中古資産の耐用年数の決め方を解説!減価償却基礎知識。

事業に必要なものを購入するとき、新品ではなく中古品を選ぶこともあります。中古車がその代表的な例です。

このような場合、その中古資産の耐用年数はどのように決めればいいのでしょうか?今回は中古資産の耐用年数の決め方を実際の計算例も含めてみていきます。

固定資産と法定耐用年数

固定資産の購入のために支払った金額は、法定耐用年数にわたって減価償却を行い徐々に費用化していきます。

法定耐用年数とは、法律で定められた固定資産の使用可能期間のことです。この資産なら〇年と年数が決められています。資産ごとの年数は下記省令を確認しましょう。
参考:e-Gov法令検索|減価償却資産の耐用年数等に関する省令

中古資産の耐用年数は、この法定耐用年数をそのまま使用することはできません。法定耐用年数は、固定資産が「新品」であることを前提に作られている年数だからです。

中古資産は新品の資産よりこれから実際に使用できる期間が短くなります。そのため、新品と同じ年数で計算をするとおかしくなってしまいますよね。中古であることを加味した耐用年数に計算をし直す必要があるのです。

中古資産の耐用年数

中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。
参考:国税庁|No.5404 中古資産の耐用年数

原則的に、取得した中古資産の耐用年数は「あとどのくらい使用できるのか」を見積もることで決まります。使用可能期間が2年と見積もれる中古資産はその2年が耐用年数となります。

しかし、すべての中古資産の使用可能期間が見積もれるわけではありませんよね。そんなときはこれからご紹介する「簡便法」を用いて中古資産の耐用年数を決めることができます。

簡便法

簡便法は中古資産の正確な使用可能期間の見積もりが難しいときに利用することができる計算方法です。中古資産を取得したときは、この簡便法を用いて耐用年数を決めることが一般的です。

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20%に相当する年数

(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数
参考:国税庁|No.5404 中古資産の耐用年数

取得した中古資産がすでに法定耐用年数を経過しているか・していないかによって計算方法が変わってきます。

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
購入した時点で、その中古資産がすでに法定耐用年数の期間使用されていた場合、その法定年数×20%の期間が中古資産の耐用年数となります。

(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
購入時点で、その中古資産がまだ法定耐用年数のすべてを経過していない場合に適用される方法です。
(法定耐用年数ーすでに経過済みの年数)+すでに経過済みの年数×20%
で算出されます。

どちらの場合でも、もし最終的に出てきた年数に1年未満の端数がある場合、その端数は切り捨てられます。また、計算の結果算出された年数が2年以下の場合は2年に切り上げすることになります。

中古資産の耐用年数の計算例

ではここから、簡便法を用いて中古資産の耐用年数を計算してみましょう。

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
まず始めは取得した時点で法定耐用年数のすべてを経過している中古資産の場合です。法定耐用年数5年の資産を使用開始から8年目に取得したとします。

その法定耐用年数の20%に相当する年数=60か月(5年)×0.2=12か月(1年間)

算出された期間は1年ですが、2年以下の場合は2年に切り上げることになっているため、この中古資産の耐用年数は2年となります。

(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
中古資産を取得した時点で、法定耐用年数の一部のみ経過しているケースです。法定耐用年数5年に対して取得時点で2年経過していたとします。

その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数=(60か月(5年)ー24か月(2年))+24か月×0.2=36か月(3年)+4.8か月=40.8か月(3年4.8か月)

1年未満の端数は切り捨てすることになります。そのため、このケースの耐用年数は3年です。

注意!簡便法が利用できないケース

中古資産に改修や修繕といった資本的支出を施した場合は注意が必要です。その資本的支出の金額によっては、簡便法を利用できないケースがあります。

施した資本的支出の額が中古資産の再取得額(その資産を新品として購入し直した場合の額)の50%を超える場合、その中古資産は新品と同様であるとみなされ耐用年数は法定耐用年数を利用することになります。

また、資本的支出の額が中古資産の取得額の50%を超える場合、下記の計算式によって耐用年数を算出する必要があります。

その中古資産の取得価額(資本的支出の額を含む)÷((中古資産の取得額÷簡便法による中古資産の耐用年数)+(中古資産の資本的支出の額÷中古資産の法定耐用年数))

参考:国税庁|No.5404 中古資産の耐用年数(取得した中古資産を業務に使用するために資本的支出を行った場合)

まとめ

中古資産の耐用年数は原則的にこれから使用可能な期間を見積もって算出します。しかし、見積もりが難しい場合には簡便法によって算出をすることができます。

簡便法は中古資産が購入時点で「法定耐用年数の期間使用済みか・そうでないか」によって計算方法が変わってきます。また、資本的支出があった場合には簡便法を使えないこともあります。

個々の中古資産に合わせた適切な対応を行うよう注意しましょう。

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