前回は申告書類の概要についてご紹介しました。今回は引き続き書類の記載方法についてご紹介します。
住所、氏名、屋号の他、申告書の提出日における住所地等の所轄税務署名、申告種類などを記 入します。
2.収入金額等、所得の金額を計算する
所得を10種類に区分して、それぞれ計算の上、記入していきます。ここでは青色申告の対象となるもののうち、事業所得と不動産所得について簡潔に説明します。
<事業所得>
次の事業などから生ずる所得をいいます。
- 営業等所得
・卸売業、小売業、飲食店業、製造業、 建設業、金融業、運輸業、修理業、 サービス業などのいわゆる営業
・医師、弁護士、作家、俳優、職業野球 選手、外交員、大工などの自由職業
・漁業などの事業 など - 農業所得
・農産物の生産、果樹などの栽培
・養蚕、農家が兼営する家畜・家きんの飼育
・酪農品の生産 など
所得の計算は(総収入金額)-(必要経費)を控除して算出します。
その他に、専従者給与(控除)額の合計額、青色申告特別控除額、第二表に所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)、事業専従者に関する事項を記入します。
※ 程度・仕事の内容は、白色申告者のみ記入します。
<不動産所得>
不動産所得は、土地や建物、不動産の上に存する権利、船舶、航空機などの貸付けから生ずる所得をいいます。不動産の貸付けに際して受ける権利金、更新料、名義書換料なども不動産所得になります。
所得の計算 は(総収入金額)-(必要経費)を控除して算出します。
その他に、専従者給与(控除)額の合計額、青色申告特別控除額、第二表に所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)、事業専従者に関する事項を記入します。
※ 不動産所得の金額が赤字の場合で、「土地等を取得するために要した負債の 利子の額」を必要経費に算入する場合は、青色申告決算書(不動 産所得用)若しくは、収支内訳書(不動産所得用)に記載します。
所得金額の合計
10種類の所得金額の合計を行う際に、事業所得(営業等・農業)や不動産所得、山林所得、総合課税の譲渡所得の金額に赤字があるときは、その赤字をその他各種所得の金額の黒字から控除(損益通算)する事ができます。
3.所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する
下記に該当する所得控除がある場合、2.で計算された金額から控除する事が出来ます。発生金額がそのまま控除額となるものありますが、控除金額を計算の上求める必要があるものもあります。
雑損控除 、 医療費控除 、社会保険料控除 、小規模企業共済等掛金控除、 生命保険料控除、 地震保険料控除、 寄附金控除 、寡婦・寡夫控除 、勤労学生控除、障害者控除、 配偶者控除、 配偶者特別控除、扶養控除、 基礎控除。
4.税金の計算をする
2.で計算された所得の金額から3.で計算された所得控除を差し引き、千円未満を切り捨てた後の金額cを下記の計算式に当てはめて求めます。
0円 0 円
1,000円~ 1,949,000円 C×0.05
1,950,000円~ 3,299,000円 C×0.1-97,500円
3,300,000円~ 6,949,000円 C×0.2-427,500円
6,950,000円~ 8,999,000円 C×0.23-636,000円
9,000,000円~ 17,999,000円 C×0.33-1,536,000円
18,000,000円~ 39,999,000円 C×0.4-2,796,000円
40,000,000円~ C×0.45-4,796,000円
下記に該当があれば、上記で計算された金額からさらに控除する事が出来ます。控除金額は所得控除と同様に、発生金額がそのまま控除額となるものもあれば、控除金額を計算の上求める必要があるものもあります。
配当控除、住宅借入金等特別控除、政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅新築等特別税額控除、外国税額控除、所得税及び復興特別所得税
5.その他、延納の届出、還付の受取場所を記載する
さらに、専従者給与(控除)額、青色申告特別控除額、本年分で差し引く繰越損失額などがあれば記載をしていきます。
6.住民税、事業税に関する事項を記載する
作成した確定申告書等が地方公共団体へデータで送信されますので、改めて住民税や事業税の申告書を提出する必要はありませんが、別居の控除対象配偶者・控除対象扶養親族・事業専従者の氏名・住所や所得税で控除対象配偶者などとした専従者などは、所得税等と住民税や事業税とでは取扱いが異なるため、第二表「住民税・事業税に関する事項」欄 に記入をします。
確定申告書類には、白色申告・青色申告のいずれにも共通して提出が必要となる確定申告書Bと、白色申告で提出が必要となる収支内訳書、青色申告で提出が必要となる青色申告決算書があります。
収支報告書、青色申告決算書は帳簿から集計をして記載する作業がメインとなりますので、ここでは白色申告・青色申告のいずれにも共通して提出が必要となる、確定申告書Bの書き方について、簡潔に流れを示していきます。
主な流れは以下の通りです。
1.住所、氏名、屋号の記載