前回の記事では、RPAがBPOに与えうる影響が少なくはないことをご説明しました。今回はその影響についてBPO業界が具体的にどういった変化を求められるようになるか、RPAとの共存は可能かなどについてご紹介していきます。
RPAと共存するためにBPO業界に求められるものとは?
シンフォニー・ベンチャーズ社のBurgess氏は、「アウトソーシングできるほとんどすべてのものがRPA化できるのでRPAはBPO市場にとって大きな脅威です。それ故、オートメイション化が世界に普及すればするほど、BPO ベンダーは収益元やビジネスモデルを多少なりとも変え新しい工夫を加えざるを得なくなっていくだろう。」と述べました。
ここで言う「新しい工夫」の一例として同氏は「アウトソーシングのプロセスの実行者としての役割よりも、むしろコンサルタント業務を引き受けるようになるケース」の可能性を提示しています。これは過去の記事(「RPA導入!」)でも述べてきた内容と共通しています。
また、ロボットプロセスオートメーション研究所の社長兼経営責任者であるRaheem Hasan氏は、BPO業界に対して次のように比較的前向きな予測を立てています。
「進んでRPA業者との業務提携の締結を図る業者やRPA技術を購入・開発し、自社のサービス内容に取り入れようとする者など上手く適応しようと試みる者も少ないことからRPAは間違いなくBPOのビジネスモデルに影響を及ぼすものの少なくともBPO業界そのものの一掃は起こらないでしょう。」
つまり、BPO業者はビジネスモデルを見直す必要はあるかもしれないが、それをしっかりと行い適応の準備を整えさせすれば、完全に排除されることはないということです。
日本では人材派遣会社のヒューマンリソシアがRPAツールを使いこなせる人材を育成するための「RPAトレーニングセンター」を、東京・銀座と大阪の2拠点から、2018年6月までに北海から沖縄まで全国9拠点に拡大する予定としていました(2018年3月の情報)。また、同じく人材派遣会社のマンパワーグループはRPAの導入から運用支援まで、生産性向上を目的としたサービスを各企業・組織に提供開始しています。
これまでBPO業界にRPAが与えるインパクトの予測に紹介させて頂きました。しかしこれまでのところ収益やマージンへの影響はまだ明確に算定されてはいないため、具体的な影響などはまだまだ未知数と言えます。
ただ、先に述べたように今後BPO業界に求められるのは、「RPAを使いこなし人間にしかできない作業に取り組むこと」だと言えるでしょう。