わかりやすい業務フロー図の作成ポイントとは。図形や記号の選び方

これまで、バックオフィス業務に活かせるクラウドサービス、ビジネスアプリケーション、RPAなど、「ツール」についてご紹介してきました。これらは非常に便利なツールですが、なかなか導入が進まない、または導入しても結局使わなくなってしまったり、思ったような効果が出なかったりということも、往々にして起こりえます。

今回は自動化や改善を成功に近づけるための「準備(=業務フロー図の作成)」に焦点を当てて、ご紹介したいと思います。

その導入で大丈夫⁈

まずは、どのような進め方をするとうまくいかなくなってしまうのでしょうか?

現状の業務をそのままツールに置き換える

「現行の業務プロセスをそのままツールに代行させれば早い」と考えるかもしれませんが、全てをそのまま置き換えようとしても、なかなかぴったりくる設定ができなかったり、実際に動かしてみると既存の作業を再現できていなかったりして、結局余計な時間がかかってしまうなど、さまざまな問題が発生します。このような問題は、「ツールの特性」を理解していないことが原因で発生します。

例えば、RPAは繰り返し作業をミスなく短時間で終えることは得意ですが、自ら「判断」することが難しいので、設定側で工夫が必要になります。この特性を理解せずに、「判断」が必要な作業をそのままRPAに置き換えても、思わしい成果は上げられません。

自動化や改善したい作業に適したツールを選択することが大切です。

ツールの導入を優先して現場の理解が得られない

また、業務を改善=「ツールを導入する」という考えに基づいて進めてしまうと、導入を進めているメンバー以外、特に現場の理解を得づらく、次のような問題が発生します。

  • 問題点を説明しても伝わらない
  • 業務上の課題を議論が、別の議論に変わってしまう
  • 改善案を出したが現場や上司から反対される
  • 関係部署からの理解を得られない

これらは、関係者が業務に対し『共通認識』をもっていないことが原因で発生します。業務に対する共通認識がないため、問題点や改善案が有効なのか判断ができないのです。では、どうすれば、関係者の認識を揃え、同じ粒度で業務を分析することができるようになるでしょうか?

それには、業務フロー図を作成することが非常に有効な手段と言えるでしょう。業務フロー図によって業務の流れを理解することができるのに加え、課題や解決策を明記することで、それらの認識も共有化することが可能となるからです。理解と共有に基づいて「ツールの導入」を行うことが成功への近道となります。

また、業務フローの整理は先に挙げた「業務をツールに置き換え」て失敗する例にも対応しています。作業を洗い出すことによって、作業の特性を知ることができ、ツールへの移行が可能かどうか、またどのようなツールが向いているか判断しやすくなります。

業務フロー図を作成する

それでは、業務フロー図の作成手順について見ていきましょう。わかりやすい業務フロー図を作成するのに気を付けなければならないポイントは次の通りです。

わかりやすい業務フロー図のポイント

1.開始・終了を明確に記載

全体の流れが伝わらないといった事態を避けるために、開始と終了を明確にし、どこから始めどこで終わるのかをわかりやすくしましょう。
例えば、開始時点=〇、終了時点=●といった図形を決め、フロー図を作成すると良いでしょう。

2.関係者・組織を明らかに

大概の業務は複数の部署または担当者にまたがって行われているので、業務フロー図を作成するうえで関係者や関係部署を明確にしないと、誰が何をするのかがわからない図になってしまいます。

3.図形の種類を増やし過ぎに注意

業務フロー図には、一般的に様々な図形が使われますが、使用する図形を増やし過ぎると何の図形が何を表しているのかがわからなくなり、結果的に複雑な図になってしまいます。

4.条件分岐を明確に表記

条件分岐が明確でないとどのような条件・判断で次のプロセスに移るのか、分からなくなっていしまいますが、あまり複雑な条件を記載すると、今度は分かり辛くなってしまいますので、重要な条件のみを記載し、細かい条件は省略したほうが良いです。

図形の使い方

ポイントを押さえることができたら、次は記号や図形の使い方を見ていきましょう。

業務フロー図にはさまざまな図形を使うことができますが、図形の種類を増やしすぎるとかえってわかりづらい業務フロー図になってしまいます。わかりやすいものを作成するには、最低限の図形のみで構成したほうが良いです。

作業レベル(粒度)の統一

1つの業務フロー図の中に、「詳細な作業」と「粗い作業」がそれぞれ含まれていると、作業の「問題点」が見えづらくなり、作成者以外の判断が難しく、本来の目的であった「共通認識を持つこと」できなくなります

業務フロー図を作成する前に作業レベル(粒度)の認識合わせを行い、できる限り均一にする必要があります。

プロセス・インプット・アウトプット

実際に業務フロー図を書き出そうとする際に、『作業』はどのように整理したらよいでしょうか?『作業(=プロセス)』は、基本的にインプットとアウトプットが発生します。インプットとなる情報やモノがあり、その情報を用いて作業(プロセス)が行われ、作業の結果としてアウトプット(情報やモノ)が生成されます。例えば、「仕訳帳の作成」という作業をインプット、プロセス、アウトプットの単位で見ていくと次のようになります。

インプット: 仕訳の入力
プロセス: 仕訳帳の作成
アウトプット: 仕訳帳

 

先の作業のアウトプットが、次作業のインプットとなり、次作業のアウトプットがさらにその次の作業のインプットとなりますので、全ての業務は基本的に『インプット』→『プロセス』→『アウトプット(次の作業のインプット)』→『プロセス』・・・といった形で流れていきます。
もしこのインプットやアウトプットが明確でない場合は、恐らくフロー図に書くべき作業ではないはずです。対象の作業が業務フロー図に書くべきものかどうか判断に迷う場合は、一度インプットとアウトプットの視点から整理してみましょう。

まとめ

◆業務自動化・効率化における問題点

  • 作業をそのままツールに置き換えてしまう:作業の分析不足
  • 導入現場の理解が得られない:業務に対する認識不足

◆上記2点の解決策

  • 関係者に対して業務や課題の『共通認識』をもつために業務フロー図を作成する

◆わかりやすい業務フロー図 作成ポイント

  • 開始点と終了点、関係者と関係組織を明確に表記
  • 図形の種類を増やしすぎず、条件分岐をシンプルに記載

◆業務フロー図の作成方法

  • 業務フロー図に記載する作業レベル(粒度)を統一
  • 作業と、それに関連するインプット情報、アウトプット情報を整理
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