今はまだまだRPA黎明期。RPAに対する誤解があると感じます。RPAに対するイメージや活用する際のメリットなど、市場が立ち上がって間もないからこそ招いている誤解があるように思います。
RPAで人はいらなくなるのか
RPAという言葉や機能を初めて耳にしたとき、どういうことか理解できませんでした。「ロボットが自動で業務をこなします」。「しかしペッパー君のような物理的に動くロボットではなく、PC内で動くロボットです」。どういうこと?、というのが最初の印象でした。これだけ聞くとRPAがどういう仕組みかはわからないけど、「ロボットが勝手に仕事をするのか」→「人がいらなくなるのか」という風に思ってしまいます。まずそれが一つ目の誤解です。確かに人がやっている業務を代わって行えるという点では間違っていません。しかし、人がいらなくなるというのが大きな誤解です。
もちろん、人がやっている業務の一部を自動化できるのでその分の工数としては減りますね。しかし、そっくりそのまま人が要らなくなるかというとそうではありません。というより人や業務を減らすべきではありません。RPAを使って浮いた分の工数で業務の品質を上げたり(単にミスを減らすということではなく)、その業務を拡張して新たな価値を生み出すことこそRPAによって享受できる最大のメリットです。
業務を減らすのではなく増やすのがRPA
書類に書いてあることを読み込み、システムにエントリーする業務はRPAで自動化すべき業務です。しかし、その業務を人から奪うことで満足しても会社としては、さほど変わらないでしょう。その業務を外注していれば、その分のコストが浮くでしょう。その業務にミスが起こっていればミスを減らすことはできるでしょう。ただし、それまでです。
例えば、営業であれば顧客データの登録業務はRPAに任せ、人間は顧客の分析や営業シナリオを考えたり議論したり提案書を少しでも厚くしたりするこちに時間を使い成約率を高めます。経理財務であれば、記帳や簡単なチェック業務をRPAに任せ、事業の分析や財務戦略などに時間を使いより効率の良い経営を目指します。このようにRPAは業務を削減するのではなく、むしろ業務を増やすためにあるべきです。これまでやれなかった業務をできるのがRPAの最大のメリットです。ロボットをコントロールすることで複数のタスクを同時にこなすことができます。
RPAしかり業務改善しかりBPO(アウトソーシング)しかり、端的に言えば会社のリソースを増やすためにやっていることです。会社としてやるべきこと、やりたいことがあって、それを満たすリソースがあれば早く成長でき、足りなければ成長が遅くなります。しかしRPAによってリソースを増やすことができても、会社としてやりたいことがなければ意味がないということです。極端に言えば、お金をいくら稼いでも使い道がなければ紙屑と一緒ということです。
RPA導入の際には効率化で生まれたリソースを何に使うかを考えてください。今リソースが足りてなければそれでもOKです。どこまで工数が浮くか導入してみないとわからない場合は、「こんなことができてない」というレベルでも構いません(ただし、初期投資額を抑えた導入が前提)。精緻である必要はありません。RPA導入後のビジョンを持つべきということです。RPA導入の真の成果は、業務効率化でもなく人員削減でもなく、業務の幅やレベルを引き上げることにあります。