピッ」目覚まし時計を止めて始まるいつもの朝。あなたの朝はどう明けますか?今日も仕事があると思うとワクワク?ドキドキ?ヒヤヒヤ?それとも・・?
長く仕事を続けている中で、たった一度も会社や仕事を変えたいと思ったことがない、という人はいるのでしょうか。新しい分野にチャレンジしてみたくなったり、ちょっと今の人間関係に疲れてリセットしたくなったり、理由は様々でもまだ見ぬ世界へ飛び出して新しい自分を発見したいと願うことは悪いことではありません。
ましてや、例え続けたくてもこの先今の仕事があるかどうかもわからない時代。むしろ既存の価値観を取っ払い、全く違う分野へと積極的に挑戦したほうが未来を生き抜くにはより良い選択となるかもしれません。
無形資産に注目!
先日の記事でもご紹介した「ライフシフト 100年時代の人生戦略」の中で、長い人生を生きるために、著者が重要視していたのは資産管理です。この場合の資産管理とは、財産や住宅などの「有形資産」だけではなく、「無形資産」のことも含んでいます。「無形資産」とは・・・?それはおおまかに3つの種類に分けられます。
- 生産性資産 ー スキルや知識等、仕事の生産性を高め所得とキャリアを向上させる資産。
- 活力資産 ー 肉体的・精神的な健康と幸福のこと。友人や家族との良好な関係。
- 変身資産 ー 多様性に富んだ人的ネットワークを持っていること。新しい経験に開かれた姿勢を持っていること。
これからの時代、特に注目すべきなのは3つ目の変身資産。今後仕事をめぐる大きな変化が予想されますが、それに対応できるかどうかは経験したスキルや知識(生産性資産)だけでは足りません。逆にそれにとらわれず、予想もできないキャリアへチェンジできるかどうかは、今まで付き合ってきたことがないような「多様性に富んだ人とのつながりをどれほど持っているか」(変身資産)なのです。
華麗なる変身を遂げるには?
この多様性に富んだ人とのつながりとはどういったものなのでしょう。それは、自分を隅々まで知っている強い絆の古い友人ではありません。それよりも緊密な関係にはない弱い絆の知人です。なぜなら、親しい人とは持っている情報に重複があったり興味の分野も概ね同じですが、それほど親しい関係にない知人は、あなたにとって新しく新鮮で有益な情報を持っているからです。こういった関係の知り合いと多くつながっていればいるほど、それだけあなたの可能性を広げる引き出しを多く持っていることと同じです。
また、新しい知人は「今までのあなた」というメガネを通してあなたを見るのではなく、純粋に「今のあなた」を見てくれます。強い絆である家族や古い友人から、いつまでも「〇〇ってこういうとこあるよねー」とか、新しいチャレンジしようとしても「〇〇ってそういうタイプじゃないんじゃない?」と止められたりした経験はないでしょうか。助言をしてくれるありがたい存在ではありますが、自分をそれほど知らない弱いつながりである知人のほうこそ、先入観なく自分を見てくれるので新たな道に連れ出すきっかけを作ってくれることが多いのです。
変身はひとりぼっちでは出来ないし、大抵は古いつながりのグループの中でも実現はしません。例えばネットを検索すればあなたに最適化された情報が表示されるように、あまたある情報を見ているようで、自分が見たい情報だけを選び、また見るだろう情報を選ばれている状態が日常です。触れたことのない情報は自分の外側にアクセスしないと永遠に訪れることはありません。
ホップ・ステップ・ジャンプ!
IT関連の会社を数々経営していた友人がある時、すっぱり今までの仕事を辞めて、急にパン屋を開店したのを聞いて驚いたことがありました。それまでは飲食とは無関係の業界でしたが、開店しようと友人から誘われてチャレンジしたそうです。経営のイスに座っていた毎日から一転、朝から店舗のトイレ掃除をやり、日中はレジ係の日々・・。仕事の内容だけでなく、恐らく収入も一気にダウンしたとは思いますが、新たな道に生き生きとしている様子でした。そして開店から一年後、店舗の売上が順調に推移したことで日々の業務はスタッフに任せ、今度はITのみならず飲食の業界からも経営の依頼をされるようになり、彼は今幅広い業界をカバーする経営者へとステップアップしています。
「変身の過程では、予測不可能になるため不安にさいなまれ、心地よいものではないが、過去とほぼ完全に決別し、既存の行動パターンが頼りにならない新しい道に踏み出すことも検討しなくてはならない。」(ライフシフトより)
いつもの仲間と会うのも楽しいですが、違う世代、違う性別、違う業界、違う職種、違う国の人となるだけ多く会ってつながっていく、それはきっと想像している以上に刺激的で楽しく、自分自身も気づいていなかったキャリアへとジャンプさせてくれる近道かもしれません。