在宅勤務(テレワーク)を考える

東京五輪まであと1年を切りました。ニュースではここ数日、都心部への混雑回避のための対策を試験的に実施している企業や公共機関を、積極的に取り上げています。同時に、時間差通勤在宅勤務、テレワークといった、働き方のスタイルに対する労働者や企業の関心が高まってきています。

在宅勤務やテレワークを制度として導入する場合、社内規程などを予め細かく取り決めておかなくてはなりませんが、在宅勤務やテレワークを導入するメリットや、導入を推奨される背景などについてご説明していきたいと思います。

在宅勤務制度(テレワーク)導入の背景

働き方改革の一環として在宅勤務を導入、もしくは検討している企業が増えている背景には、ここ数年でのICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の急速な進化と人手不足の問題があります。

日本では、出生率の減少と長寿化による少子高齢化の進行に伴い、生産年齢人口(※)も減少しています。そうした中で企業が成長し続けるには、働きやすい環境を整えて人材を確保すること、従業員一人ひとりの労働生産性を向上させることが重要な課題です。

こうした背景をもとに、2018年3月に日本政府はテレワークガイドラインを改定。自宅だけでなく、ICTを利用したサテライトオフィス勤務に関する指針も追加された他、移動時間中の労働時間についての考え方も示しました。

在宅勤務(テレワーク)の様々な形態

在宅勤務(テレワーク)には様々な形態があり、「就業形態」と「就業場所」により分類することができます。

就業形態では、「雇用型」と「自営型」に分けられ、企業が雇用する従業員が行うテレワークを「雇用型テレワーク」、個人事業主などが自ら行うテレワークを「自営型テレワーク」といいます。

他方就業場所では、自宅で働く「在宅型」、移動中や出先で働く「モバイル型」、本拠地以外の施設で働く「サテライト型」の3つに分けられます。在宅型テレワークとは、自宅を就業場所とする働き方で、雇用型を「在宅勤務」、自営型を「在宅ワーク」と呼びます。

企業にとっての在宅勤務やテレワークのメリット

(1)業務生産性の向上

営業やディレクターなどのフロント職種で、会社のサーバーへのアクセス権限を与えている場合、外出先からでもクライアントからの問い合わせに迅速に対応可能です。また会社にいれば必ず発生する電話や来客、同僚などの話しかけへの対応がないため、業務効率化アップが期待できます。

(2)人材流出を防げる

特集記事やワイドショーを観ていると、「今いる会社で働き続けたいけれど、家で仕事を続けられる制度が社内にないから、会社を辞めざるを得なかった」という声が取り上げられることがあります。慢性的な人手不足に悩む企業にとって、在宅勤務やテレワークを導入することで、育児や介護を担うことになった優秀な社員の離職を引き留められる可能性があります。

(3)企業のイメージアップに貢献

従業員が働きやすい環境を整え従業員満足度の向上を図ることは、企業ブランドの向上に貢献します。

例えば、在宅勤務やテレワーク導入後に以下の認定や表彰を受けた実績があれば、「先進的企業」「ホワイト企業」として企業価値向上が期待できます。

  • 次世代育成支援対策推進法に基づく「子育てサポート企業」として、厚生労働省の認定を受けられれば、「くるみん」、「プラチナくるみん」の認証マークを商品や広告などに表示可能
  • 女性活躍推進法に基づく「えるほし認定企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた
  • 経済産業大臣から、「多様な人材雇用推進(ダイバーシティ)を経営成果に結び付けている先進的企業」として表彰された
  • 女性活躍推進企業として「なでしこ銘柄」に選定された

(4)コスト削減

賃料や光熱費、消耗品といった従業員が働く場所にかかる費用は、どの企業にとっても大きな負担になっていることでしょう。在宅勤務やテレワークの導入により、そういったコストを長期的かつ継続的に削減できます。また、在宅勤務の利用回数が多い従業員には、出社日のみ交通費を支給することで、さらなるコストダウンが期待できます。

(5)事業継続性の確保

近年の異常気象や多発する地震に対応したいときも、在宅勤務やテレワークは有効です。万が一、東日本大震災のような大型の自然災害が起きた場合、普段から在宅勤務やテレワークを導入していれば、支障をきたすことなく企業運営可能です。

ここまで、企業にとっての在宅勤務やテレワークのメリットを列挙してきましたが、どんなことがデメリットとなるのでしょうか。

企業にとっての在宅勤務やテレワークのデメリット

(1)労務管理が難しい

管理職の方がまずぶつかるのが、労務管理の問題です。管理職の方にとって、在宅勤務をしている従業員はきちんと仕事をしているのかが見えにくいといったネックがあります。これが企業に在宅勤務やテレワークの導入を難しくしている一因と言えるでしょう。

(2)情報通信機器の整備に別途コストがかかる

必要な情報通信機器のすべてを、企業側で準備しなければならないとなると、その費用は相当な金額に上ります。しかし、仮に必要な情報通信機器について、労働者が私的に所有しているものを利用する場合にも、それだけで安心してはいけません。なぜなら、企業側で用意した情報通信機器については、企業側が必要であると考えた情報管理体制を統一的に整備することが可能ですが、労働者が所有しているものを利用するとなると、情報管理などの点で、全ての労働者の情報通信機器をチェックすることは、負担が大きいというよりも、事実上不可能に近いといえるからです。そのため、情報漏えいのリスクが高いという点について、企業側はしっかり認識を持っておく必要があります。

(3)コミュニケーション不足に陥る可能性も

日本の会社の大半は、チームで仕事を進めていきます。会議や対面での打ち合わせをしたいときに声をかければ、メンバーをすぐに集めることができていたでしょう。チームの一人に在宅勤務の適用者が現れた場合、これまでのやり方で打ち合わせできないため、SkypeやChatwork、Slackなどのオンライン会話ツールをフル活用するといった対策を講じることが必要です。

まずは問題点や懸念の洗い出しから

社内規程を設けていない、実際に在宅勤務やテレワークを希望している従業員との話し合いができていないなど、社内体制が不十分な状態で完全な在宅勤務制度を採用してしまうと、大きな負担がかかります。在宅勤務やテレワークを導入する際には、会社の事情を考慮するだけでなく、導入前後の問題点を洗い出しながら検証や話し合いを重ねていくことが大切です。


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ABOUTこの記事をかいた人

Webライター。Webサイトのコンテンツエリアの文章作成から校正、コンテンツマップに沿ったライティングを手がけてきた経験がある。スマートフォンのスキャン用アプリAdobe Scanを使って文書作成するのが得意。OCR、協働、働き方改革、地域のコミュニティの形成、子育て期の女性へのサポートなどに関心あり。