こんにちは。これまでは個人事業主の税務申告についてご紹介してきました。
<個人事業主の税務申告関連ブログ>
今回は税務申告後に発生する可能性がある税務調査についてご紹介します。
税務調査とは?
目的
国税の多くでは、納税者自身が管轄の納税所へ所得などの申告を行って税額を確定させ、この税額を自ら納付する申告納税制度が採られているため、その内容や税額に誤りが生じたり、悪質な納税者による虚偽の申告により不当に納税を免れられる恐れがあります。つまり、申告した税額が正しいかどうかを確認する作業が「税務調査」です。
対象
法人並びに個人。
頻度
一般的には5年に一度と言われていますが、平成25年度の実調率(税務調査の対象となるべき法人・個人のうち、実際に調査が実行されている割合)は個人の場合、わずか1%です。では、どのような個人事業主がターゲットとなるのでしょうか?
ターゲットとなる個人事業主
- 事業が軌道に乗っていて黒字である
- 消費税の還付を受けた
- 確定申告した内容とデータベースに不自然な差異がある
- 業績が前年より伸びているが、現金預金・在庫などのストックが不自然に少ない
- 売上や利益が急激に伸びている
などが挙げられます。
調査の種類
1.任意調査
個人事業者:税務署の調査部門が担当します。
2.強制調査
国税局査察部(通称:マルサ)が、脱税金額が大きい悪質な納税者相手に実施する調査で、最終目的は検察庁への告発となります。
なお、調査が行われる10日ほど前に会社と会社の顧問税理士宛てに電話で事前連絡があるのが原則です。
調査の内容
主に下記の項目について調査が行われます。いつ調査の対象になっても良いよう「チェックポイント」を参照して日常業務での対策をしておきましょう。
売上
受注から代金回収まで、どのような管理体制で、どんな書類を作成しているか?また、売上に関する証票類の把握と帳簿等との照合。
<チェックポイント>
- 売上管理を確実にして請求漏れを防ぐ。
- 取引先からの入金時の仕訳処理は確実に行う。
- 決算期末の売上計上については、帳端分の計上漏れがないように注意する。
- 現金で売上代金を受領した場合は、その日のうちに現金出納帳に記載する。
仕入、外注費
伝票や帳簿類などが、いつ誰によって作成され、どこに誰が保管しているか。
<チェックポイント>
- 仕入、外注費関係の証票類の保存は確実に行う。
- 支払先からの請求書等の訂正事項が発生した場合、必ず支払先に訂正した請求書の再発行を依頼すること
棚卸計上
棚卸日時、方法、担当者、関連台帳の書き方や保存方法など。
<チェックポイント>
- 社外や仕入先等の預け在庫の管理は日常から確実に行う。
- 決算期末の積送品の計上について確実に行う。
人件費、労務費
給料、賞与の検討。架空人件費が計上されていないかの確認。
<チェックポイント>
- 給与計算資料及び源泉徴収関係資料の保管を適正に行う。
- アルバイトなどの雑給関係は勤務状況記録を保存する。
- アルバイト及びパートなどの源泉徴収は適正かを確認する。
一般管理費
証票類及び費用の性質、決済状況を調査
<チェックポイント>
- 役員等の個人的な支出として誤解されやすい経費は、税務調査時に説明できるようにしておく。
- カード支払いの経費計上時、カード支払明細書と支払い時に交付された領収証等を二重に計上しないように注意。
- 自宅の一部を会社事務所にしている場合、水道光熱費等の共通費用を適正に按分計算を行う。
- 商品券の購入については、使途の記録を残す。
- 旅費精算書及び旅費規定は作成して確実に保管する。
まとめ
税務調査というとテレビなどで伝えられる強制捜査のイメージが強いため、自身がその対象となった際はまっさきに不安感を抱いてしまいがちですが、いつ税務調査が来ても良いように、脱税志向を持たずに「正しい処理であることを証明する証拠を必ず保存しておく」習慣をしっかりつけておきましょう。