減価償却費とは?損益計算書(P/L)や貸借対照表(BS)ではどうやって表示する?

「減価償却費」とはどのような費用なのでしょうか?減価償却費は固定資産を持っている会社や個人事業主の仕訳に登場してきます。

しかし、新聞図書費や交通費のように名称から使途がパッとわかる勘定科目ではないため「これって結局何?」と思っている方もいるのではないでしょうか。

今回はそんな減価償却費の基本についてみていきましょう。

減価償却費とは?

減価償却とは、対象となる資産の取得額をその資産の耐用年数で按分して少しずつ費用化していく処理のこと。そして減価償却費とは、そのときに使用される勘定科目のことです。

減価償却はなぜ行う?

固定資産の中には、年月の経過とともに価値が変わってくるものがあります。建物は年月を経るほどに壊れやすく、また機械に至っては数年と経たないうちに最新機種が発売され保有の機械は旧式となっていきます。

このように年月の経過と共に物の価値が減るのに合わせるように、長年使用する固定資産の価値を少しずつ減らしていくために減価償却は行われます。

また、減価償却を行うことで長年使用する固定資産の費用がある一期のみに片寄ってしまわないようにもなっています。

長期間使用する固定資産の価値は、購入した期のみならず後の期でも発揮されます。机や工場といった固定資産を取得したとき、一期のみで捨ててしまわず複数年使用していきますよね。その使用期間に応じて費用を少しずつ計上していくのです。

減価償却できる資産

減価償却の対象となる資産にはこのようなものがあります。

・建物(店舗、工場、ホテルなど)
・建物付属設備(アーケード、日よけなど)
・車両運搬具(車、トラックなど)
・工具(測定工具、プレス用の金属加工用金型など)
・器具備品(机、いす、パソコン、じゅうたん、カメラなど)
・機械装置(工業用設備、食品製造業用設備など)

減価償却は月日の経過とともに価値が減少する固定資産が対象となります。その逆に、月日が経過しても価値が減少しない土地や骨とう品などは減価償却の対象とはなりません。

参考:国税庁|【参考1】主な減価償却資産の耐用年数表
参考:国税庁|No.2100 減価償却のあらまし

固定資産の法定耐用年数

減価償却は固定資産ごとに定められた法定耐用年数の期間行われます。法定耐用年数とはその資産が使用に耐えられる年数のこと。資産ごとに法律で年数が定められています。

例えば、パソコンの耐用年数は4年です。(サーバーなどのパソコンを除く)パソコンを取得したときには、その後4年間に渡って減価償却を行うことになります。

資産ごとの法定耐用年数は下記省令にて定められています。減価償却を行う前には、まず資産の法定耐用年数を確認するようにしましょう。

参考:e-GOV法令検索|減価償却資産の耐用年数等に関する省令

減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法には定額法と定率法の2つの方法があります。

定額法

定額法とは、毎年定額で減価償却を行う方法です。例えば40万円のパソコンを法定耐用年数4年で減価償却する場合、毎年減価償却費として費用化する金額は40万円÷4年=10万円となります。(簿価は1円残るようにします)

定率法

定率法とは、固定資産の未償却額に毎年一定のパーセンテージを掛けて減価償却を行う方法です。

過去に減価償却費として処理した金額を元の価格から差し引き、残った額にパーセンテージを掛けて減価償却費を算出します。毎年母数となる額が減少していくため、それに合わせて年々減価償却費として計上する額も少なくなっていきます。それとは逆に、資産の使用を開始した年に一番多くの金額を費用化することになります。

計算式はこのようになります。
未償却残高×定率法の償却率

定率法の償却率は下記省令にて確認することができます。

参考:e-GOV法令検索|減価償却資産の耐用年数等に関する省令
参考:国税庁|No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)

損益計算書と貸借対照表にはどう表示される?

減価償却費は販売費及び一般管理費として損益計算書に表示されます。

減価償却費の仕訳には直接法と間接法の2種類があります。直接法とは、減価償却する額(=減価償却費)を直接固定資産の価値から減らす方法です。

仕訳にするとこのようになります。
減価償却費 〇〇円/ 固定資産 〇〇円

一方、間接法の場合、仕訳はこのようになります。
減価償却費 〇〇円/減価償却累計額 〇〇円

間接法では固定資産から直接減価償却費を差し引くのではなく、減価償却累計額という勘定科目を使用します。この減価償却累計額は貸借対照表では資産の部に表されます。

直接法で記帳を行うと、減価償却費として固定資産の価値が毎年減っていくため、固定資産の本来の取得額がわからなくなってしまいます。

しかし、間接法を利用すると、固定資産の取得価格はそのまま貸借対照表に資産として残ります。貸借対照表に表示されている固定資産の額から積み立てられた減価償却累計額を差し引きすることで、その時点の固定資産の額を計算することができます。

まとめ

減価償却費を計算するときは、「その固定資産が減価償却の対象となるのか」「法定耐用年数は何年か」を事前に調べるようにしましょう。それぞれ省令に詳細が記載されています。省令は改定されることがありますので、常に最新の情報を取得するよう注意してください。

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