業務改善手段としての平準化は過去のものになりつつあります。
古くから平準化は、BPOやBPRにおいて極めて基本的かつ必須のコスト削減手法でした。ほとんどの企業は月末が締め日となるため、月末月初に業務量のピークを迎えます。また、年という単位でみれば予算業務や決算業務などにより四半期末や年度末の後は多忙を極めるのが通例です。ピーク時は人海戦術により膨れ上がる業務を捌かざるを得ないという状況はどんな企業も同じで、その山を如何に低くするかが業務改善におけるキーポイントでした。
繁忙期のみ増員するのは難しい
山を低くすることはすなわち少ない人員で繁忙期を乗り越えることができることに他なりません。この考えはピーク時のみ人員を流動的に増やすことが難しいことに起因しております。派遣社員を短期で雇用すること、スキルのマッチしたパートタイマーなどを直接募集し確保することはかなり困難です。
RPAがピークをカットする
しかし、これからは無理に平準化を進める必要はなくなりました。RPAが使えるようになったからです。RPAは月末月初に集中する経理業務、支払業務、決算業務を強力にサポートします。RPAは土日も夜間も仕事をし続けますし、作業の生産性は人の何倍も高いです。ピーク時に不足する人員を賄うには十分なのです。
RPAに対する誤解
派遣社員を採用せずとも、社員が土日出勤や残業をせずとも決算を乗り切ることが可能になるのです。そんな事を言うとロボットに任せて何かミスがあったらどうするとか、社員のスキル低下を招くとおっしゃる方も多くいます。
その指摘は妥当だと思います。しかし、誤っている面もあります。
ミスは社員でも起こり得ます。ミスを発見できる仕組みはRPAであれ、社員であれ必要になるのです。RPAに社員と同じように報告させれば、それをチェックするのは人間です。今日どんな処理をして、何が完了して何がわからなかったとRPAを使って報告させるのです。スキル低下も最もな指摘です。これはBPOを検討する際にも必ずでます。スキルを補うには教育です。研修をしたり実際にロボットに代わって業務をしたりすることでスキル不足、経験不足を補うのです。
RPAを適用すべき業務
現在RPAが適用されている業務は、システム間の転記作業やインターネットなどを使った調査作業など繰り返し行う単純業務が中心です。まだRPAにはClass2といわれるAIなどの頭脳が搭載されておらず高度な業務を行うことが難しいという考え方が支配的ですが、その指摘は適切ではないと考えます。RPAを使って様々なケースを想定したロボットをつくることは可能です。プログラミングと同様に様々な分岐処理を定義すれば良いからです。
ただし、そのようなロボットをいきなり作ることはRPAの使い方としてあまり適切ではありません。RPAの良さが損なわれるからです。RPAの良さとは、システム開発したかったけど出来なかったユーザ要件をスピーディに低コストで実現することです。しかもシステム部門ではなく、ユーザ部門が自身でRPAを設定できるというのが最大の利点です。複雑な処理を行えるロボットを作るのだったら、システム開発をするのと変わりませんし、ユーザ部門がメンテナンスすることができなくなってしまいます。RPAを「最初に」導入する場合は、単純な業務をお勧めします。ただ、複雑なことができないというのは適切ではありません。