個人事業税が納めないといけない税金はいくつあるのでしょうか?その答えは4つ。所得税・住民税・消費税・個人事業税です。
所得税と住民税はほとんどの方が納めることになりますが、消費税と個人事業税はそうではありません。では、対象となるのはどのような個人事業主でしょうか?詳しくみていきましょう。
個人事業主が納めるべき税金
個人事業主が納めるべき税金には所得税・消費税・個人事業税・住民税の4つがあります。このうちほとんどの人が納める必要があるのは所得税と住民税です。消費税と個人事業税については、一定の要件を超えた人のみ納めることになります。
所得税と住民税のみ納付する必要がある方は、どちらも確定申告を行うことによって申告が可能です。個人事業税も確定申告で申告ができます。
しかし、消費税は通常の確定申告書とは別に「消費税及び地方消費税の確定申告書」を記入する必要があります。その点該当者は注意しましょう。
個人事業主の確定申告の申告期限は毎年3月15日(土日祝の場合は翌営業日)、消費税の申告期限は毎年3月31日までとなっています。
所得税
該当者:一定の所得がある個人事業主
所得税とは、個人の所得に対して課せられる税金のこと。1月1日から12月31日までの1年間の所得をもとに算出されます。
所得は下記10種類に分類されます。
1.利子所得
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
6.退職所得
7.山林所得
8.譲渡所得
9.一時所得
10.雑所得
会社に勤めているサラリーマンの所得は給与所得に該当します。サラリーマンの方は支給される給与から所得税が源泉徴収され、会社によって納付が行われます。
一方、個人事業主が行っている事業によって所得を得た場合は、多くのケースで事業所得に該当します。不動産を経営している方は不動産所得です。個人事業主の方は確定申告にて申告を行った上、所得税を自ら納付する必要があります。
税金額はこのように算出されます。
(総収入額ー経費ー各種控除額)×税率
税率は所得税速算表を参考にしましょう。所得が多ければ多いほど税率は高くなっています。(累進課税)
参考:国税庁|No.2260 所得税の税率
参考:国税庁|申告と納税
参考:国税庁|No.1300 所得の区分のあらまし
住民税
該当者:一定の所得がある個人事業主
住民税とは、住んでいる自治体の行政サービスにかかる費用を賄うために徴収される税金です。1月1日時点で住所がある自治体に対して納税を行います。
サラリーマンやOLなど給与所得者として会社に勤めている方は、毎月の給料から住民税が天引きされその後会社が納税を行います。
一方、個人事業主は自ら納付を行う必要があります。納付は6月・8月・10月・翌年1月の年4回です。納付額は確定申告の数値をもとに算出され、区市町村から納税通知書が送付されます。
参考:東京都主税局|個人住民税
消費税
該当者:前々年度の売上高が1,000万円を超える個人事業主
前年度の1~6月の売上高が1,000万円を超え、かつその期間の給与等支払額が1,000万円を超える個人事業主
消費税は物やサービスの消費に対して課せられる税金です。個人事業主の消費税の申告期限は毎年3月31日となっています。
消費税は間接税とも呼ばれています。間接税とは、納付義務者が税金の負担者本人ではない税金のこと。
消費税で見ていくと、税金の負担者である我々消費者は消費税をお店に支払います。そして納付義務者であるお店が国や自治体へ税金を納めます。税金の負担者本人が直接国や自治体に税金を納付していないため「間接」税と呼ばれているのです。
個人事業主が行っている事業は上記例の中ではお店に該当します。個人事業主は事業を通じて受け取った消費税を国や地方自治体へ納付する義務があります。
しかし、すべての個人事業主が納付義務者となるわけではありません。個人事業主で消費税を納付する義務が発生するのは、以下に該当する場合となります。
・前々年度の売上高が1,000万円を超える
・前年度の1~6月の売上高が1,000万円を超え、かつその期間の給与等支払額が1,000万円を超える
売上が1,000万円に達していない個人事業主は免税事業者として消費税の納付が免除されています。一方、上記に該当し課税事業者となる個人事業主の方は消費税を納付する義務があるのです。
納めるべき消費税額は基本的に以下の計算式で算出します。
事業を通して受け取った消費税額ー事業を通して支払った消費税額(仕入控除税額)
課税売上高が5,000万円以下の事業者には、消費税の納付額を簡易的に算出することができる「簡易課税制度」という制度を利用することができます。
簡易課税制度を利用すると仕入控除税額の計算が楽になります。仕入税額控除を課税売上高×みなし仕入税率で算出することができるようになるからです。
参考:国税庁|売上高が1,000万円を超える場合(消費税について)
参考:国税庁|No.6501 納税義務の免除
参考:国税庁|No.6505 簡易課税制度
個人事業税
該当者:特定の事業所得または不動産所得が年間290万円以上ある個人事業主
個人事業税とは、特定の事業所得または不動産所得がある場合に納めるべき税金です。そのため、営んでいる事業によっては納付の対象とならない人もいます。
対象となる事業と事業ごとの税率は以下の通りです。
参考:東京都主税局|個人事業税
税額はこのように算出します。
収入額ー各種控除ー事業主控除(12か月事業を行った場合:290万円)×税率
上記表以外の事業を営んでいる方、また上記に該当していても年間の所得が290万円以下の方は個人事業税の対象とはなりません。(事業を年の途中で開始・廃業した場合は金額が異なります)
個人事業税は確定申告を行うと申告ができます。追加で他の手続きをする必要はありません。都道府県税事務所は確定申告の金額を元に税額を計算し、毎年8月と11月に該当者へ納付書を郵送します。納付書が届いた方はこちらを利用して納税しましょう。
まとめ
所得税・住民税・個人事業税は確定申告を通じて申告を行うことができます。消費税は別途申告書の提出が必要となります。該当者は忘れないように気を付けましょう。