こんにちは。会社設立の際、決めなければいけない事項の1つとして、資本金の金額があります。今回は会社設立の資本金の設定ポイントについて説明していきます。
資本金とは
資本金とは、株式会社運営のために発行される株式と交換して集めた資金のことです。
会社法が改正され、会社を設立するときの資本金の最低金額に関する規定が撤廃されたことは、聞いたことがある方も多いと思います。そのため、資本金はいくらでもよく、1円でも株式会社を設立することができます。
資本金は会社の信用に影響する
資本金は会社設立時の運転資金のことを指し、「会社の体力」として見られる指標になります。そのため、資本金は安ければよいというわけでもありません。資本金が多い方と金銭的に体力のある会社と見なされるので、仕入れ先や営業先との取引で有利になります。特に会社設立したての場合、資本金の額がそのまま対外的な会社の信用や規模を表す指標になります。
ただし、BtoCのビジネスを行う場合などは、一般消費者は、それほど企業の規模にまで注意を払わないので、資本金を無理に積む必要性は低いでしょう。
会社に限定して全てのことに利用することができる
資本金は手を付けてはいけないお金のように思われがちですが、会社の経費として利用することができます。
資本金は会社に関することに利用することはできますが、自分の生活などには使用することができません。逆に、自分が貯蓄しているお金に関しては会社に貸し付ける形で資本金とすることができます。
以上のように、資本金よりも個人の預金として持っておいた方が流動性が高いので、自分が生活できる範囲のお金は確保したうえで資本金を設定した方が良いと言えるでしょう。
資本金の決め方
資本金の特徴を踏まえた上で、以下に具体的なポイントを説明していきます。
3ヶ月から半年までの運転資金を資本金として用意する
会社を設立しても、すぐに売上金の入金があるとは限らず、売上の計算ができない可能性があります。また、うまく軌道に乗るまでに時間がかかることもあります。
商売を始めて最初の売上金の入金があるまでは、通常、商品の仕入代金・家賃の支払い・備品の購入・広告宣伝費・人件費の支払いなど様々な支払いが先行しがちです。これらの支払ができなければ、たちまち会社経営が行き詰ります。
それらの費用を資本金でまかなう必要があるため、3ヶ月から半年間の会社運営に必要な運転資金を資本金にしておくとよいでしょう。
創業前に資金繰り計画を立て、売上入金が入るまでに必要な資金を計算し、資金が不足しないよう適正な資本金の額を算定しましょう。
取引先などを考慮して金額を決める
また、資本金は会社の体力であり、信用でもありますので、取引先などがある場合にはそれなりの金額が必要な場合があり、それは考慮にいれなくてはなりません。
法務局に行くと誰でも簡単に、株式会社や合同会社の謄本を取得することができます。新規取引を始める際に、相手企業が自分の会社のことを調べることも少なくありません。当然、資本金の金額が大きい方が信用度は高まります。
個人事業主とは取引をしないと決めているような企業などは、資本金の額で取引先を選定する可能性があるということを考慮にいれておきましょう。
資金調達の面から資本金を考える
資金の調達方法として、金融機関からの融資を受けたいと考えた場合、創業時に受けることができる融資の多くに、自己資金の要件がつけられています。
例えば、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、自己資金の2倍までの金額しか申し込むことができません。
消費税免税などの資本金によって左右される事項を確認しておく
会社設立時の1期目・2期目は通常、資本金の額が1,000万円未満であれば消費税の納税義務がありません。
しかし、1,000万円を超えてしまうと初年度から消費税が課税されることになってしまいます。また、法人地方税の均等割りも資本金が1,000万円を超えると納税負担が大きくなります。
そのため、資本金を大きくしたい場合は、このような要件を確認しておくと良いでしょう。
許認可に資本金の要件がある場合がある
業種によっては、最低限必要な資本金の額が決まっている場合があります。例えば、建築業(500万円)、有料職業紹介事業(500万円)、一般労働者派遣事業(2,000万円)などがあります。許認可が必要な事業を設立する場合は、こういった要件も確認しておきましょう。
以上、会社設立の際に必要な資本金と設定のポイントでした。適当な金額は会社の業種によっても違うので、自分の会社に合った金額を設定してみてくださいね。