これまで確定申告の方法についてお伝えしてきましたが、今回は確定申告を仕損じてしまった場合についてご紹介します。
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することが求められています。この期間を過ぎてしまうと、期限後申告として取り扱われ、延滞税、場合によっては無申告加算税、というペナルティーが課されます。
また、青色申告事業者であれば、青色申告特別控が10万円迄となり、2年連続で期限を過ぎた場合には、青色申告事業者としての認定を取り消されてしまいます。
1.延滞税について
延滞税は、法定納期限の翌日(所得税であれば3月16日)から、実際に納付する日までの日数に応じて下記の割合により課されます。
・納期限の翌日から2ヵ月を経過する日まで:原則として年「7.3%」
ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間は、年2.7%
平成27年1月1日から平成28年12月31日までの期間は、年2.8%
平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年2.9%
・納期限の翌日から2月を経過した日以後:原則として年「14.6%」
ただし、平成26年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間は、年9.0%
平成27年1月1日から平成28年12月31日までの期間は、年9.1%
平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年9.2%
2.無申告加算税について
無申告加算税は、期限後申告であっても必ずしも課されるペナルティーではありません。
具体的には、①期限後申告を法定申告期限から1月以内に自主的に行い、②税務署から、期限内に申告をする意思があったと認められた場合には無申告加算税は課されません。
②の税務署から、期限内に申告をする意思があったと認められる場合とは、
(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
以上の二要件を満たしている場合となります。
一方で納付期限から1ヵ月を越えてしまい、税務署の調査後に納税する事となった場合には、納付すべき税額に対して、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合を乗じて計算した金額が無申告加算税として課されます。
但し、1ヵ月を超えていても、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
3.重加算税
さらに、この無申告が税金を誤魔化すための隠ぺい等を伴った意図的なものである、と税務署から指摘を受けた場合、重加算税として本来納めるべき税額に対して40%を乗じた金額がペナルティとして課されます。また、刑法上の懲役、罰金というペナルティを追及される可能性もあります。